『約束』とか


列車と囚人といえば、斎藤耕一の『約束』*1。主演は萩原健一岸恵子。舞台を米国に移して湯唯*2と炫彬が出た金泰勇の『レイト・オータム』を観て、ストーリーや人物設定が昔観た萩原健一の『約束』に似てるね、と思ったら、どちらも1966年の韓国映画『晩秋』のリメイクだということを知ったのだった。
あの頃映画 松竹DVDコレクション 約束

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レイトオータム [DVD]

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See also


「「約束」涙無くしては...」http://www.hotel-hangzhou.com/02214.html
「 『約束』 (1972)」http://inagara.octsky.net/yakusoku-1972
飯星恵子「レイトオータム(2010年、韓国・香港・米)」http://www.bakusaka.net/?p=11922

Anti-water!

これは怖い。少なくとも「水素水」*1は爆発しない。


ところで、「反物質」というと、澁澤龍彦*2が『東西不思議物語』で言及していた、雄略天皇葛城山中で一言主神に遭遇した話をどうしても思い出してしまう。
東西不思議物語 (河出文庫 121A)

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「わかる」を超えて(保坂和志)

言葉の外へ (河出文庫)

言葉の外へ (河出文庫)

保坂和志*1「言葉の外へ――文庫まえがき」(in 『言葉の外へ』、pp.1-15)から。


「小説家は言葉のプロだから」という言い方が嫌いだ。この言い方は言葉というものの拘束力とか強制力とか、あるいは言葉で名指したものの外を排除する力とかそういうものに対して無関心すぎる。
私はいろいろな理由から最近、幼稚園にいた頃から思春期くらいまでのことを思い返すことが多いのだが、言葉とのある関係の記憶が出てくると、自由に動いていた体を肩の上から手を置かれて無理矢理押さえつけられたときのように体が抵抗し出す感じがする。
「言葉がなければ伝えることができない」とか「言葉がなければ残すことができない」というのは、だいいち本当か。私は子どものときから今にいたるまでずうっとそうなのだが、一生懸命しゃべると、
「もっとわかるようにしゃべってくれ。」
と言われる。それはおかしい。こっちは全力をこめて。全身を使って。伝えたいことを言葉と声と動作で発したのだ。なぜそれに対して相手は「わかる/わからない」という、ふんぞり返って目の前の人間を判定するようなことを言うのか。
目の前で何かが起きたり、目の前に風景が広がったりしているとき、
「もっとわかるように見せてくれ」
と言わないように、全力をこめて伝えようとしている人間はそれ自体が現象なのだ。現象は理解するものではなく、それに立ち合って記憶にとどめるものだ。
小説家が小説を書くということは、その小説によって、「理解する」とか「わかる」ということが頭の一部分しか使わない、浅はかなことだということを身に染みるというか、それが前提としてある。もしそれだけを目的として小説を書いたとしたら、小説とはなんともみみっちいものになるが、前提としてはそれがあるから、読み終わった小説を言葉によって説明しようとしても、それはもう全然その小説じゃない。
音楽で楽器が鳴らす音、絵の線や色、彫刻の素材の質感や形、ダンスの動きやダンサーの体形。小説における言葉はそういうもので、何かを説明して伝えるためにあるのではない。(後略)(pp.1-2)
「最近、幼稚園にいた頃から思春期くらいまでのことを思い返すことが多い」。この作品化が『あさつゆ通信』。多分。

*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050630 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050705 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050722 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060428/1146248997 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060609/1149821214 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060728/1154089615 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061207/1165514769 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070502/1178036988 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070610/1181448905 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070709/1183953278 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070930/1191118474 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071002/1191262060 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071016/1192508056 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080109/1199885241 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080215/1203101413 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080403/1207229772 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080831/1220155395 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080911/1221141723 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080913/1221274270 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081203/1228280406 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090215/1234633284 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091029/1256816455 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100805/1280971666 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101019/1287460367 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101118/1290059134 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110104/1294114040 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110131/1296441629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110724/1311478161 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110813/1313262503 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130626/1372259831 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131106/1383697995 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20171212/1513047582 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20171218/1513571599 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180920/1537404582

Existing blobs

ロイターの記事;


2019年10月18日 / 14:10 / 2日前
720もの性別を持つ謎の生き物「ブロブ」、パリの動物園で公開
Reuters Staff


[パリ 16日 ロイター] - フランスの首都パリにある動物園は16日、自然界最大の謎の1つとされる生き物を公開した。科学者はこの生き物が動物なのか、菌類なのか、いまだに頭を悩ませているという。

この生物は「ブロブ」と呼ばれ、黄色い粘液のようなもの。この黄色いカビにも似たスライム状の生物は、動物のように動くが、科学者はまだ分類できていない。

パリ自然史博物館のディレクターは「この生物『ブロブ』は自然界の謎の1つだ。私たちはそれが何であるか、はっきりとわからない」と話した。

ブロブ」には口も胃袋も、目すらない。だがエサを見つけて食べ、知識を伝達することができる。

デイビッド氏は「『ブロブ』には学習能力がある。迷路に入れると、最適なルートを見つけてエサにたどり着く。塩が苦手だが、そうした障害物を置くとその背後にエサがあっても、それをすぐには通り抜けて行こうとしない。だが障害物をどうやって回避してエサにたどり着くかを学び、より早くたどり着くようになる。また2つの『ブロブ』を一緒にすると、片方が学んだことを相手にも伝える」と語った。

半分に切断しても2分で元に戻り、また約720もの性別があるという。このほか、手足もないのに1時間に最大4センチ移動することができる。
https://jp.reuters.com/article/blob-paris-zoo-idJPKBN1WX0IW

オリジナル(英語)は、


“Paris zoo unveils the "blob", an organism with no brain but 720 sexes” https://www.reuters.com/article/us-france-zoo-blob/paris-zoo-unveils-the-blob-an-organism-with-no-brain-but-720-sexes-idUSKBN1WV2AD


See also


Sophie Lewis “Paris zoo debuts mysterious self-healing "blob" that has nearly 720 sexes” https://www.cbsnews.com/news/the-blob-paris-zoo-debuts-mysterious-self-healing-blob-nearly-720-sexes/
Julie Zaugg “The 'blob': Paris zoo unveils unusual organism which can heal itself and has 720 sexes” https://edition.cnn.com/2019/10/17/europe/france-new-organism-zoo-intl-scli-scn-hnk/index.html


手許の英和辞典(電子辞書)でblobを見てみると、名詞としては「(どろどろとした物の)しずく」「しみ、汚れ」「形のはっきりしない物」という意味しか出てこない。また、blobということで個人的に印象に残っているのは、 Hanna Fenichel Pitkinのハンナ・アレントThe Attack of the Blob*1なのだけど、この本を読んだときには、blobはスライム状の化け物、くらいの認識しかなかった(笑)。

The Attack of the Blob: Hannah Arendt's Concept of the Social

The Attack of the Blob: Hannah Arendt's Concept of the Social

さて、blobをWikipediaで探っていくと、


“Physarum polycephalum” https://en.wikipedia.org/wiki/Physarum_polycephalum
モジホコリhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%82%B3%E3%83%AA


に行き着くようだ。南方熊楠*2が(また昭和天皇も)研究していた変形菌(粘菌)の一種。

「政治少年」の蘇生

山口和人「大江健三郎「幻の作品」が57年ぶりに刊行される理由」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55161


昨年の記事。
2018年に講談社から刊行され始めた『大江健三郎全小説』*1。この全集の目玉の一つは、(政治的な理由によって)これまで単行本に収録されることのなかった大江*2の短篇「政治少年死す」が収録されていること。但し、この記事ではタイトルにある「57年ぶりに刊行される理由」そのものは言及されていない。


「政治少年死す」は、三島由紀夫の「金閣寺」、安部公房の「砂の女」に並んで戦後日本文学を代表する作品である。

ではなぜ1961年の初出以来57年にもわたって、本作は日の目を見ることができなかったのか?

それには歴史的な理由があった。

深沢七郎が1960年11月に発表した作品に「風流夢譚」がある。皇室を舞台としたこの小説が当時の右翼の怒りを買い、一人が版元の中央公論社社長の家に押し入って家政婦を殺害、夫人に重傷を負わせるという事件があった。

当時言論界はこの事件に大きく揺さぶられていた。その直後に発表された「政治少年死す」も、実在の政党党首を刺殺した右翼青年が主人公であると読めることにより、右翼の抗議を受け、版元である文藝春秋はお詫びの広告を出し、書籍化しなかったという経緯がある。

そしてそれ以来、「政治少年死す」はすべての大江氏の短編集・全集に再録されないままだった。

一方、「政治少年死す」の前篇である「セヴンティーン」という作品は、いまでも容易に文庫本で読むことができる。しかしこの書籍化によって、今回はじめて「政治少年死す―セヴンティーン第二部」と続けて読むことができるようになり、作品は完結、語り手の内面の動きが欠けることなく立ち現れることになる。

三島由紀夫の「金閣寺*3安部公房の「砂の女」に並んで戦後日本文学を代表する作品」というのは幾ら何でも大袈裟だろう。そもそも短篇と長篇を同レヴェルで比較するというのはどうよ? ともいえる。
金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

また、

大江作品を読んだことのない若い読者から、何から読んだらいいでしょうと訊かれることがある。何から読んでもよい。大江作品は高尚と思われているが、実はとても卑近な面がある。老若男女が、いかに悩める自分をもてあまし解放の糸口を求めているか? これらの小説にはそのヒントが潜んでいる。

大江氏は徹底的に、周辺に位置している人のこと、マージナルな人のこと、マイノリティー(少数者)を扱ってきた。つまり社会からはみ出していかざるを得ない人たちのことを書いてきた。

*1:See http://news.kodansha.co.jp/20170524_b01

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060127/1138377731 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060305/1141541736 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060913/1158115201 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060913/1158115845 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061007/1160211636 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070219/1171860573 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070524/1180035472 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070805/1186334685 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071017/1192639890 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080228/1204212786 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080612/1213243483 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080724/1216900400 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081025/1224880677 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081101/1225513928 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081212/1229106098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090227/1235701965 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090507/1241664621 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090508/1241746028 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090510/1241928928 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091112/1257995144 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091214/1260769343 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100413/1271127313 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100528/1275052441 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100810/1281438143 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101101/1288543788 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292861075 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292861075 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110327/1301200948 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110427/1303918915 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110707/1310010518 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110813/1313253565 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110829/1314543718 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120401/1333220131 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120403/1333385004 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120425/1335361390 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120929/1348878965 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131212/1386781451 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140725/1406262846 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150626/1435335715 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151129/1448815193 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151211/1449803224 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160302/1456851644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160314/1457888629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160321/1458578210 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160325/1458929101 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160416/1460821073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161227/1482810098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170208/1486559995 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180117/1516161397 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180601/1527821829 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180611/1528686783 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181108/1541648397 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/26/151512 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/08/155000 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/04/22/102037 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/10/08/005048

*3:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20101126/1290795234 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140224/1393212958

場外乱闘/場内乱闘

先ず場外乱闘の方。熊本にて;



ラグビー ウルグアイ代表ら 飲食店員にタックルか 警察聴取」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191016/k10012134601000.html
ラグビー ウルグアイ代表を刑事告訴へ 被害額400万円超 熊本」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191017/k10012136191000.html



場内乱闘。平壌にて;


サッカーダイジェストWeb編集部「「もはや戦争」「ヒジやヒザで襲いかかってきた!」韓国代表団長が明かした北朝鮮の恐るべき“洗礼”」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191018-00010002-sdigestw-socc
キム・ドンヒョン北朝鮮対韓国…これ、21世紀のことですよね? 当事者が語る前代未聞の一戦、現場では何があったのか」https://www.footballchannel.jp/2019/10/18/post343468/
フットボールチャンネル編集部「韓国、北朝鮮による不当な扱いに抗議。応援団や取材陣などの入国拒否で」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191019-00343654-footballc-socc

「相談ではない」

承前*1

『日刊スポーツ』の記事;


IOC札幌変更へ強権発動「相談ではない。この案で」
[2019年10月18日10時18分 ]



2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長(82)が17日、都内で記者団の取材に応じ、国際オリンピック委員会IOC)が提案したマラソン競歩の札幌開催案について「IOC国際陸連が賛成している。受けなければならない」と話し、東京から札幌への変更が確実な情勢となった。IOCトーマス・バッハ会長もドーハで「IOC理事会と組織委は札幌市に移すことに決めた」と二者間での合意を強調。東京都も出席し30日から3日間、都内で行われるIOC調整委員会で結論を出す。

森会長は札幌開催案をIOCバッハ会長の権限で決定した案とし、調整委のジョン・コーツ委員長の電話を通じて「これは相談事ではない。この案でやらせていただきます」と強い意思表示を受けた。

IOCの暑さ対策を検討する作業部会が選手の健康を考え、データを収集。札幌を選んだ理由は「東京と比べ気温が5、6度低い」「国際マラソンを開催している」「五輪開催経験がある」「30年冬季五輪招致を目指している」の4つ。既にバッハ案として札幌ドーム発着案も、森氏に示されていた。

引き金は中東ドーハでの陸上世界選手権。9月27日(現地時間)の女子マラソンは深夜11時59分スタートでも、高温多湿のため4割以上が棄権した。東京でそれ以上の惨状になるのではとバッハ氏が重く見た。

選手輸送や宿泊、警備、会場設営などで経費の大幅増加が見込まれるが「こちら持ちとなったら切ない。IOCに持ってもらいたいと伝えた」という。コーツ氏は「よく精査する」と回答した。

組織委は8日に突如、10日に予定していた五輪チケット2次抽選販売の記者発表を無期延期に。現場の職員は延期理由すら聞かされていなかった。IOCから札幌案を伝えられた日付を森氏は明かさなかったが、この頃だとみられる。9日には官邸で安倍首相と会談。10日には橋本五輪相と一緒に札幌市の秋元克広市長と会談している。

連休明けの15日、再度コーツ氏から入電で即承諾の催促を受けたが「都知事らにも伝えないといけない。待って欲しい」と言い、都側に連絡。翌16日には自ら都庁に赴いて小池百合子都知事に説明した。「知事は困惑していた。この時点で都は同意できない。だから調整委で協議しようとなった」と明かした。

実は、昨年にも北海道での開催案が関係者から提案されていた。森氏によれば「我々の計算にはなかったが(IOCの間では)前から出ていた」という。

水面下で進められ、開催地東京に伝えられたのは発表前日の15日。IOCはそれまで小池氏に相談することはなかった。16年、就任したての小池氏が突然、会場計画見直しをぶち上げて対立した因縁もある。開催地を置き去りに、IOCの強権ぶりが前面に出た。
https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201910180000133.html

ラソン競歩の札幌開催に関して、IOC側は「強権」というより、周到に根回しを行なっている。また、完全に唐突というわけでもなく、「昨年にも北海道での開催案が関係者から提案されていた」。その結果、置いてき堀にされた小池百合子に残された選択肢としては、完全服従とオリンピック返上しかなくなったようだ。勿論、今更オリンピックを返上したいといっても、組織委員会森喜朗)は既にIOCに屈伏しているようなので、返上できないだろう。まあ、小池が北方領土でやれ! と叫びたくなるのも理解できる。
オリンピックというのは建前としては、アテネ、東京、ソウル、北京、モスクワといった〈都市〉が取り仕切ることになっている。しかし、実際に大海を仕切る組織委員会は国家レヴェルだし、競技も国別対抗であって都市対抗ではない。それは根本的な矛盾のひとつだと思うのだけど、今回の意思決定プロセスにおいて東京(小池百合子)が無視されたことで、再度この矛盾が浮き彫りになったように思える(尤も札幌市は根回しの対象となったようだけど)。