- 作者: 丸谷才一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/08/04
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
丸谷才一*1「バンドネオン」(in 『月とメロン』、pp.105-117)
ピアソラということで、馬友友のSoul of the Tango: Music of Astor Piazzollaとアル・ディ・メオラのDi Meola Plays Piazzolaをマークしておく。
わたしがピアソラに関心を持つたのは筋が通つてますね。
もちろん彼の音楽そのものがわたしの心をとらへた。抒情的でよかつたが、構造がしつかりしてゐた。CDを何枚も買ひ、彼が音楽をつけた映画のDVDも手に入れた。映画はあまり感心しなかつたけれど(藝術と政治といふ二大イデオロギーに毒されてゐる)、音楽それ自体は作曲も演奏もすばらしい。しかし、その底を探ると、ピアソラの生き方は、ジョイスがアイルランドといふ故国の辺境性に執着しながらそれと普遍的なものをしつかりと上手に結びつけたやうに、ピアソラはブエノスアイレスとパリとをいつしょにした。うんと巨視的に言へばさうなる。何だかあまりに図式的にすぎて、こんな言ひ方、滑稽かもしれないけれど、しかし間違つてはゐないはずです。
二人とも、故郷喪失あるいは亡命者となることで、世界市民となつた。ジョイスがアイルランド文藝復興に袂別したと同じやうに、ピアソラはタンゴを捨てやうと決意して……ピアソラ伝で一番おもしろいのはここの所ですね。(pp.108-109)
Soul of the Tango: Music of Astor Piazzolla
- アーティスト: Astor Piazzolla
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1997/11/13
- メディア: CD
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
- アーティスト: Al Di Meola
- 出版社/メーカー: Mesa / Bluemoon
- 発売日: 1996/11/05
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061007/1160211636 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070112/1168605677 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070127/1169915568 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070507/1178561806 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070509/1178680441 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071024/1193204480 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080910/1221023275 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080924/1222282860 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090301/1235918301 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090706/1246906032 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090711/1247338782 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101022/1287730718 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110129/1296321747 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110218/1298037284 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120503/1336015456 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120528/1338142357 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20121015/1350274808 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130621/1371749803