低学年の記憶

共同通信の記事;


消毒薬「赤チン」、来年で姿消す 最後のメーカーが生産中止
2019年4月16日 20時44分 共同通信

 傷口に塗ると赤色になることから「赤チン」の愛称で親しまれた消毒薬「マーキュロクロム液」*1の国内生産が2020年末で終わることが16日、分かった。日本で唯一のメーカーとみられる三栄製薬(東京)が生産をやめると明らかにした。昭和世代になじみ深い製品がまた姿を消す。

 赤チンはかつて家庭や学校の常備薬の定番だった。しかし、水銀が原因の水俣病が公害に認定され、生産過程で水銀を含んだ廃液が発生することから、1973年に原料の国内生産が終了した。

 三栄製薬などは海外から原料を輸入して生産を続けたが、71年に無色の消毒薬「マキロン」が登場し、売れ行きは落ち込む一方だった。
http://news.livedoor.com/article/detail/16326641/

今まで生き残っていたという方が吃驚。
昔、たしかに傷口に「赤チン」を塗られた赤い脚の子どもは沢山いた。でも、「赤チン」と結びついているのは、小学校低学年までの記憶。特に、学校の保健室の。高学年以後の記憶とは全然結びつかない。多分、それは既に1971年には「マキロン*2が登場しているということによるのだろう。ところで、「赤チン」だけを塗ったということはなかったように思う。先ず、「オキシフル」*3という過酸化水素水を塗って、出てきた泡を脱脂綿で拭き取って、それから仕上げとして「赤チン」を塗るという感じだったと思う。これって、無駄手間だったのか。

まんにょう話

「令和」*1の波及効果で、『万葉集』が(プチ)ブームになっているのだという。
万葉集』を巡ってのShin Horiという弁護士の方の呟き;


→なお万葉集が世間一般で日本の和歌(短歌)の模範であるかのような扱いになったのは基本的には明治以降で、江戸時代までは、万葉集を尊重する人もいたものの、基本的に和歌の模範としては『古今集』が圧倒的な権威を持っていたと思います。


6:39 PM - 15 Apr 2019
https://twitter.com/ShinHori1/status/1117965784876109824


→明治になって、古今集は、古い因習や軟弱な公家文化の象徴ののように扱われて、万葉集が、素朴で力強く勇ましく、庶民と天皇が直結して一体となっているかのようなイメージに結びつけられて、広く歌の手本となっていったと考えられます。


6:43 PM - 15 Apr 2019
https://twitter.com/ShinHori1/status/1117966658738352129

たしかに、江戸時代の古学(国学)でも、契沖法師や賀茂真淵は『万葉集』を推したけど、本居宣長は『古今』を推した。明治以降の情況は手短にいえば上で呟かれている通りで、所謂日本文化の総体的なますらお化(マッチョ化)ということなのだろうけど*2アララギ派か明星派かということもある。明星派は『古今』に対して肯定的だった。さらに扱いが酷かったのが『新古今』で、これは衰退せる貴族文化の頽廃の極み、みたいな扱いをされて、復権されたのは塚本邦雄*3などの前衛短歌の登場以降。戦前に知的な自己形成をした知識人で、典型的な万葉贔屓/古今嫌いというと、白川静先生(Cf.『回思九十年』)。なお、この近代的なマッチョ主義に基づく万葉贔屓は右翼だけではなく左翼の問題でもあった。もしかして、左翼の方が酷かった? 農民から天皇までの全人民参加というポピュリズムは左右共通。昔寺尾五郎*4『悪人親鸞』という本を読んだのだけど、肝心の親鸞に対するコメントよりも、突然藤原定家を呼び出して『新古今』を日本文学史上で最も愚劣と罵った箇所の方が記憶に残っているのだった。
古今和歌集 (岩波文庫)

古今和歌集 (岩波文庫)

新訂 新古今和歌集 (岩波文庫)

新訂 新古今和歌集 (岩波文庫)

回思九十年 (平凡社ライブラリー)

回思九十年 (平凡社ライブラリー)

悪人親鸞 (徳間文庫)

悪人親鸞 (徳間文庫)

ところで、『万葉集』は平安時代に入ると直ぐに意味不明の文書になってしまったという。『万葉集』の解読は平安時代の400年かけてゆっくりと進められ、全体の意味が明らかになったのは、(新古今の時代に属する)平安末期から鎌倉初期辺りだったわけだ(Cf. 小西甚一『道――中世の理念』*5)。鎌倉右大臣源実朝が新古今の時代にいながら所謂万葉調の歌を詠んだのも、400年かけての解読作業の完結と無関係ではないだろう。
金槐和歌集 (岩波文庫)

金槐和歌集 (岩波文庫)

YYM plays Bach on the Border

Amanda Jackson “Cellist Yo-Yo Ma plays a concert at a US-Mexico border crossing to make a point” https://edition.cnn.com/2019/04/14/us/yo-yo-ma-us-mexico-border-trnd/index.html
Nelson Pressley “Yo-Yo Ma’s concert at the border was a beautiful prayer amid an ugly conflict” https://www.washingtonpost.com/entertainment/music/yo-yo-mas-concert-at-the-border-was-a-beautiful-prayer-amid-an-ugly-conflict/2019/04/15/a1c844a0-5fa2-11e9-9ff2-abc984dc9eec_story.html
Norma Matinez, Lauren Terrazas and Jack Morgan “Cellist Yo-Yo Ma Plays Bach In Shadow Of Border Crossing” https://www.npr.org/2019/04/13/713092703/cellist-yo-yo-ma-plays-bach-in-shadow-of-border-crossing
Yuko Funazaki「チェロ奏者ヨーヨー・マ氏「文化は橋を作ります。壁ではありません」米メキシコ国境で演奏」https://www.huffingtonpost.jp/entry/yoyoma-border_jp_5cb3f995e4b098b9a2d5beea


米国(テクサス州ラエド市)と墨西哥(ヌエボ・ラエド市)の国境でバッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」を演奏する馬友友*1。「バッハ・プロジェクト」*2の一環。「壁」ではなく「橋」を。

猿叩き

スポーツニッポン』の記事;


モンキー・パンチさん死去 81歳「ルパン三世」シリーズ原作者「2、3年前から体調を崩す」
[ 2019年4月17日 05:40 ]



 人気アニメ「ルパン三世*1の原作者で、漫画家のモンキー・パンチ(本名加藤一彦=かとう・かずひこ)さんが11日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去した。81歳。北海道浜中町出身。葬儀は近親者のみで営まれた。後日、偲(しの)ぶ会が開かれる。世界的大泥棒ながら、半世紀以上も愛される“ダークヒーロー”ルパンを生み出し、漫画やアニメが大人も楽しめるジャンルとなる礎を築いた。
 70年代からお茶の間を魅了し続ける人気アニメの生みの親が逝った。

 アニメ関係者によると「2、3年前から体調を崩し、故郷の北海道浜中町で毎年参加していたイベントも欠席しがちだった」という。それでも作品50周年の2017年には車椅子で出席。「僕だけの力でなく、いろんな方に手伝ってもらったから。100年続けばいいな」と話していた。

 高校卒業後に上京。電気関係の専門学校を経て、商社や貸本出版社などで働きながら同人誌を作った。アメコミに影響を受けた独特の画風が編集者の目に留まり、65年に漫画家デビューした。

 「モンキー・パンチ」は新人時代、漫画誌の編集長が命名。無国籍でシャレた画風からで、モンキーさんは「格好悪い」と抵抗したが一蹴されたという。

 「ルパン三世」は67年、漫画アクション双葉社)創刊号で連載開始。主人公はアルセーヌ・ルパンの孫であり、大泥棒のルパン三世。従来なら“悪役”だが、アクションありコメディーありの、奥行きある世界観が読者の心をつかんだ。

 71年にアニメ化されると、幅広い年齢層の人気を獲得。連載開始から半世紀が過ぎた今も、新作アニメや映画が製作される国民的人気作となった。

 アニメ関係者は「凄く真面目で勉強熱心な人。一方で作画にパソコンを取り入れるなど、頭の柔らかい人でもあった」。デジタル機器での作画に早くから取り組み、03年に東京工科大の大学院で編集ソフトを作るプログラムを学習。デジタルマンガ協会を創設した。

 日本アニメが“子供向け”とされた90年代以前の海外で、高く評価された作品でもあった。大人の雰囲気をまとった「ルパン」は、フランスやイタリアを中心に多くのファンを得て“クールジャパン”の先駆けとなった作家の一人だった。

 漫画連載は途絶えているが明確な最終回は掲載されていない。07年のスポニチ本紙の取材に「最終回の構想もあったが、今は思案中。完結させないままバトンを渡すのもいい」と話し、次世代の作家に託す意向も示していた。

 ◆モンキー・パンチ(本名加藤一彦=かとう・かずひこ)1937年(昭12)5月26日生まれ、北海道出身。アメリカンコミックに影響を受けて、小学5、6年のころから漫画を描き始める。大学進学のために上京。65年にムタ永二名義の「プレイボーイ入門」でデビュー。「ルパン三世」のほか「どらきゅらクン」などの作品がある。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/04/16/kiji/20190417s00041000086000c.html

ルパン三世 first- TV. BD-BOX [Blu-ray]

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ルパン三世』のアニメには、私たちの世代は多分決定的な影響を受けていると思う。つまり、自分の審美観の中に『ルパン三世』由来の要素が確実にあるということだ。ただ、それはあくまでもアニメであって、 モンキー・パンチの漫画は小学生の読む漫画ではなかった。高校生になって、『一宿一飯』という4齣漫画集を読んで、カラフルに色づけされた『ルパン三世』と白黒の線画中心の漫画とのイメージのギャップに一瞬吃驚したということがあった。
一宿一飯 (1976年) (奇想天外文庫)

一宿一飯 (1976年) (奇想天外文庫)

ところで、ルパン三世山田康雄)も銭形警部(納谷悟朗)も石川五ェ門大塚周夫)も原作者に先立って鬼籍に入っているのだった*2

チキン?

籏智広太*1「「女性議員の不倫疑惑」記事に共産党が法的措置を検討 まとめサイト「政治知新」の実態は」https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/seiji-chi-shin


『政治知新』なるサイトを最近j初めて知った。所謂〈フェイク・ニュース〉サイト。2017年から開設されているというけど、全然知らなかった。「「マスメディアでは報道されない」ニュースを中心に配信していると銘打っており、Twitterのフォロワーは約1万4千人」であるという。また、このサイトの管理人は自民党の神奈川県議会議員の弟であるという。
共産党の声明;


日本共産党東京都委員会「吉良よし子参議院議員に対する中傷攻撃に抗議します」http://www.jcp-tokyo.net/2019/0413/134227/


但し、『政治知新』の名は伏せられている。
さて、


M16A HAYABUSA@M16A_hayabusa Apr 13


「政治知新」拡散者リスト

足立康史吉田康一郎・飯田正就・菊川あけみ・中村格三・渡邉哲也高須克弥・野村修也・石平太郎・小野寺まさる・石井孝明・木曽崇・城之内みな・高岩ヨシヒロ・上山和樹・八阪廉次郎・南充浩・こうの宏士・畠山茂

スゴい!普通の日本人ばっかりだ!
https://twitter.com/M16A_hayabusa/status/1116986298269495296

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170224/1487910099 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170226/1488077743 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170228/1488291005 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170303/1488508478 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170305/1488726602 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170306/1488817967 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170308/1488946981 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170309/1489024533 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170310/1489109908 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170406/1491451136 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170518/1495124746 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170602/1496371973 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170808/1502206282 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170828/1503891141 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170901/1504234324 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170915/1505482432 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171016/1508130214 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171029/1509242444 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171030/1509328817 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180216/1518745088 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180218/1518914252 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180312/1520820898 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180313/1520911677 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180314/1521040212 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180320/1521545409 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180322/1521735826 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180324/1521817988 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180327/1522079446 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180404/1522810591 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180408/1523167515 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180420/1524210748 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180425/1524625976 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180503/1525323385 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180507/1525660176 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180515/1526363020 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180522/1526962984 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180525/1527258646 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180526/1527347080 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180602/1527949714 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180612/1528778849 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180620/1529461445 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180621/1529548733 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180623/1529776858 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180624/1529802385 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180628/1530197448 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180704/1530712511 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180714/1531530628 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180718/1531923814 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180817/1534514850 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180907/1536287108 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180911/1536681700 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181016/1539651296 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/18/014735 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/19/225127 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/26/102920 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/28/135920 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/02/174606 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/21/014403 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/25/225758

或る鼈の死

“China turtle death: One of last four known Yangtze giant softshells dies” https://www.bbc.com/news/world-asia-47932731


4月13日、中国江蘇省の蘇州動物園で雌のシャンハイハナスッポン*1が死亡。享年は90歳以上だという。シャンハイハナスッポンはヴェトナム野生の2頭、飼育されている3頭しか生存が確認されておらず、彼女も死の直前まで同じ動物園にいる雄のパートナーと人工繁殖を試みていた*2。これで、シャンハイハナスッポンの(確認されている)個体数は3頭になった。但し、みな年老いた雄であり、彼女の死によってシャンハイハナスッポンの個体数が増える可能性はなくなった。
See also


Zhang Zhouxiang “Say goodbye to giant softshell turtle” http://www.chinadaily.com.cn/global/2019-04/15/content_37458260.htm
澎湃新聞「蘇州動物園一只斑鱉人工受精時死亡 世界上僅剰3只」http://news.163.com/19/0413/23/ECM9O7J50001899N.html  

*1:Yangtze giant softshell turtle、Rafetus swinhoei、斑鱉 See eg. https://en.wikipedia.org/wiki/Yangtze_giant_softshell_turtle https://zh.wikipedia.org/wiki/斑鳖 https://ja.wikipedia.org/wiki/シャンハイハナスッポン http://www.pbs.org/wgbh/rare/animals/yangtze-giant-softshell-turtle/ Bryan Nelson “Yangtze giant softshell turtle” https://www.mnn.com/earth-matters/animals/photos/8-species-on-life-support/yangtze-giant-softshell-turtle

*2:何歳まで生殖能力があるのか?

百葉箱

キングコング東京*1「百葉箱」https://www.kingkong.tokyo/entry/2019/04/08/060837


「「百葉箱」を目にしなくなって久しい」という。ここでは健在。千葉県内の某小学校。