三哲は過ぎて

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180824/1535126219に対して、


t-hirosaka*1 2018/08/25 09:06

我が母校がオリエンタル大学東洋とかになったら嫌だなあと思っていたので、たいへん結構な話かと。それはともかく、印哲、中哲復活してほしい。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180824/1535126219#c1535155567

そうか、東洋大学文学部中国哲学・文学科と印度哲学科は2014年に合併して「東洋思想文化学科」になったのですね*2。まあ、私は最後の「仏教学科」生と最初の「印度哲学科」生を知っているのですが。ともかく、東洋大学における(西)哲・中哲・印哲の〈三哲並立時代〉は終わったわけですね。
ところで、私が注目したのは、日本語と英語のずれ。日本語では「東洋思想文化学科」だけれど、英語ではDepartment of Eastern Thoughts and CultureではなくDepartment of Eastern Philosophy and Cultureになっている。この場合、Cultureは複数形の方がいいんじゃないかとも思ったのですが、ともかくEastern Philosopphyを直訳すれば東洋哲学或いは東方哲学になる。「哲学」か「思想」か問題。ちょうど今読んでいるRichard G. Stevens Political Philosophy: An Introductionの中で、「哲学(Philosophy)」の「起源」は専ら古代希臘にあるのか、そうじゃなくて古代印度や中国でも「哲学」は始まっていたのかという問題が議論されている(p.23ff.)。換言すれば、「インド哲学」や「中国哲学」は存在するのかという問題でもある。東洋大学に話を戻せば、「東洋思想文化学科」は「インド思想」、「仏教思想」、「中国語・中国哲学文学」、「東洋芸術文化」という4つのコースに分かれている。 「インド思想」と「中国哲学」。スティーヴンス氏は孔子の偉業とされちているものは果たして「哲学的業績」と言えるのだろうかという疑問を投げかけている(p.26)。まあ、荘子とか『楚辞』の「天問」*3ではなく孔子を基準にする限り、「中国哲学」よりも「インド思想」の方が「哲学」的なんじゃないだろうかとも思うのだけど*4
Political Philosophy: An Introduction

Political Philosophy: An Introduction

楚辭―譯註 (岩波文庫 赤 1-1)

楚辭―譯註 (岩波文庫 赤 1-1)

さて、「東洋思想文化学科」だけど、「東洋哲学研究所」という創価学会系の研究所があって*5、それとの混同を忌避したということなのだろうか。
さて、「首都大学東京」の「東京都立大学」への「改名」を巡って;


播磨谷拓巳*6首都大学から改名で「東京都立大学」が復活 卒業生からも喜びの声」https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/tmu-2018


「卒業生」の声。


人文学部社会学科卒業の池田敬二さん。統合された当時を振り返る。

「統合自体は納得しましたが『東京都立大学』という名称が消滅することには大変憤りを覚えました。当時の石原都知事が、自己顕示欲を満たしたいがための名称変更だったと当時は思いましたが、いまでもそのように思ってます」

名称が戻ることに関しては、「歓迎です。しかし時の権力者によって名称が変えられたり、また元に戻ったりと愛すべき我が母校が翻弄されたことには、さらに怒りがこみ上げています」と話す。


B類工学部機械工学科卒業の宮脇淳さんは、こう振り返る。

「すでに卒業していたので、単純にダサい名前だな〜と思いました(笑)。アンケートでは『東京都立大学』が当時トップだったはずなので、いち政治家のセンスだけで公的な名称を決めるのは止めてほしいですね。オーソドックスな名称が落ち着くのではないでしょうか」

「少し話はずれますが、首都大学東京への統合で私がいたB類(夜間部)が廃止されたことは、私も含め多くのB類生が納得できていないと思われます。年間授業料20万円、5年で卒業という道は、金銭的な支援を受けられない学生にとっては、非常にありがたい公立大学でしたから。私が在学していた95年、96年頃には、B類廃止の案がすでに出ており、最後まで学生組合は、夜間部廃止反対の声を上げていましたね」

AbemaTIMES「首都大改名に現役学生「キャンパスも都立大学駅に戻してほしい」」http://news.livedoor.com/article/detail/15216884/


曰く、


取材に応じた現役首都大生3人はいずれも改名に賛成だと言い、「今の名前では、1回聞いただけでは"Fラン私立大学感"が拭えない。東京都立大学という名前に変えれば、初めて聞いた人にも"ある程度頭が良い大学なんだ"と思ってもらえる」「この春に岡山から東京に出てきたが、地元の人に"首都大学東京を受ける"と言っても伝わらない。都立大学なら、40〜50代くらいの、自分たちのお父さん世代も知っているので、就職するときにもメリットがあるのでは」と話した。

*1:http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/

*2:https://www.toyo.ac.jp/site/depc/

*3:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060829/1156854296 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120611/1339427768

*4:因みに、「インド思想」は英語ではIndological Studiesで、直訳すれば、「印度学研究」になる。

*5:http://totetu.org/ See eg. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E5%93%B2%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

*6:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160901/1472706991 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170410/1491842390 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170429/1493426206 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170430/1493569788 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170809/1502289649 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170825/1503636968 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171009/1507563548 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171026/1509028010 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171030/1509328817 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171031/1509449109 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171104/1509724242 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171117/1510913405 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180209/1518134052 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180312/1520823136 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180322/1521729457 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180426/1524703129 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180517/1526568933 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180523/1527042148 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180527/1527395126 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180628/1530150747 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180704/1530666568 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180712/1531385864