Culture Gap?

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292816929に対して、


nessko*1 2010/12/20 12:54
>1980年代以来の米国における〈反カルト運動〉
 
これも子供を奪われるという危機感とセットになっていましたよね。子供がカルトに入団して家から去るとか、悪魔崇拝カルトに子供がさらわれて生け贄として殺害されているとか。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292816929#c1292817244
「子供を奪われるという危機感」というか〈我が子を返せ!〉的なノリというのは寧ろ日本の〈反カルト運動〉で強いかと思います。「悪魔崇拝カルト」というのは、ここでいう内閉的・出家主義的教団に直接関わるというよりも、寧ろ植草一秀ファンの一部(最近では〈小沢信者〉というのか)が妄想的に構築している「フリー・メイソン」だのの話であるような気がします*2。米国の〈反カルト運動〉を基本的に動機付けているのは或る種のカルチャー・ギャップでしょう。〈カルト〉と見做されている教団の多くはハレ・クリシュナ統一協会などの亜細亜系だということもありますが、米国において主流文化は個人主義であり、個人主義者たる親は〈カルト〉に文化的異端としての〈集団主義〉を感じ取ってしまう。つまり、自分の息子や娘が〈カルト〉のコミューンとかアジトで集団生活をしているのは端的に言ってキモいという感覚があるようです*3
ところで、米国の〈反カルト団体〉のひとつであるCult Awareness Networkが1996年に某〈カルト〉信者に対する「強制誘拐」「強制改宗」の件で敗訴し、さらに裁判所から「解散命令」を受けた後、そのウェブサイトのドメインがなんと(!)その宿敵である「サイエントロジー」によって買収されてしまったという話が、生駒孝彰『インターネットの中の神々』に出ている(pp.162-163)。
インターネットの中の神々―21世紀の宗教空間 (平凡社新書)

インターネットの中の神々―21世紀の宗教空間 (平凡社新書)

*1:http://d.hatena.ne.jp/nessko/

*2:See http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1849.html also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091013/1255405021

*3:これはあくまで規範的文化の問題であり、実際に個人主義的だとされる米国人が必ずしも個人主義的に振舞っているわけではないし、集団主義的とされる日本人が必ずしも集団主義的に振舞っているわけでもない。ただそれでも、米国に個人主義を是とする価値観が存在し、日本に集団主義を是とする価値観が存在することは否定できないだろう。