「アルタイ」に開かれて

承前*1

セネシオ「ラ行の驚き 元号「令和」で思ったこと&「UDデジタル教科書体」がすごかった。」http://cenecio.hatenablog.com/entry/2019/04/08/160232


曰く、


らりるれろで始まる日本語を思い浮かべてみると、「乱」「理解」「連絡」「老人」「ランニング」など漢語(中国由来)やカタカナ語(英語をはじめとした外来語) ばかりだということがわかる。(もう少し厳密にいうと、アイヌ語、擬音語以外)。このことは日本語学を学ぶとき「日本語の音声/音韻」のところで新鮮な驚きとともに知る事柄のひとつである。

またこれは、朝鮮語アルタイ諸語トルコ語モンゴル語満州語など)に共通する特徴とも言われる。ラ行の音は漢語とともに入ってきて、日本人はその音を受け入れた。朝鮮半島の人々は発音しにくいのでナ行・ア行に変えて使っている。「乱」はナン、「老人」はノイン、「李」(苗字)はイ、「林」はイムといった具合。これは語頭の話で、語中ではラ行は発音される。

昔、韓国語などアジアのことばをかじったことがある。日本語について理解を深めたいなら中国語(北京語+広東語)、韓国・朝鮮語タイ語などの言語を幾つか勉強するように推奨されていた。確かにかじっただけでも予想外の豊かな収穫があった。たとえば韓国人はラ行を発音しないのに対し、北朝鮮ではラ行を発音する。韓国人の友人は「あの人たちはいつも力んで発音するからね」と笑ったが、漢語としては正しい発音なのでその方がわかりやすいと思ったものだ。

南北の違い、か。

ちょっと声に出して らと言ってみてください。次に なと言ってみて。舌の位置は同じ。歯茎にくっついている。ではどこが違うか。「な」は鼻に抜ける音、鼻音である。(鼻音:「ま」や「ん」のような)。「だ」も「ら」「な」と似ている。似た音は外国人でなくても日本人の幼児もよく混同する。
よく言われるのが、日本語のラ行が英語のdに近いということ。puddingは日本語になると「プリン」に化ける。或いは、「江戸文学」と「エロ文学」*2
ところで、「令和」の「令」という字の書き方も話題になっているけど、考えてみれば、手書きの字と活字、私的なメモやノートに使う字と公的な字*3は別物だと考えればいいということだと思う。例えばそもそも、もんがまえを律義に略さないで書いている人というのはいるのか。