Tan-Dun: First Emporer [DVD] [Import]
- 出版社/メーカー: 株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2008/08/07
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譚盾*1のオペラ『秦始皇』の紐育メトロポリタン・オペラ・ハウスでのワールド・プリミエのDVD*2を観る。
始皇帝を演じるのはプラシード・ドミンゴ。狂言方(といっておこう)は「陰陽大師(Yin-Yang Master)」(WU Hsing Kuo)とシャーマン(Michelle DeYoung)。WU Hsing Kuoは京劇役者で、彼だけが中国語で歌う。ここで、京劇/オペラ、中国語/英語という対立がマークされる。
秦王は中原統一に突き進んでいたが、高漸離(Paul Groves)という男を捜していた。彼は秦王が幼少時に衛国に人質として預けられていた頃、同じ乳を吸って育った、秦王にとっては弟或いは「影子(shadow)」というべき存在。また、高漸離には歌を作る才能があり、秦王は彼に来るべき帝国のための「国楽」を作曲させようとしていた。一方、秦王は娘の越陽公主(Elizabeth Futral)を部下の王将軍(HAO Jiang Tian)に与えようとするが、彼女はそれを拒み、やがて見つけだされた高漸離と密通してしまう。秦王の怒りにも拘わらず、高漸離は国楽の作曲のために生かされ続ける。第二部は秦王が最初の皇帝としてとして登極する儀礼。始皇帝にとっては栄光の頂点の筈であったが。王将軍との結婚を拒否した越陽公主は自害し、幽霊として皇帝の前に現れる。王将軍も公主の後を追うように自害。さらに、高漸離も始皇帝を呪いながら、自らの舌を噛み切って自害してしまう。ここで、始皇帝は圧倒的な孤独を自覚する。さらに高漸離が完成した音楽は人民の怨嗟を表現するものだった。
作曲家の高漸離という副主人公を設定することによって、(光/影である)国家権力/音楽の関係についてのメタ=コメンタリーになっている。
台本は譚盾と中国系作家のHA Jin。衣裳デザインはワダ・エミ。舞台演出は張藝謀*3。また、中国人ダンサーの黄豆豆(Dou Dou HUANG)*4が出演しているのだが、彼が登場する意味は今ひとつよくわからなかった。
始皇帝といえば、http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20081224/1230084193に「兵馬俑」を巡る論争の紹介あり。「兵馬俑」については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060919/1158634841やhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061101/1162411610やhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070221/1172027771も。そういえば、塚本青史*5の『張騫』*6で、司馬遷は(張騫からの視線において)嫌な奴として描かれていたなということを思い出す。また、陳凱歌*7の『始皇帝暗殺』はつまらない映画だったなとか。
- 作者: 塚本青史
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*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071019/1192817816 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071024/1193197873 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080902/1220363172
*2:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090115/1231984746
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080817/1218947847
*4:See http://www.butterflylovers.fi/ENG/doudou.html
*6:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080602/1212418220
*7:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060315/1142446899 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081013/1223874679