4年で!

『スポーツ報知』の記事;


松田聖子中央大学法学部通信教育課程を卒業「法律を学ぶことができた4年間は素晴らしい時間」
3/25(月) 4:00配信


スポーツ報知

 歌手の松田聖子(62)*1中央大学法学部通信教育課程を卒業したことが24日、分かった。学士(法学)の学位が授与された。

 松田は数年前から、レコーディングやコンサートなど音楽活動の合間を縫って、勉学との両立に励んできた。スポーツ報知にコメントを寄せ、「この度、中央大学法学部通信教育課程を卒業することができたことを、大変幸せに思います。中央大学で法律を学ぶことができた4年間は、私にとって素晴らしい時間でした。あたたかくご指導いただきました先生方、関係者の皆様に心より御礼申し上げます」と心境をつづった。

 1980年4月に「裸足の季節」でデビューし、40年以上のキャリアを誇る。アーティストとして第一線を走り続ける中、悔いを残さないために、大学に進学して学び直すと決めた。

 リカレント教育(=社会人になって学び直すこと)を通じて、新たな知識やスキルを得た松田。いくつになっても挑戦を続け、結果を出していくのは努力の賜物(たまもの)だ。来年はデビュー45周年を控えるが、「大学で学んだことを糧にして、これからも仕事に励んでまいります」と誓った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e7c24813dfaf4faca0017dbd8ef86f9a0cf77d4

学部は何であれ、4年間で通信教育課程を卒業できたということが凄いと思った。正確な統計があるのかどうかも知らないけれど、4年間で通信教育課程を卒業した人はかなり少ない筈だ。さらに、卒業率そのものが低く、学業が途中でフェイド・アウトしてしまったとうことも多い筈だ。何故通信教育を卒業するのが難しいのか。普通、大学に行くというのは、決まった場所にある校舎まで歩いたりとか、また電車などの公共交通で行き、大学側がその時間割を指定した授業に出席するということを基本とする。つまり、何時何処で学習するのかということは、大学側によって他律的に決められている。それに対して、通信教育の場合、何時でも何処でも学習することができる。というか、自由に(自己責任で)学習環境を設定せざるを得ない。また、通信教育の場合、キャンパスや教室という特別な場所がないので、学業は日常的な仕事や家事と空間的に地続きになる。そうだと、仕事や家事が忙しいので学業の方は今いいか! という感じにより流されやすくなる。学業をサボっても、それを責める人は周りにいないので。通信教育というのが孤独な学習であるということも挙げなければいけないだろう。私たちが学習するに当たって、ピア・プレッシャーというのは重要である。特定のクラスメートに対して、競争心を燃やしたり、劣等感や優越感を持ったりすることによって、学業が動機付けられるということはある。通信教育の場合、動機付けにおいて他者に頼ることはできない。モティヴェーションを維持するには自分で自分を鼓舞していくしかないのだ。
松田聖子さんが4年で通信教育課程を卒業できたということは、何よりも自律的に自分の時間管理をする能力があり、自分を鼓舞してモティヴェーションを維持することができたということだろう。
ところで、新型コロナウィルス禍におけるオンライン授業の促進というのは、普通の大学教育をかなり通信教育に近づけることではなかったか。だとしたら、今年大学を卒業した人たちというのは、或る意味で松田聖子さんと似た条件の下で学業を続けてきたわけだ。
また、松田聖子といえば神田沙也加の急死による喪失感ということが報じられた。学業に勤しむことが喪失感を緩和することに役立ったということは想像に難くない。