1992年に死んだ

黒田拓也*1「十九歳の地図から見えてくるもの 尾崎豊中上健次没後30年に想う」『書標』(丸善ジュンク堂書店)524、pp.6-9、2022


尾崎豊*2中上健次*3も1992年に亡くなっている。享年は尾崎が26、中上が46で、ちょうど20の年齢差があった。
「尾崎のデビューアルバムのタイトルになり、後にシングル曲としても発表された「十七歳の地図」は、中上健次の最初の小説集『十九歳の地図』に触発されたとも言われています」(p.6)。そうなんだ!

尾崎豊の「ノート」について。

尾崎豊の作品で多くの方々にぜひ読んでもらいたいものとして、尾崎豊『NOTES――僕を知らない僕 1981-1992』(新潮社・一九八〇円)をまず挙げたいと思います。本書は、尾崎がデビューする前の十六歳頃から書き始め、十年間・五十冊以上にものぼるノートに彼が書きつけた言葉の数々が記されています。溢れだす言葉をとにかくノートに叩きつけているような初期の文章から始まり、それらのなかにある断片が、デビュー後には徐々にひとつの作品へと収斂されていくプロセスがとてもクリアに見えてきます。
本書を手に取ると、積み重ねられた言葉の量にまずは圧倒されますが、その中に何度も登場する気になるフレーズが、尾崎の中で熟成し洗練され数々の名曲の中に埋め込まれていきます。それが彼のきれいな声とカリスマ的ともいえるライブでのパフォーマンスとが合わさると、デビューして短期間のうちに多くのファンの心をつかんだのも大いに頷けます。筆者の個人的な体験を申しますと、尾崎は一九八三年十二月にシングルとアルバムを出してデビューするわけですが、私が一九八四年に高校に入学してすぐ、もうクラスの友人たちとで尾崎の曲のことが大きな話題になっていました。札幌の高校生にまでわずか数か月の間に尾崎は浸透していたのです。
本書の魅力をもう一つあげると、それは尾崎が観ていた風景(心象風景も含めて)だと思います。教室の窓から見る外の風景、街のさまざまな貌、友人たちと共に過ごす夜の公園、恋人と過ごすさまざまなシチュエーション等々。ただ一番印象深いのは「青空」です。これは本書の監修・解説をされた須藤晃さんも指摘されていますが、本書の中に「ぼくらはこの青空のひとつぶなんだ」というように、「青空のひとつぶ」というイメージがよく出てくるのです。尾崎が追い求めていたものの核がそこにあるのかもしれません。(pp.6-7)
『十九歳の地図』;

(前略)尾崎豊も影響を受けたであろう『十九歳の地図』(河出文庫・七四八円)はぜひとも読んでもらいたい。新聞配達店で働きながら大学を受験しようとしている主人公は、自分の配達地域の地図に、気の食わない人のいる家の場所に×印をつけ、そこの家に公衆電話から電話をかけて、相手にとってはわけのわからない言葉をぶつけては切る、ということを繰り返しています。なんともいまの時代では絶対に真似をしてはいけない所業ですが(笑)、主人公がそういう無意味な行動に出なければならない、なんともいえない感情、境遇といったものが読み進めるうちに自分の体のなかに入ってくるような気がします。非常に改行の少ないこの作品を読んでいると、中上の思考の強靭な持続力というか言葉が疾走している感じを私は受けます。そしてここでも彼の見ている風景――ここでは同じ新聞配達店で働く年上の男性と暮らす狭いアパートの中の描写やその男性との会話――が印象的です。尾崎のそれと比べて、なにかこう強い臭気を感じるような風景、×印をつけられた人の家の中や人間関係にもなにか臭気がつきまとっているような感じ。時代のせい、といってしまえばそれまでなのかもしれませんが、いまの時代が失ってしまった感覚を、ぜひ若い読者の方には読書を通じて体験してもらいたいと思います。(後略)(pp.7-8)
「補助線」としての立川談志*4。『談志の日記1953 17歳の青春』;

立川談志さんは、天才の名をほしいままにし、自分のやりたいことを時には突っ走って実現させていく、そんなイメージを私は持っていましたが、この日記を読むと大きく印象が変わります。本書は、立川談志さんが高校を中退して十六歳で五代目柳家小さん師匠に入門した翌年、すでに前座として高座に上がっていた十七歳の一九五三年一月一日から十二月三十日までの毎日の日記です。一つひとつの文章は数行の短いものですが、内容は実に豊富です。自身の落語に対するその都度の評価、先輩落語家たちの実力に対する評価、相当な数を観ている映画作品についての批評なども面白いものですが、高校をやめてしまったことへの後悔の念というか、十七歳の若者が普通であれば毎日経験したであろうことへの渇望です。近所に住む友人たちの交流や女性との恋愛を望む記述は随所に出てきます。学校に戻りたいという気持ちも時折書かれますが、一方で自身の落語を評価する厳しい眼があり、短い文章の中に実に瑞々しい葛藤が綴られていくのです。ある意味、尾崎と比べて「大人な十七歳」という印象ではありますが、でもやはり、その時にしか見えないもの、感じられないものは何か共通しているような読後感があるのです。
この談志さんの日記に出てくる印象深い風景は、多摩川の川べりです。実家のある大田区の鵜の木は多摩川の近くだそうですが、そこを散歩したり、その近所の遊園地に行ったりという記述がよく出てきます。談志さんにとってのまさに故郷なのでしょう。家族を大切にし、でも落語のプロとしてさまざまな葛藤を抱えながら生きる十七歳の談志さんの姿を想像しながら、そこに尾崎と中上の姿を思い浮かべて並べてみるのも面白いかもしれません。『日記』と併せて『立川談志自伝 狂気ありて』(ちくま文庫・一一〇〇円)もぜひ手に取ってみてください。ご本人も仰っていますが、談志さんの記憶力の凄さを感じられます。(pp.8-9)
尾崎豊と「自由」*5

尾崎豊はその楽曲の中で「自由っていったいなんだい どうすりゃ自由になるかい」と問いました。彼の中でもちろん「自由」は重要なキーワードです。では本当にどうすれば自由になれるのでしょうか。もちろん簡単な問題ではないのですが、私は徹底的に考え続けるところに自由はあるのではないかと思います。そう、尾崎豊がノートにいろいろと思考をめぐらせながら言葉を叩きつけていたとき、彼はとても自由だったのではないかと、連ねられた言葉の数々を見るとそう思います。また中上健次西村賢太さんなども、やはり書き続けたり、読み続けたりしているときが一番自由だったのではないかと思います。(p.9)

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/02/01/085323

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070427/1177703588 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070430/1177955798 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070502/1178036988 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070518/1179458835 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070827/1188188656 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292781372 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110502/1304366060 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110901/1314899481 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111004/1317691812 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111006/1317837731 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120117/1326765580 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130507/1367890012 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150613/1434169171 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160719/1468949678 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170203/1486140631 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170907/1504808033 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/12/15/021915

*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061226/1167151875 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070219/1171856820 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070306/1173200489 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070325/1174834138 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070608/1181270457 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100202/1265126531 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100916/1284660360 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110131/1296441629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110202/1296628031 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110709/1310238338 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110718/1310962569 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20121019/1350608158 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131120/1384914970 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141226/1419566569 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141231/1420048372 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150610/1433916539 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151211/1449803224 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160219/1455889412 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160228/1456671138 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160830/1472563277 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160905/1473088215 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170309/1489029208 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180529/1527564232 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180626/1529984303 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/14/013029 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/04/22/102037 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/01/24/083741 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/31/113615 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/01/22/111158 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/04/15/113029 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/12/07/082948 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/12/31/030439 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/03/28/094158 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/04/10/125934 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/09/01/143337 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/04/10/130020 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/07/06/164316

*4:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20091031/1256918744 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20111126/1322155791 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150322/1426956503 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20151118/1447868042 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20161228/1482944460 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170424/1493043781 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181014/1539539860 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/13/115207 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/04/10/102947 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/04/18/232218 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/07/15/203223

*5:尾崎豊と「自由」については、橋本努『自由に生きるとはどういうことか』も参照されたい。

「歴史」と「精神分析」(メモ)

承前*1

斎藤環斎藤美奈子成田龍一ニューアカ、オタク、ヤンキー」(in 斎藤美奈子成田龍一編『1980年代』、pp.126-150)


岸田秀を巡って(続き);


成田 (前略)当時私は『ものぐさ精神分析』を読み始めて、「日本近代を精神分析する」という冒頭の一編で躓いてそれ以上なかなか進めなかったのです。美奈子さんがいわれたように、今回読み直してもやっぱりつらい(笑)。精神分析が個人を対象とするだけではなく、「集団」と「歴史」を対象にできるというか、かなりラフにしてしまったという点がその躓きの石なのですが、これは岸田秀さんのオリジナリティなのでしょうか。
環 実は個人に対する精神分析を応用して、社会や時代を斬ろうという発想はフロイトの時点ですでにあったんです。「モーゼと一神教」という有名な論文がありますが、これはまさに聖書の精神分析みないなものです。それから、「トーテムとタブー」や「文化への不満」といった、すぐれた文明批評もあります。フロイトは最初からそういう可能性を秘めた手法として構想しているわけで、岸田さんはある意味それをなぞっているのです。ただし、個人の心を探るためのツールがなぜそう易々と社会に応用できるのかという点は、フロイトもあまりちゃんと説明していないんですけれども……
美奈子 要するにトンデモと考えていいんですか?
環 そうですね(笑)。なぜかというと、反証ができない。そういうもんだと言われてしまえば、「ああ、そうですか」と言うしかない。科学とちがって、精神分析の最大の欠点はこの反証可能性のなさ。それからもう一つは「事後性」。事が起きたあとでしか分析できない。科学だったら仮説を組み合わせて予測ができるわけですけれども、精神分析はあとからしか因果関係を辿れない。自然科学とはロジックがちがうのです。ただ、私はこの事後性に可能性があるという立場ですので、必ずしも致命的な欠点とは思っていないんですけれども、歴史を語る上で岸田さんは(略)ちょっと雑にやってしまった。きちんとやればそれなりに説得力がある理論が展開できたんじゃないかと今でも思っております。(pp.129-130)

成田(前略)[精神分析]がツールということは要するに治癒を目的としているわけですね。とすれば、岸田さんの歴史分析は何を治癒しようとしているのかがわかりにくいのです。しかし、あえてそこにこだわって『ものぐさ精神分析』を読むと、最後のほう(「私の原点」)で自分の出自のことが書かれている。自分はいわゆる「もらい子」で、そのために子どものときからたいへん苦労したと書かれている。とすれば、個人の問題を明らかにしつつ、その個人を取り巻く、日本という集団を併せて分析することが岸田さん自身の治癒に繋がっているのか、とも思うのですね。
環 なかなか鋭いご指摘です。岸田さんは分析家でも臨床家でもありませんでしたが、自己分析に基盤をおいて議論を展開したところはフロイトに似ています。精神分析が治癒を目的としているかどうかは実は議論があるんです。分析をするとたまたま治癒が起こるということは、フロイトの最初の症例「アンナ・O」ですでに述べられています。その人が自分の葛藤をいろいろ語っているうちになんか症状が改善しちゃいましたというわけです。これは、抑圧した体験をうまく語らしめ、意識化できれば、その人は葛藤から解放されるのではないかという仮説なんですね。これがすべての精神分析の基本にあるわけですけれども、これはすごく雑な議論ではあるんですよ。つまり、外科手術をして、お腹を開いて、あとは縫合しなくても勝手に治りますよみたいな感じ。まあ、ラカンの後には治療が目的じゃないとはっきり明言する人も出てきますし、ラカン自身も治療というのは分析の副産物みたいにして起こるというような言い方をしている箇所もあります。治癒をゴールとするのはイケてないみたいな発想が、精神分析にはどうもあるように思います。(pp.130-131)
        

『令和元年のテロリズム』など

本を買った。

磯部涼『令和元年のテロリズム*1新潮文庫、2024

小黒康正『100分de名著 トーマス・マン魔の山』 世界文学の「最高峰」に挑む』NHK出版、2024

北野源氏

共同通信の記事;


源氏物語の「ノート」発見 京都・北野天満宮神職が学ぶ
2024/04/25


 学問の神様・菅原道真を祭る北野天満宮*1京都市上京区)は25日までに、安土桃山時代神職が「源氏物語」を学んだ際に書き残した「ノート」や、江戸時代前期とみられる写本が見つかったと発表した。特集展示「天神様と源氏物語―知られざる関係―」で公開している。6月30日まで。

 詩歌に秀でた道真の慰霊のために、北野天満宮では連歌が代々献上されてきた。そのため神職は古典文学の教養を身につける必要があり、源氏物語の学習が重視されたという。

 発見されたのは「源氏物語聞書」。1597年作成とみられ、連歌師から伝授された内容を書き残していた。主人公・光源氏は、源高明がモデルとされるとの記述もある。
https://nordot.app/1156127431107969616

ところで、近代以前の北野の組織については殆ど無知であったことに気づいた。少しネット検索もしてみたが、まだぴんと来てはいない。
北野天満宮の隣に、天満宮の「御本地仏」を称する東向観音寺という真言宗の寺がある*2天満宮よりも創建が古いこの寺は北野天満宮の神宮寺であったが、この寺が北野天満宮を支配していたのではないようだ。別当として北野天満宮を実際に支配していたのは曼殊院という天台宗門跡寺院である*3


みや「北野天満宮菅原道真を祀る社」https://ameblo.jp/rrerr/entry-11765438298.html


これによると、


寛弘元年(1004年)、北野天満宮初代別当曼殊院門主・是算が任じられて以降、幕末まで北野天満宮別当神仏習合により曼殊院門主が兼ねていました。別当の下に松梅院・徳勝院・妙蔵院の3つの祠官三家があり、菅原氏が世襲していました。さらに境内には32の僧坊が置かれており、北野七保と呼ばれる御供所が従属していました。二十二社(朝廷が幣帛を納める社)の一つとして、朝廷と関係の深い社でした。天正15年(1587年)、関白豊臣秀吉北野大茶湯を開催。慶長12年(1607年)、豊臣秀頼の寄進による拝殿、石の間、本殿、中門などが現存しています。

慶応4年(1868年)、神仏分離令により、別当職の僧籍兼務が廃止。境内にあった仏教関連施設は撤去され、鐘楼と鐘は祇園の大雲院へ、多宝塔は破壊されて扉の一部が地蔵院に、擬宝珠は摂社・地主神社の一部に、多宝塔の本尊は親縁寺に遷されました。神宮寺や僧坊も廃止となり、撤去されました。社家は神職へと移行しています。

明治4年、北野神社と改称。戦後、北野天満宮と改めています。

上掲の共同通信の記事で『源氏物語』を読解していた北野天満宮の「神職」というのは「菅原氏が世襲して」いたという「松梅院・徳勝院・妙蔵院の3つの祠官三家」の者のことだろうか。
さて、源高明は権力闘争に敗れて大宰府に追放されるということで、菅原道真を反復している。但し、道真は都に帰還することが能わず筑前大宰府で客死しているのに対して、高明は一応都への帰還は果たしているのだけど。なお、藤原定家は高明の娘、源明子と藤原道長の子孫ということになる。

笠谷幸生

北海道新聞』の記事;


笠谷幸生さん死去 80歳 札幌冬季五輪ジャンプ金 「日の丸飛行隊」エース
4/26(金) 4:01配信


北海道新聞
笠谷幸生さん

 1972年札幌冬季五輪スキージャンプ70メートル級で表彰台を独占した「日の丸飛行隊」のエースで、日本選手初の冬季五輪金メダルに輝いた笠谷幸生(かさや・ゆきお)さん*1が23日午前7時35分、虚血性心疾患のため札幌市内の病院で死去したことが25日、分かった。80歳。後志管内の大江村(現仁木町)出身。通夜・告別式は家族葬で行われた。後日お別れの会を開く予定。

 ジャンプの有力選手だった8歳上の兄昌生さん(故人)の影響で、小学2年生で本格的に競技を始めた。

 余市高(現余市紅志高)1年だった60年の全日本選手権で最長不倒を飛んで3位に食い込み、その名が知られるようになった。明治大からニッカウヰスキーに進み、日本のエースとして国際大会で頭角を現していった。

 競技生活のハイライトとなった札幌五輪の70メートル級ジャンプは1回目に84メートルの最長不倒を飛んで首位に立ち、2回目は79メートルにまとめて圧勝した。2位に金野昭次さん、3位に青地清二さん(ともに故人)が続いた。表彰式で日の丸3本が掲揚され、日本で初開催された冬季五輪を大いに盛り上げた。

 柔軟で強靱(きょうじん)な足腰を生かした鋭い踏み切りと、後半も飛距離を伸ばす巧みな飛行技術が特徴で、着地で両足を前後させるテレマーク姿勢は世界一美しいとたたえられた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/afedfad0fa9561a81d4bc87f71d3eaacaaadb039

兄の笠谷昌生氏、一緒にメダルを獲った金野昭次氏、青地清二氏がみなとっくに鬼籍に入って「故人」となってしまっているということに哀れさを感じる。
札幌五輪」は既に半世紀以上昔の出来事である。「札幌五輪」を回想しているというのは、その頃の(ティーンエイジャーの)私からしたら、大正時代のことを考えているに等しいのだった。因みに、「札幌五輪」の1972年は連合赤軍あさま山荘事件が起り、沖縄が返還された年でもある(Cf. 坪内祐三『一九七二』*2)。
See also


「「日の丸飛行隊笠谷幸生さん死去 80歳 札幌五輪で金メダル」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240426/k10014433671000.html

何人いるのか?

そういえば、乙武洋匡*1への注目度って、全く客観的な根拠なしの主観的な感じにすぎないのだけど、極右(!)の飯山陽*2以下なのでは? 気の毒であるとともに、或る意味で由々しきことでもある。

Via https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2024/04/27/083809


これに関して、三春充希氏*3曰く、
同姓同名の赤の他人であるようだ。まあ、「小沢一郎」なんてありふれた苗字+名前だろうからね。いったい、世界に何人の「小沢一郎」がいるのだろうか。因みに、その小沢一郎と一時期つるんでいた「山本太郎」は少なくとも2人の(有名人である)同姓同名の赤の他人がいるのだった。日本画*4感染症研究者*5

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060909/1157773946 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060912/1158074582 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160330/1459343463 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160331/1459390045 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160415/1460685137 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160603/1464884753 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160623/1466692840 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160916/1473989840 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170809/1502291499 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180203/1517673830 )http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180422/1524324795 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180510/1525900096 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180702/1530494257 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180704/1530682338 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180819/1534641304 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/06/05/135551 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/04/29/005538 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/07/07/203911

*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/05/23/125644

*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/07/31/103026 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/12/12/002650 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/10/11/203000 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/02/14/022753 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/06/29/083004

*4:See https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20151202/1449074591

*5:See https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/04/11/143054 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/09/170346 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/01/08/143736

Return of Dreamers

Seán Twomey*1 “Army Dreamers Goes Viral on TikTok and Instagram!” https://www.katebushnews.com/2024/04/26/army-dreamers-goes-viral-on-tiktok-and-instagram/


ケイト・ブッシュが1980年に発表した”Army Dreamers”がTikTokInstagramで突然バズり始めた。それに伴って、戦争と貧困を歌ったこの曲のストリーミング再生数が急増している。ケイトの過去の曲が再ブレイクするというのは、2022年にドラマStranger Thingで使用されたことによって”Running Up That Hill”が再ブレイク*2して以来のこと。

Never Forever

Never Forever

Amazon
ビルボード』の記事に曰く、

Kate Bush has been one of the patron saints of TikTok and virality in general since at least 2022, when her “Running Up That Hill” became a resurrected hit – initially boosted by a big Stranger Things synch – thanks largely to the app. The last couple months, she’s had another revived single to her credit, albeit one probably significantly less familiar even to stateside fans who were around for “Hill” on the first go-round: “Army Dreamers,” third single from Bush’s 1980 album Never for Ever.

While “Dreamers” was a top 20 hit in the U.K., it was likely a little too challenging for U.S. top 40 audiences of the time, with its austere waltz arrangement, anti-war lyrics and piercing Bush vocal. Nonetheless, clips of the song – and in particular, its war-themed music video, featuring the singer-songwriter running through the jungle in military fatigues and full makeup – have been racking up views by the millions the past couple months. As a result, weekly official on-demand U.S. streams of the song have risen from under 80,000 for the tracking week ending Mar. 14 to nearly 1.1 million the week ending Apr. 18, according to Luminate – a cumulative gain of 1291%.

“Dreamers” still has a ways to grow before it’s a threat to run back up the charts the way Bush’s signature hit did a couple years ago. Then again, we do hear there’s a new season of Stranger Things coming our way shortly…
(Kyle Denis, Jason Lipshutz and Andrew Unterberger "New Taylor Swift Album Boosts Streams for The Starting Line, The Blue Nile & Other Honorary ‘Tortured Poets’"https://www.billboard.com/music/chart-beat/taylor-swift-tortured-poets-department-charlie-puth-starting-line-blue-nile-1235665301/ )