「本当の怖さ」その他

承前*1

経験者は語る「ブックオフの本当の怖さ」。t-hirosakaさん曰く、


同社では、従来の古書店が買い入れのさいの目安としてきた、内容(ジャンルや文壇・学界での評価)、著者の知名度、元値、市場での希少さ、などを斟酌せず、もっぱら見た目が新しく見えるかどうかという基準で買い取り値段を決める。これによって、採用されたばかりのアルバイト店員にも、古本の買い取りが出来、効率もアップする。革命的といえばこの点こそが革命的であった。
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20060925#1159163705
これはつまり、古書を古本に、〈文化財〉を紙に還元するということなのだが、それとともに最初から〈熟練〉が否定されているということだ。つまり、ブックオフに何年勤めても、目利きとしての能力が養われることはないということ。
ところで、こういう方もいるんだという記事;

寺門興隆』2006年9月号が届く。「こつこつ蒐集した十一万冊をインターネットで無料貸し出し中の住職の志」の記事が特に目を引く。

「全国的にも、きわめて先駆的なお寺の図書館である」とのこと。維持管理費は―人件費・管理費はてはHPの運営費用も含め―住職の年金でまかなっているという。つまりは住職のボランティア活動。

この住職(記事の紹介では68歳)はもともと在家の生まれで、都内で生まれ暮らしてきた。記事の中で「苦学生が味わった図書館差別」との気になる小見出しが。高校は定時制・大学は通信制だったこの住職、その当時、日比谷図書館定時制の学生に貸し出しをしてくれず、大学図書館からは「通学生には貸すが、通信生には貸さない」と言われたそうだ。

この住職が寺に入る以前の仕事は、中学校などの司書。司書の仕事を通して、公的な図書館には貴重な学術書がなかなか納まらず、とはいえ大学図書館は排他的であることの弊害を受けている、若い研究者たちへ本を届けるシステムは私設でやるしかないとの思いを強くした模様。
http://d.hatena.ne.jp/monodoi/20060904/p1

「図書館差別」の話は初めて知る。この「専称寺文庫」はhttp://www.sensyoujibunko.jp/なり。