金賢姫など

先日、


勿論或る種のバイアスがかかっていることは確実だろうけど、俗にカルトと謂われる内閉的な集団(組織)については、脱退者の語りからしかその内実が明かされないということはあるだろう。北朝鮮の内側については脱北者の語りからしか明らかにならず、統一協会オウム真理教の内実も脱会者の語りを通じてしか理解できない。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130416/1366106496
と書いたのだった。それにつられたわけではないのだろうけど、BBC脱北者を取り上げている。


Rupert Wingfield-Hayes “The North Korean spy who blew up a plane” http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-22244337


金賢姫(Kim Hyun-hui)へのインタヴュー。彼女が〈脱北者〉と呼ばれることはあまりないだろうけど、大韓航空機を吹っ飛ばして*1韓国当局に逮捕されるという仕方で、結果として脱北してしまったといえる。


Stephanie Hegarty “North Korea: Defectors adjust to life abroad” http://www.bbc.co.uk/news/magazine-22209894


2人の脱北者の語り。
一人は政治犯の孫娘。もう一人は党(官)のお目こぼしで危なくておいしい商売をしていた特権層(?)の息子。1990年代の「大飢饉」の時のカニバリズムの「噂」。それぞれの脱北の経緯のほか、(北朝鮮物では定番といえる)児童教育(洗脳)のこと。密告者の話。韓国に定住した脱北者の苦難。それには、韓国語ではなく朝鮮語を話すことによる偏見*2。それから、自動車の運転、ATMの操作、電話の使用、コンピュータの操作といった現代社会で生活するための基本的なスキルが欠けていることが多いこと。

*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070219/1171856820 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080226/1203991862

*2:記事では、“archaic dialect and strange accent”という表現が使われている。「朝鮮語」と「韓国語」については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070712/1184211162 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080519/1211163378 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080711/1215772793 でも言及している。