二十一面相にされて

『読売』の記事;


小説家をグリコ森永犯扱い、講談社に賠償命令


 未解決に終わったグリコ・森永事件を題材にした「週刊現代」の連載で犯人扱いされて名誉を傷付けられたなどとして、小説家の黒川博行氏(64)と妹が発行元の講談社と執筆者の岩瀬達哉氏(57)らに5500万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(太田晃詳裁判長)は30日、名誉毀損の成立を認めて計550万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 また、同誌編集部が司法書士を通じて黒川氏の住民票を不正取得したことも認め、同社に33万円の賠償も命じた。

 問題となったのは、2010〜11年、「グリコ森永事件27年目の真実」と題して掲載された20回の連載記事。連載で犯人とされた人物は仮名だったが、判決は、この人物の職歴や家族構成、住所などが黒川氏とほぼ一致していることから、「読者の中には黒川氏が真犯人と受け止める人もいる」と指摘した。住民票の取得についても、「相当性を欠いた取材手段で、プライバシー侵害だ」と認定した。

 週刊現代編集部の話「大変に残念な判決。控訴を検討する」
(2013年8月30日13時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130830-OYT1T00578.htm

メディアの圏内では、「グリコ・森永事件」というと宮崎学親分*1ということになっていたのでは? 「キツネ目」ということで。大谷昭宏さん、どうコメントするの?
肝心の『週刊現代』の連載というのを読んでいないので、真面目な論評はできない。
黒川さんて、ミステリー作家だよね*2。全くの第三者がお気楽なことをいわせていただければ、「犯人扱い」されても、サラリーマンや政治家とかと違って、そのスティグマのダメージはそれほど強くはないのでは? ましてや、怪人二十一面相というか「キツネ目」の男は国民的アイドルとしての犯罪者だ。また小説家だったら、『週刊現代』の仕打ちを小説のネタにするという報復があるわけだ*3
訴えられた岩瀬達哉だけれど、広坂さん*4の先輩ではないですか*5。また本多勝一リクルートから接待を受けていたことを暴露したことでブレイクした。

ところで、最近採り上げた片山さつきの呟きだけれど*6、これは2ちゃんねるの「有料オプション」の個人情報流出に関わるもの。何だか、売春宿の顧客情報が流出したというノリだね。2ちゃんねらーというのは、思うのだけれど、おのれの愚行を公開して〈炎上〉を惹起してしまう最近流行りの人たち*7とは対極に位置する連中なのでは? 〈匿名性の闇〉*8に沈み込んでしまうという小狡さ。この狡猾さは〈高学歴〉的なものなのだろうか。まあ杉井光という作家の受けたダメージは(自業自得/自己責任とはいえ)「グリコ森永犯扱い」されたダメージよりも大きいだろうね。
東スポ』の記事;


個人情報流出余波>書き込みバレて“公開処刑
2013年08月29日 16時00分


じわじわと被害が明らかになっている。巨大ネット掲示板2ちゃんねる」の有料サービス会員の個人情報約7万4000件が流出した件で、さっそく著名人が謝罪に追い込まれた。流出した情報から過去に書き込んだ内容が特定できるのだが、あるライトノベル作家が、ほかの作家を中傷していたことが分かったのだ。今後、書き込んだ内容と投稿者が分かるシステムが開発される可能性があり、いたるところで悲鳴が聞こえてきそう。一体、誰が責任を取ってくれるのか。

 27日、突如としてホームページに謝罪を載せたのはライトノベル作家杉井光氏。「ご存じの方も多いかと思いますが、僕は2ch上において暴言や誹謗中傷を多数行っていました」と切り出した。「お詫びしようもありませんが、中傷を行った作家先生方、荒れを招くことになったスレの住人の方々、出版社などご迷惑をおかけした関係各位、ならびに読者の皆様に深く陳謝申し上げます」と平謝りだ。

 暴露された書き込み内容は第三者のふりをして自分を評価する“自作自演”や、ほかの作家を「ウンコ量産機」と中傷するものだった。騒動が拡大する前に早めの謝罪となった。

 一方、流出名簿の中に自民党片山さつき参院議員(54)がいるとも話題になった。名簿に「katayama satuki」があったという。片山氏が2ちゃんでネット工作をしているのでは?と疑われたが、本人が26日にツイッターで説明。

「いや、びっくりしたというか、笑えました! 2チャン、私もうちのスタッフも触った事さえありませんが、『犯人のお郷が知れる』とうちの秘書が言ったのはkatayama satuki 普通の日本人は、さつきはsatsukiと表記しますね」

「お郷(さと)が知れる」とは、言動などでその人の生まれや育ちが分かるという意味。よくない意味合いで使われる。片山氏は「何者かのなりすましだ」と言いたかったのだろう。しかし、片山氏のメールアドレスに“satuki”の文字があり自爆。「華麗にブーメランが決まったな」と2ちゃん上で炎上している。

 流出余波が着実に進行しつつあるなか、あるサイトが作られているという。「あなたの街の2ちゃんねらー」といい、住所で検索するとその住所付近の有料会員の自宅と書き込み内容が表示されるという。もっとも、住所や電話番号などの個人情報をネットに出すことは違法性を問われることもあり、実現は不確か。

 ネット事情通は「書き込み内容の暴露は痛いでしょうが、しようがない。やじ馬にとっては最高のネタです。匿名掲示板でも余計なことは書くべきでないと今後の教訓にしましょう」とあきらめを促す。個人情報は名前以外なら変更もできる。しかし、書き込みは消せない。

 2ちゃんには「アナルを触られたり舐められるだけで感じちゃう」というゲイ男性のつぶやきや、「妊娠してるのは不倫相手の子かも」というW不倫中の女性の書き込みもある。万が一、有料会員だったら…。戦々恐々だ。

 書き込み内容が流出したのは7〜8月の約1か月分とされているが、わずか1か月でも毎日何度も書き込む人はいるだろう。流出したメールアドレスから、大手マスコミ、大企業、官公庁に所属する個人がどんどん特定されていっている。変態行為にせよ、ステルスマーケティングにせよ、世論操作にせよ、もしとてつもない書き込みをしていたことが発覚すれば、とんでもないことになりそうだ。

 個人情報流出の際に損害賠償請求を起こすことはよくある。法曹関係者は「2ちゃんは運営実態がよく分かっていません。どこの誰が権限を持っているのか不透明。訴訟となっても、どこまでやれるのか疑問です」と話す。バレないことを祈るしかないのか。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/177889/