安藤昌益も

中日新聞』の記事;


保守議論「難解すぎ」 自民構想会議

2009年12月28日 朝刊

 自民党が保守の理念を再定義するため、谷垣禎一総裁の肝いりで議論を進めてきた政権構想会議。第2次勧告を出し、議論は新たな綱領を検討する策定委員会に引き継がれたが、メンバーからは「内容が難しすぎる」との声も上がっている。

 「日本にも自生的秩序や徳目を論じた思想は多い。『葉隠』における武士道、安藤昌益や二宮尊徳の農本思想、石田梅岩の商人道などが、それである…」

 構想会議が今月上旬、全議員を対象に開いた意見交換会。配布資料に記された保守に関する説明文は難解で、ある出席者は「意味不明。みんな雪辱を期して地元を回っているのに、執行部は何を議論しているんだと思った」と打ち明けた。

 構想会議は、衆院選惨敗の一因となった党内の路線対立を反省し、一致結束できる新たな旗印を打ち出そうと発足。来夏の参院選をにらみ、1月の党大会で新綱領を決定し、再出発を期すことを目指している。

 しかし、焦点になるとみられた小泉構造改革路線の是非については、いまだに党内の意見が割れており、踏み込むと対立が再燃する恐れがあった。

 このため、執行部は議論を観念的な保守のあり方に誘導したが、参加していた幹部の一人も「さっぱり分からなかった。聞いていると疲れるので、別のことを考えていた」と、認めざるを得ない難解な世界へ入り込んだ形。2次勧告に盛り込んだ政権像も「不必要なことをせぬ政府」という分かりにくい表現になってしまった。

 新綱領の策定委員会には、首相経験者らも参加。24日の初会合では、福田康夫氏が「抽象的なので(新綱領は)もう少し具体的にした方がいい」と注文をつける一幕もあった。

 (城島建治)
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2009122802000127.html

先ず驚いたのは、安藤昌益*1が言及されていること。〈江戸のポルポト〉だよ。安藤昌益をプッシュしていたのは、今では〈北朝鮮帰国運動PR本〉の著者として悪名の高い、在野の左翼哲学者、寺尾五郎だよ。これって、一部の左翼への擦り寄り? それとも、稲田朋美*2ちぇんちぇーへの配慮? 安藤昌益は反佛教・反儒教の〈排外主義者〉だったので、そちらで行くぞということ? 
以前、城内実に対して「こんなのが「正統派保守」だ、というのなら、私は実家にある「フランス革命省察」や「大衆の反逆」を廃品回収に出さなきゃならなくなる」と述べた「自称右翼」の方の言説*3を紹介したことがあったが*4自民党の方も思想的リテラシーの低下は相当なもの。新自由主義を党是にできず、さらに保守主義思想を基礎づけられなければ、熱湯浴路線を邁進するしかないのでは? ただ、左翼は自民党の惨状を喜んでばかりいてはいけない。優秀な保守主義者にねちねちと苛められることなくして、左翼、特に進歩主義思想の質が向上することはないからだ*5
石田梅岩が言及されているので、ロバート・ベラー『日本近代化と宗教倫理』をマークしておく。ベラーにとって、梅岩の心学思想はTokugawa Religionを代表するものとしてあったわけだ。
日本近代化と宗教倫理―日本近世宗教論 (1962年)

日本近代化と宗教倫理―日本近世宗教論 (1962年)