反復とループ

海底クラブ「ディック・ブルーナの線について」https://kaiteiclub.hatenablog.com/entry/2024/04/01/083000


「京都大丸でディック・ブルーナ展を見た」のだという。
ディック・ブルーナ*1のイラストレーションはミニマムな線(輪郭)と面(色)で表現されている。


展示には貴重な原画がいくつも陳列されていた。印刷されて本になった絵は、まるで描画ソフトで描いたのかと思うほど輪郭線はまっすぐ澱みなく引かれ、色はペカッとして塗りむらがないけれど、原画を近くで見ると輪郭線にはオシロスコープの波形のような細かな筆の揺れの跡があることがわかった。

当たり前だが全部、筆と絵の具で描かれているのだ。描画ソフトで描いた絵はどこまで拡大しても真っ平らで均質だけれど、手描きの線はたとえどれだけまっすぐに見えてもどこかに作者の身体の揺らぎの跡を見ることができる。

この部分が気になってコピーしたのは、ちょうど最近(例えばサイレンのように)音が機械的にループすることと(例えば太鼓の連打のように)同じ音を反復させることの違いをぼんやりと考えていたからだ。