2ちゃんねるというのは1つの場所にすぎないわけで

アッテンボロー」さん*1曰く、


では2チャンネルとは何か。結論を先に行ってしまえばインターネットの匿名性を利用して莫大な収益を上げる犯罪組織であり、新たな形を持って登場した反革命右翼の運動体である。細かいからくりについては末尾に上げる反2チャンネル活動をされている人々のブログやサイトを参照して欲しいが、オウム真理教統一協会と言ったカルト宗教が信者を獲得する会に、対象者を山中の施設などに連れ込むことで外界と遮断し情報操作を行って洗脳・マインドコントロールを行っていた物を、対象者が引きこもりなどであることを利用して自宅にいながらにして洗脳・マインドコントロールしているのだ。大量の「プロ固定」と呼ばれるサクラを使い、あたかも2チャンネルの中で主流を占める考えこそが正しいという錯覚を引き起こしている。その為被害者となるのは圧倒的に少年少女や青年層である。
また、

2チャンネルに対する糾弾闘争とは2チャンネルその物を徹底的に叩き閉鎖に追い込むことである。2チャンネルの管理人である西村博之を表に引きずり出し徹底した弾劾を行うことである。
とまでいう。
たしかに、「2ちゃんねる」にトンでもない言説が日々集積され続けている。しかし、「2ちゃんねる」それ自体を「新たな形を持って登場した反革命右翼の運動体」というのはどうだろうか。まるで、「アッテンボロー」さんが批判して止まないカクマル派のようなリジッドな組織を持った党派のようだ。しかし、「2ちゃんねる」というのはたんなる1つの場にすぎない。仮令「2チャンネルその物を徹底的に叩き閉鎖に追い込」んだとしても、そのような場は幾らでも構築され続けるだろう。「2ちゃんねる」があのように怪物的に成長したのは、様々な社会的力及び技術的要素の相互作用の効果であり、「2ちゃんねる」それ自体を主体化するというのは、酷な言葉かも知れないが、〈陰謀理論〉に接近しているとまで言えるのかも知れない。思い出すのは、アメリカを初めとする西側諸国の関係者がアル=カイーダを(多分そのほうが馴染みがあるだろう)レーニン主義式のリジッドな陰謀組織として誤認している、或いは意図的にそのような印象操作を行っているということだ。
また、「アッテンボロー」さんの批判もたんに2ちゃんねらーにネタを提供するだけという効果しか得られないのではないかと思う。いちばん効果的に「2チャンネルその物を徹底的に叩」く仕方は、あくまでも「2ちゃんねる」をネタと見做すこと、2ちゃんねらーと対等なベタな地平に降り立とうとはしないことだろう。さらにいえば、完全に「2ちゃんねる」を黙殺するべきなのかも知れない。というのも、「2ちゃんねる」が怪物的に成長し、「2ちゃんねる」が與論を構成する力を持っているということが信憑性(plausibility)を持っているのは(そう思われているからこそ、このような批判的言説も登場するわけだ)、様々な注視の効果である。つまり、企業の広報部門や総務部門は自社のことが何か書かれていないかと「2ちゃんねる」を開き、マス・メディアもネタを「2ちゃんねる」に探す。さらには、左翼まで〈反革命的(反動的)言説〉を探して、「2ちゃんねる」を彷徨う。このような大注目に、2ちゃんねらーどもがつけ上がらないわけがない。
ところで、「まこと」さんという方の、

確かに右派的団体の関係者が2ちゃんねる等のコミュニティサイトに「潜入」してデマゴギーをばら撒いてして若者達を扇動したりしているという実態は存在するのかもしれません。しかし、2ちゃんねるを含めたネット社会の「ウヨク」的状況の要因をそれだけに求めるのは一面的に過ぎると考えています。

私は、ソ連崩壊やバブル崩壊による不況以後の状況の中で、左翼的ないし戦後民主主義的言説が嘗てほどの社会的訴求力を失い、また新自由主義的グローバリゼーションの中でますます個人が「孤立化」しつつある状況下で、若者達が「ナショナリズム」という「想像の共同体」にアイデンティティや共同性を見出そうしている動きの中で、アッテンボローさんが指摘されているような現象がおきているのだと理解しています。

小林「ゴー宣」「戦争論」や「つくる会」等の運動が一定の若者層の支持を得ている現状にしても然り。単に「右翼」や財界右派の宣伝に若者が騙されているだけ−という短絡的な図式では説明できないと考えます。若者達は、彼らの言説や運動に対して、左翼や戦後民主主義的のそれを代位するものを見出している面もあるのではないかとみています。

まあ、匿名性の高いネット上であればリアル社会では口に出来ないような醜いヘイトスピーチだって吐露できますから、その点もまた「ウヨク」化に拍車を掛けているのではないでしょうか。

こうした状況は、あるいは若者達の「自由からの逃走」へのシグナルなんでしょうか・・・???
http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50757036.html

という意見は穏当かつ正論であると思った。
ところで、「2ちゃんねる」それ自体であるが、殺伐としている、或いはウヨということには還元しきれないとは思う。