Kojima's objection

「令和」問題*1を巡って。

大内悟史「読み、題材…「令和」に違和感 専門家「りょうわでは」」https://www.asahi.com/articles/ASM485W3QM48UCVL01Q.html


「令和」に対する小島毅*2の異論;


政府は新元号の出典を『万葉集』巻五「梅花(うめのはな)の歌三十二首并(あわ)せて序」の「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、(後略)」と発表した。小島さんが最初に違和感を指摘するのが、新元号の読み方だ。「令」を漢音で読めば「れい」だが、比較的古い呉音(ごおん)なら「りょう」だ。小島さんは「当時の法制度は『律令(りつりょう)』。皇太子や皇后の出す文書は『令旨(りょうじ)』。大宰府で『万葉集』の観梅の宴を主催した大伴旅人(おおとものたびと)が想定したのは呉音だっただろうから、『りょうわ』でもよいのでは」という。アルファベット表記についても「Reiwaより実際の発音に近いLeiwaにしたらどうだろう」という意見だ。

小島さんは、漢字2字の組み合わせにも異を唱える。「初春令月、気淑風和」から意味をなす2字を選ぶなら「淑和」もしくは「和淑」だという。「令」は「よい、めでたい」という意味で「月」を修飾する。「和」は「(風が)穏やかになる」という意味。「令と和には直接の関係がなく、結びつけるのは無理がある」。『書経』の「百姓昭明、協和万邦(百姓〈ひゃくせい〉昭明にして、万邦〈ばんぽう〉を協和し、〈後略〉)」に基づく昭和も二つの句にまたがるが、国内を意味する「百姓」と外国を意味する「万邦」が対になっているので意味は通る。これに対して「令和は無理やりくっつけている感じがする」という。
元号に「呉音」を使うことはできるのか。奈良時代の「天平」は呉音だけど*3、ほかに呉音を使った元号はあるのか。因みに、「漢音」が正当な漢字音と認定されたのは平安時代初期の延暦年間である*4。まあ、一般的なイメージとしては、呉音は仏教、漢音は儒学(漢学)というイメージがある。だからこそ、基督教系の「関西学院」はカンサイガクインではなくカンセイガクインになる*5。また、朝青龍が呉音でショウリュウというのも仏教徒なので問題ないということだろうか*6