田辺聖子 - Living, Loving, Thinking, Again

『朝日新聞』の記事；

作家の田辺聖子さん死去　９１歳　文化勲章受章

2019年6月10日 14時21分朝日新聞デジタル

　人生の機微をすくい取った恋愛小説や、ユーモアにあふれたエッセーで人気を集めた文化勲章受章者の作家、田辺聖子（たなべ・せいこ）さん*1が、６日午後１時２８分、総胆管結石による胆管炎のため、神戸市内の病院で死去した。
　９１歳だった。通夜・密葬は親族で営まれた。喪主は、弟の田辺聰（あきら）さん。後日、東京と大阪でそれぞれお別れの会を開く予定。
　大阪市生まれ。写真館だった実家が戦災で焼失し、敗戦直後に父が死去した。樟蔭女子専門学校（現・大阪樟蔭女子大）卒業後、大阪の金物問屋に就職。一家の生計を支えながら小説を書き、大阪文学学校にも通った。
　１９５７年、女の一生を生き生きとした大阪弁で描いた「花狩（はながり）」が雑誌の懸賞小説に佳作入選してデビュー。６４年、放送作家の女性と党員の男性の恋を、女性の男友達の醒（さ）めた視点でつづる「感傷旅行（センチメンタル・ジャーニィ）」で芥川賞を受賞した。
　その後、鋭い人間観察をユーモアでくるんだ多くの作品を発表。恋愛小説では自立する独身女性、ドラマ化された「姥（うば）ざかり」シリーズでは老後を楽しむ女性ら、時代を先取りする人物を描いた。
　「カモカのおっちゃん」のモデルとして親しまれた夫の故・川野純夫さんとの生活を軽妙につづったシリーズや、社会風刺の利いたユーモラスなエッセーも人気を集めた。「ひねくれ一茶」（９３年吉川英治文学賞）、「道頓堀の雨に別れて以来なり　川柳作家・岸本水府（すいふ）とその時代」（９８年泉鏡花文学賞、９９年読売文学賞ほか）など評論・伝記文学でも高い評価を得た。「源氏物語」など王朝文学の翻案にも力を注いだ。
　９４年菊池寛賞、９５年紫綬褒章、００年文化功労者、０６年度朝日賞、０８年文化勲章受章。ＮＨＫの朝の連続テレビ小説「芋たこなんきん」（０６～０７年）では、主人公のモデルとなった。
https://news.livedoor.com/article/detail/16596189/

住友陽文氏*2曰く、

住友陽文@akisumitomo
‏
田辺聖子さんの回想録『欲しがりません勝つまでは』は、こうの史代さんの『この世界の片隅に』の、あの玉音放送のくだりなどのヒントになっている文献です。いわゆる「意識高い」系の軍国少女だった彼女の回想録は日本近現代史の二次史料としても貴重なものです。
Translate Tweet
10:38 PM - 9 Jun 2019
https://twitter.com/akisumitomo/status/1137957122644226048

何しろいちばん印象に残っている作品が、『大阪弁ちゃらんぽらん』や『大阪弁おもしろ草子』といった大阪弁に関するエッセイであり、長い間、田辺さんといえば大阪の言語や文化を代表する人というイメージがあった。ご本人は伊丹市にずっと住んでいたけれど。色々な人が自らのフェイヴァリットな作品を挙げているけれど、珍しく私が読んだことのある古代歴史小説である『隼別王子の叛乱』、関西文壇楽屋落ち的SF短篇集『お聖どん・アドベンチャー』を挙げておく。