Sinead O’Connor - Living, Loving, Thinking, Again

もう１週間経ってしまったけど、喪失感は続いている。
（あまり内容のない）共同通信（『東京新聞』）の記事；

シンニード・オコナーさん死去　「愛の哀しみ」大ヒット
2023年7月27日 08時20分（共同通信）
　
　【ロンドン共同】アイルランドメディアは２６日、１９９０年の大ヒット曲「愛の哀しみ」で知られる同国出身の歌手シンニード・オコナーさん*1が死去したと報じた。５６歳だった。家族が発表した。死因は明らかにされていない。
　頭髪を丸刈りにしたスタイルで知られ、時に切ない歌声がファンを魅了した。米人気ロック歌手プリンスさん＝２０１６年死去＝が作詞作曲した「愛の哀しみ」は英米のヒットチャートの首位を長く確保し、世界で数百万枚を売り上げた。
　１９６６年１２月８日、ダブリン生まれ。子どもの頃に母親から虐待を受けたと告白。１８年にイスラム教に改宗した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/265704

See also

Sarah Burns “Sinéad O’Connor, acclaimed Dublin singer, dies aged 56” https://www.irishtimes.com/culture/music/2023/07/26/sinead-oconnor-acclaimed-dublin-singer-dies-aged-56/
Michael Sheils McNamee and Steven McIntosh*2 “Sinéad O'Connor: Irish singer dies aged 56” https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-66318626
“Sinéad O'Connor obituary: A talent beyond compare” https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-35031186
中村明美 *3「悲報。シネイド・オコナーが亡くなる。享年56歳。ミュージシャンも次々に追悼。」https://rockinon.com/blog/nakamura/206887

シネイド・オコナーとは誰か。このことをいちばん的確に示したのは、トーリ・エイモス *4によるトリビュートだったように思う；

Sinead was a force of nature. A brilliant songwriter & performer whose talent we will not see the like of again. Such passion, such intense presence & a beautiful soul, who battled her own personal demons courageously. Be at peace dear Sinead, you will forever be in our hearts. t pic.twitter.com/lJVhGfuTPA
— tori amos (@toriamos) 2023年7月26日

ロバート・キャンベル氏*5曰く、

“My name’s Sinéad O’Connor. I’m a woman. I have something to offer…”
薄絹をスッと切り裂くようなシネイド・オコナーの強い声が好きでした。痛みから生まれた強さであり欺瞞を許さない強さ、その強さが彼女を苦しめ抜いたことも事実で、僕らが生きた時代の闇。RIP🙏https://t.co/pAPVvrp2zh pic.twitter.com/VKwjmKIpxK
— ロバートキャンベル (@rcampbelltokyo) 2023年7月27日

また、ケイト・ブッシュは次のように言葉を手向けている；

It’s like a light has gone out, hasn’t it? A beacon on a high mountain. Sinead didn’t just move us with her incredibly emotive voice, she stood up with it.
I salute her. We were lucky to have such a magical presence move among us.
https://www.katebush.com/news/sinead (Cited in Seán Twomey “Kate pays tribute to the late Sinéad O’Connor” https://www.katebushnews.com/2023/07/27/kate-pays-tribute-to-the-late-sinead-oconnor/ )

或る年齢以上の日本人では、シネイド・オコナーというと、（NHKのBSで放映された）1992年のボブ・ディラン・デビュー30周年記念コンサートでの出来事を思い出す人も（私を含めて）少なくないようだ。ステージに立った彼女は大向こうからのブーイングにたじろいでしまうが、クリス・クリストファーソンが駆け寄って彼女をハグすると、彼女は意を決して、ボブ・ディランではなくボブ・マーリーの”War”をアカペラで歌い切る。ただ、私はずっと彼女を励ましたのはニール・ヤングだったと誤って記憶していたのだった。この機会に、その誤記憶を訂正することができた。
石田昌隆氏*6；　　

R.I.P. Sinéad O’Connor
残念ながら撮影する機会はなかったが、この一件は忘れられない。　Sinead O'Connor: 'War' live at the Bob Dylan Tribute. https://t.co/1x23ReBwza
— 石田昌隆 (@masataka_ishida) 2023年7月27日

スージー鈴木氏*7；

シネイド（シニード）・オコナーと言えば、何といっても、約30年前にNHKで見たこの映像。奇跡の4分間。強さと美しさで呼吸が苦しくなったのを憶えている。似たシーンが、近くこの国の音楽界でも見られるかもという気がしている。それが幸か不幸か分からないけれど。https://t.co/ONJPNivZW6
— スージー鈴木【硬式】：新刊『幸福な退職〜「その日」に向けた気持ちいい仕事術』(新潮新書)5/17発売 (@suziegroove) 2023年7月26日

さて、シネイド・オコナーはアイルランド文化やカトリシズムとアンビヴァレントな関係を有してきた。このアンビヴァレンスが彼女のスピリチュアルな彷徨いに大きく影響していたとも言えるのだけど、アイルランドのトラッドを歌った2002年のアルバムSean Nos Nvaは興味深かった。驚きと納得の両義性において。