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広坂朋信氏*1が『四谷怪談』についてツィートしている。

今朝の東京新聞に、四谷怪談が三遊亭円朝の落語でも有名とあったので驚いた。四谷怪談については私も素人ながら少し調べたことがある。四谷怪談の落語版は確かにあるが、演者は円朝ではなく柳櫻だったはずだ。何かの間違いではないか。
— 広坂朋信 (@hirosakat) 2024年8月18日

四谷怪談について勝手に師と仰ぐ横山泰子先生（法政大）が、岩波の円朝全集のお仕事をされた際のお話をうかがったことがあるが、四谷怪談の話は出なかった。実際、刊行された円朝全集に四谷怪談は含まれていない。
— 広坂朋信 (@hirosakat) 2024年8月18日

落語版『四谷怪談』は春錦亭柳櫻のものが有名で、南北の芝居とは筋立てが異なる講談系統の話である。これについては、川奈まり子氏の傑作『眠れなくなる怪談沼　実話四谷怪談』講談社、2023の第二章　講談・落語「四谷怪談」のお岩さま、に明快に示されている。
— 広坂朋信 (@hirosakat) 2024年8月18日

この記事に「東海道四谷怪談　4代目鶴屋南北作の歌舞伎狂言。三遊亭円朝の落語でも有名になった。」とあってコーヒーを吹いた。
＜大江戸残照トリップ　田中優子さんと歩く＞（8）面影橋　お岩さんゆかり心揺さぶる場所：東京新聞 TOKYO Web (https://t.co/Tx51LqxzAG)
— 広坂朋信 (@hirosakat) 2024年8月18日

検索してみたらウィキペディアの「四谷怪談」の項目に「鶴屋南北の歌舞伎や三遊亭圓朝の落語が有名である。」とはっきり書いてある。そいつは驚いた、円朝作の「四谷怪談」、ぜひ読んでみたいものだし、高座にかかるなら聞いてみたいものだ。
— 広坂朋信 (@hirosakat) 2024年8月18日

Wikipediaの「四谷怪談」の項の「四谷怪談を描いた作品」には、

落語
三遊亭圓朝『四谷怪談』創作落語。
伊右衛門の見た幽霊は、アルコール依存症による幻覚であるという解釈が加わっている。

と記されている*2。この「伊右衛門の見た幽霊は、アルコール依存症による幻覚であるという解釈が加わっている」という記述は圓朝 *3が「四谷怪談」を演っているという信憑性を高めている。何しろ、圓朝は、『真景累ヶ淵』の「真景」が「神経」を含意しているように、怪奇現象を心理現象に還元するという（井上円了も提唱した*4 ）近代主義的立場にコミットメントしていたからだ。しかし、Wikipediaの「三遊亭圓朝」の項には「四谷怪談」のことは一切言及されていない*5。こちらの項に従うかぎりでは、圓朝は「四谷怪談」など全く噺していないことになる。

Wikipediaの「三遊亭圓朝」の項には「四谷怪談」のことは全く出てきません。 https://t.co/XBVsHaY2HT
— SUMITA MIKIO (@MikioSumita) 2024年8月18日

真景累ケ淵 (岩波文庫緑 3-2)

作者:三遊亭円朝
岩波書店

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「四谷怪談」と「落語」ということで思い出すのは、小沢昭一が伝える林家彦六のエピソード；

故林家彦六師匠に、以前、四谷のお岩稲荷でばったりお目にかかったことがあります。というより暗い社殿に入りこんで何かブツブツいっている師匠を発見したのです。やがて出てこられた師匠に「何かお願いごとでも……」とお尋ねしたところ、「いえ、お稲荷様に一席伺っていたのです」というお答え。つまり落語を奉納しておらられたのでした。
（小沢昭一「近況ご報告」in 『裏みちの花』、p.14）*6