「福祉の問題」として - Living, Loving, Thinking, Again

太田敦子*1「そこが聞きたい　信者２世の支援策　旧統一教会信者で牧師　竹迫之氏」『毎日新聞』2022年12月27日

竹迫氏は統一協会 *2「信者２世」への支援を20年続けている。安倍晋三銃撃事件以来「２世」による相談が増えているという。

（前略）２世の多くは、高校に上がる頃にスマートフォンを持ち始める。サタン（悪魔）の情報があふれているからネットは見るなと言われるが、純粋に旧統一教会の素晴らしさを確かめようと、検索してしまう。そこで理想とは正反対の現実に触れ、自分の家庭と教団に疑念を抱き始めることが多い。

「前面に出てくる問題は、経済的困窮がほとんど」。例えば「親が学費に充てる貯金を勝手に献金」してしまうとか。
重要なこと；

（前略）私は「旧統一教会は間違いだ」とは決して言わないようにしている。２世は旧統一教会や合同結婚式があって生まれてきたわけで、それを否定するとその人のルーツを否定することになる。人によってはアイデンティティーの喪失につながりかねない。信仰をやめる、やめないの話はせず、今困っていることからどうやったら脱出できるのかを一緒に考える。
これらは福祉の問題と捉えるべきだ。現実に起こっているのは貧困や虐待。なのに、宗教は自己責任や家庭の問題といった思い込みが強く、福祉サービスにつなぐ専門職ですら自分とは別領域と考えがちだ。新法もいいが、それ以上に目を向けるべきは、現行法の枠内でも救える人はたくさんいることだ。「カルト問題」とラベリングしてしまうと、向き合う心理的なハードルが高くなる。

「居場所」の必要性；

信仰に違和感を覚え親から離れたいと考える若者、とりわけ未成年は具体的な伊庭穂に困る。家を出て困窮し、ブラックバイトや風俗の世界に流れてしまう人もいる。世間とかけ離れた世界で育った２世がいきなり社会に放り出されるのは、泳ぎ方を知らないまま海に投げ込まれるようなものだ。

一世信者高齢化の問題；

２世に今後、重くのしかかる課題だ。親たちは生活費を削って献金し、蓄えはもちろん、年金や保険も積み立ててこなかった。老後一切の収入が途絶え、子どもに依存するケースや介護の問題もすでに出ている。果たして介護義務があるのかと思うが、親を見捨てるわけにはいかないと考える２世は多い。経済的にも精神的にもかなりの負担になる。ここでも福祉サービスにつなげる助けが必要だ。

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/05/27/111554