http://d.hatena.ne.jp/lelele/20061010/1160448297
大山倍達については、村井さん*1のテクストへの感想という仕方でhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060226/1140927585でも言及した。大山倍達と「統一協会」というラインは、たしか斎藤貴男さんの本
- 作者: 斎藤貴男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/02
- メディア: 文庫
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という論述には頷くところがある。
いずれにしても、大山さんも藤岡さんも、みずから「私は統一協会員です」といってはいないのであれば、統一教会に賛同したり協力していたというだけで「統一教会と深い関係にあった」とか「統一協会員」と決めつけてしまうのはどうかと思いました。いうなれば、それは戦旗派の雑誌「理戦」に論文を投稿しているから、宮台さんは戦旗派の人間だと決めつけてしまう愚のようなものです。
また、
というのにも。
一方、当時の反共勢力が巧妙に、子ども向けのメディアに反共的なメッセージを入れ込んでいたのだとしても、私自身はまったくそれに気づくことはありませんでしたし、その影響もほとんど受けていません。「バカ一代」も「仮面ライダー」も、ただただヒーローものの楽しくスリリングな物語として見聞きしていただけでした。極真会館に入りたいなどとは思いませんでしたし。
また、『仮面ライダー』云々というのなら、たんに一役者を云々するだけでなく、製作会社とかTV局とかスポンサーといったサイドの事情も考慮すべきかとは思うけれど、元の記事では言及されていたのかしら。そういえば、『仮面ライダー』のスポンサーはたしかカルビーで、若き栗本慎一郎先生が当時カルビーのマーケティングに関与していた筈。
このことにとどまらず、宗教団体や政治団体や国家の特務機関の文化や学術への介入は複雑な問題だろうとは思う*5。現在でも、統一協会、サイエントロジー、或いは創価学会の社会学者や宗教学者への研究助成は問題になっている筈だし*6、60年代から70年代にかけての米国の文化人類学の世界では、ラテン・アメリカや東南亜細亜研究への(迂回されてはいるが)CIA絡みの研究助成金問題で紛糾していた。また、冷戦において米国は蘇聯に対抗して自由な学藝の守護者として振る舞わなければならなかったので、それは一見〈非−政治的〉なものへの助成にも関わっている。例えば、高級文藝雑誌EncounterへのCIAの資金提供とか。寧ろこういう「介入」というのは、プロパガンダだぜと気付かれた時点で失敗といえるかも知れない。1980年代に〈よど号グループ〉の一部は北朝鮮の工作員としてウィーンで日本語雑誌の発行に関わっていたという。実はその雑誌、私は日本で買ったことがあるのだが、〈北朝鮮〉の臭いを感じることはなかった。
ところで、1971年というのは韓国の朴大統領はともかくとして、日本の右派や体制側にとって、それほどの「危機」だったのかどうか。ドル・ショックというのはある。しかし、60年代末の大学闘争が沈静化し、〈70年安保〉を乗り切って、万博が終わって、ほっと一息という感じだったのではないか。糸山英太郎選挙違反問題で笹川良一が危機に立たされるのは数年後だし、ロッキード事件で児玉誉士夫系右翼が危機に立たされるのはさらにその後。
最後に、『仮面ライダー』関係ということで、http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/chisaihanketu.htmlをマークしておく。
*1:http://d.hatena.ne.jp/murai_hiroshi/
*2:名前の後に「、」がつくのが現在の正式な藝名であるらしい。
*3:http://plaza.rakuten.co.jp/sasoriza/diary/200607180000/
*4:面倒臭いので、「、」はつけない。
*5:そういえば、長らく日本の左翼文化人の主要な発言空間は右翼(総会屋)が発行する雑誌だった。また、創価学会も主に『第三文明』という雑誌を通じて、左翼文化人の発言空間を提供していたということは記しておこう。
*6:このことは、特に英国ではサッチャーによる公的な研究助成の大幅削減によって、研究者たちが(いかがわしいものであっても)民間からの研究助成に頼らざるを得なくなったという側面がある。