小西甚一 

http://d.hatena.ne.jp/akehyon/20070531にて、比較文学者の小西甚一氏の死去を知る。
『毎日』の記事;


訃報:小西甚一さん 91歳 死去=筑波大名誉教授、比較文学専攻

 小西甚一さん 91歳(こにし・じんいち=筑波大名誉教授、比較文学専攻)26日、肺炎のため死去。葬儀は親族のみで済ませた。自宅は非公表。喪主は妻晃子(あきこ)さん。

 一貫して比較文学的研究の立場で中世文学から和歌、物語、能楽漢詩文などを幅広く研究した。87年に勲二等瑞宝章。92年に「日本文藝史」(全5巻)で大佛次郎賞、99年には文化功労者に選ばれた。高校生の受験参考書「古文研究法」はロングセラー。

毎日新聞 2007年5月31日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20070531ddm041060146000c.html

はっきり言って、小西甚一という人は、私たち及び私たちよりも上の世代にとっては、東京教育大学の廃止=筑波大学開設を仕切った超反動野郎として有名だった。死亡記事には、そのような〈政治的業績〉もちゃんと記載すべきであろうとは思った。学者としての小西氏であるが、記事にもある古文の受験参考書を挙げている人は多いようだ。私が(その政治的スタンスを超えて)この爺やばいぞと思ったのは、講談社現代新書から出ていた『「道」――中世の理念』という本。たしか、小松和彦氏が小西氏に言及しているのを読んで、買ったのだと思う。「道」という鍵言葉と「雅」/「俗」の対立によって、古代でも近代(近世)でもない「中世」を見事に描き切っていた。