いろんな人が

川勝平太氏が「つくる会」メンバーかどうかというのが話題になっている*1
川勝氏の著作って、単行本としては『日本文明と近代西洋』くらいしか読んでいない。全体的なスタンスとして、梅棹忠夫流の「生態史観」を引き継ぐ者ということでよろしいんでしょうか。まあ非マルクス主義或いは反マルクス主義なので、〈左翼〉に嫌われるのは仕方ないか。『日本文明と近代西洋』で、廣松渉の『生態史観と唯物史観』を「生態史観」を批判するぞと意気込んで結局は「生態史観」に降参していると評していたような気がする。とにかく、それなりに面白い本だったと思う。

日本文明と近代西洋 「鎖国」再考 (NHKブックス)

日本文明と近代西洋 「鎖国」再考 (NHKブックス)

文明の生態史観 (中公文庫)

文明の生態史観 (中公文庫)

 
生態史観と唯物史観 (講談社学術文庫)

生態史観と唯物史観 (講談社学術文庫)

さて、http://d.hatena.ne.jp/dj19/20090714/p1に引く『文藝春秋』2009年4月号の「識者33名&政治記者84名アンケート - これが日本最強内閣だ」ですが、多くの人は川勝氏が「総理大臣」に櫻井よしこを選んだことに注目しているけれど、私が見て、興味深かったのは「防衛大臣」に宗教学者山折哲雄先生を、「厚労大臣」に生物学者中村桂子さんを選んでいること。このセンスはけっこうユニークなものだと思う。
新しい歴史教科書をつくる会」が結成されたとき、その「賛同人」には予てから敬意を抱いていた知識人も名前を連ねていて、軽いショックを覚えたということはある。(敬意を抱いていた方とは別だが)有名どころだと、林真理子*2。平和主義者で、宝塚と林真理子のファンで、熱湯浴とフェミニズム(というよりも上野千鶴子個人)が嫌いな荷宮和子さん(『なぜフェミニズムは没落したのか』)もこの林真理子=「つくる会」問題に関して弁解を試みていたと思うが、どういうふうなものだったかは忘れた。或いは、岸田秀*3。たしか、網野善彦にそれを追求されて、弁解にならない弁解をしていたと思う。ただ、最新の「賛同人」名簿*4には既に岸田の名前はなく、ということは、網野善彦生涯最後の大仕事は岸田秀を一喝して「つくる会」を抜けさせたということ? さらには、元中央大学全共闘北方謙三とか。それから、川勝氏関連のテクストとして、加藤祐三編『近代日本と東アジア』*5に収められた、加藤祐三氏との対談「世界史のなかの日本と東アジア」(pp.235-258)が手許にあった。この本は「横浜市海外交流協会」主催のシンポジウムを元にしているが、シンポジウムの報告者のうち、川勝氏だけが報告を論文化していない。
近代日本と東アジア―国際交流再考

近代日本と東アジア―国際交流再考