『朝日新聞』の記事;
社会学者の見田宗介さん死去 84歳 「現代社会の理論」
4/10(日) 5:00配信
著書「現代社会の理論」「気流の鳴る音」など幅広い著述活動で知られる社会学者で、東京大学名誉教授の見田宗介(みた・むねすけ)さん*1が1日、敗血症で亡くなった。84歳だった。葬儀は近親者で営んだ。
1937年東京都生まれ。60年に東京大学文学部社会学科を卒業。65年に同大学院を満期退学後、東京大学教養学部で講師、助教授を務め、82年に教授に就任。退官後、98~08年には共立女子大学教授を務めた。
社会心理学、現代社会論が専門。社会科学的な分析の明晰(めいせき)さとともに、詩的で直観的な対象の把握と文体が結びついた独自の視点とスタイルの研究、評論活動で注目された。60年代には流行歌や文学作品、映画、新聞の人生相談欄など、数量化されない質的データの社会学的分析を試み、「価値意識の理論」「近代日本の心情の歴史」などにまとめた。
70年代には論文「まなざしの地獄」で連続射殺犯の永山則夫を考察。真木悠介(まきゆうすけ)のペンネームで「人間解放の理論のために」「現代社会の存立構造」を発表し、現代における個人と社会構造のつながりを論じた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3270282bcd43f6ee67fdf1801a65a2130212a915
大学1年の初ゼミ参加後、先生の研究室に伺い、違和感を申し上げたのが最初の交流です。曰く:そこに至る経路が不確か過ぎる理想を掲げる営みは、現実を我慢させる週末のシャワーとして既存システムを補完するだけじゃないか。先生は1969年の廣松涉との対談を示され、問題を理解していると仰言いました https://t.co/xcopnUB4YU
— 宮台真司 (@miyadai) 2022年4月10日
伊達聖伸氏*3;
見田宗介先生亡くなられたのか。生前お目にかかったことは一度もなかったけれど、真木悠介の名で書かれた『時間の比較社会学』を読んで、宗教(社会)学でこういうことができそうとワクワクしたのを覚えている。追悼の気持ちで『現代思想 見田宗介=真木悠介』の加藤典洋との対談を読む。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
真木悠介の筆名を使ったとき最初に共感してくれた一人が寺山修司だったという。「非常によく分かります。好きなことをやりたくなったのでしょう」と言われたらしい。締切のある仕事は見田で、締切のない仕事は真木で書くようにしたとも。「ペンネームというのは、家でなんですね」というのもよい。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
訂正:「家でなんですね」→「家出なんですね」。見田=真木と寺山修司に接点ができたのは、鶴見俊輔の『思想の科学』とのこと。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
加藤典洋が見田宗介の仕事に興味を抱くようになったのは『現代社会の理論』(1996)からとのこと。消費・情報社会の光と闇を「みはるかす」見田の視点に、加藤は戦後問題の本質は左派・右派の双方を「みはるかす」視点を持たないと見えてこないと書いた『敗戦後論』と同型のモチーフを見たという。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
見田宗介のゼミ生選抜基準が、「批判されると思いますが」と断りつつ、「センスのいい人」「人柄のいい人」というのもよい。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
隠岐さや香さん*4;「人間がいいということは、とても大切なことです。頭が良くても、シニカルな人や攻撃的な人は(東大生などに多いのですが(笑))、他の学生を萎縮させる、とくに後輩たちや、デリケートなセンスのいい人を萎縮させるので、のびのびとした自由な空気をダメにしてしまうのです」。
— 伊達聖伸 / Kiyonobu Date (@KiyonobuDate) 2022年4月10日
見田宗介氏の文章には受験のため契約してたZ会の通信教育で出会った。宮沢賢治論だった。そこから興味を持って『自我の起源』『時間の比較社会学』を始め一通り読んだ。それまで受験勉強一色だった学部一年生にはいずれも新鮮だった。大学ではこういうことを考えていいんだと思った
— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) 2022年4月10日
その後、フランス語を頑張ったり言語学に興味を持ったり、相対論を独学しようとして挫折したりと、紆余曲折を経て科学史に進学した頃には見田氏の書物から遠ざかっていた。特に院に入ると専門家かぶれになり、どの分野か自分で分類できない書物を後回しにする癖がつき始めたというのもある。
— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) 2022年4月10日
だけどつい最近、ある場所で日本の現代社会思想史という枠組みで見田氏のお名前を目にした。その時、ああ、確かにこの方の著書は日本の思想史の一部だと実感した。そのタイミングで目にした訃報だった。一読者として心より冥福をお祈りします。
— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) 2022年4月10日
「本ノ猪」氏*5;
社会学者の見田宗介さん死去。ご冥福をお祈りします。
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) 2022年4月10日
「禁欲は大切なことであり、ぼくたちは禁欲的に生きなければいけないものですが、学問の問題意識においてだけ、少なくとも社会学という学問の問題意識においてだけは、ぼくたちは、禁欲してはいけないのです。」(『社会学入門』岩波新書より) pic.twitter.com/62eYEiyg7I
丸尾宗一郎氏;「「越境する知」ということは結果であって、目的とすることではありません。何の結果であるかというと、自分にとってほんとうに大切な問題に、どこまでも誠実である、という態度の結果なのです。」(見田宗介『社会学入門』岩波新書より)https://t.co/brWqvcOvi5
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) 2022年4月10日
見田宗介さんの訃報を聞く。大学1年生の夏学期の駒場の基礎演習、内田隆三先生の授業に衝撃を受けた。田舎の高校生にとってはそれまでまったく無縁だったタイプの知性だった。その内田先生が学期最後の授業で、「私の師匠がね…」と言って話し始めたのが見田さんを知ったきっかけだった。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
内田先生は「私の師匠は『本質的なことが大事だよ』と何度も言った。君たちにもこの言葉を贈ります」といったことを話していたと記憶している。「本質的なことが大事だよ」は、田舎から出てきて何をどうしていいかようわからん大学1年生の男の子にとっては、何か導きの言葉のように聞こえた。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
「その師匠って誰なんだろう?」と思い、内田先生に尋ねてみた…わけではないのが自分のダメなところなんだけど、授業の後にネットで師匠っぽい人を探して見田さんに行き当たった。で、駒場図書館で検索して当時最近刊だった岩波新書の『社会学入門』を手に取ったのだった。図書館の中で読んだ気が。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
〈色彩にもまた近代の解放があった〉から始まる柳田國男を論じた文章や、朝日歌壇の作品を分析した文章が本当におもしろく衝撃を受けた。交響圏とルール圏の部分は難しかったけれど、こういう文章をきちんと読めるようになりたいと思った。そこから駒場図書館で見田さんの本を大量に借りて読んだ。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
ファンになって(『まなざしの地獄』『自我の起原』がお気に入りだった)、2年生のときには私塾にも行った。大澤真幸さんが「社会性の起原」の元になる発表をされていたり、十牛図を読むという見田さんの講義があったりした。のちに現代ビジネスで「社会性の起原」を担当するのだから人生は不思議。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
面白かったのは、塾生同士の関係についての見田さんの言葉だった。「無理やり交流をする必要はない」といったことをおっしゃっていたと思う。たぶん見田さんご自身が放っておかれるのが好きなタイプなんじゃないかと推察するけど、その押し付けがましくなさ、解放感のようなものも魅力的だった。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
もちろん好きになってもう10年経つので相対化する部分もあるけれど、折に触れて見田さんの本を開く。子供ができたときは『自我の起原』のカイロモンについての記述を思い出して感動を深めた…みたいなこともあった。これからも人生を豊かにしてくれると思う。心よりご冥福をお祈りします。
— 丸尾宗一郎 (@miduwo) 2022年4月10日
高梨治氏;
打越正行氏*6;社会学者、見田宗介(真木悠介)氏逝去の報。
— 高梨治(Osamu Takanashi) (@nashishi036) 2022年4月10日
大学生で読書会でわからないなりにも『人間解放の理論のために』を読んで衝撃を受けた。『現代社会の論立構造』も何度読んだろう。無人島に一冊と言われたら躊躇いなく『宮沢賢治』であり、何度も再読している。
すぐに取り出せる本を出してきた。合掌。 pic.twitter.com/QWMgZrlryq
見田宗介さん。社会を華麗に読み解く社会学者だった。そこからはこぼれ落ちた、永山則夫の〈生活-文脈〉を愚直に読み直した論考。
— 打越正行 (@uchikoshi_m) 2022年4月12日
■宮内洋・松宮朝・新藤慶・石岡丈昇・打越正行、2018、「貧困調査のクリティーク(3)――『まなざしの地獄』再考」『北海道大学大学院教育学研究院紀要』131: 33-54.
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070515/1179237549 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070517/1179405423 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070602/1180807861 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070705/1183661994 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090607/1244348445 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090904/1251999170 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20110206/1296966968 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/06/125926 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/12/145835 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/17/145849
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050902 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060121/1137869912 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060124/1138069211 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060502/1146551271 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061002/1159772282 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061128/1164677475 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070202/1170441629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070307/1173235468 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070430/1177912932 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070522/1179863073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070704/1183564169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070819/1187533864 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070826/1188138525 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071027/1193510497 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071031/1193848667 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080405/1207424173 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080909/1220972402 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090210/1234250786 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090323/1237832981 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101004/1286217034 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101213/1292264882 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110630/1309460207 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110715/1310699482 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110822/1314038999 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110901/1314899481 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120318/1331998796 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120512/1336794786 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20121019/1350608158 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130408/1365352666 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130725/1374722806 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131009/1381333783 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20131030/1383102263 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150131/1422717323 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150211/1423627991 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20161211/1481399303 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180913/1536809208 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/21/113910 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/01/30/175741 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/13/030535 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/01/19/010132 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/03/24/153525
*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/19/102029
*4:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140903/1409763221
*5:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/07/21/112304 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/21/011053 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/06/08/094824 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/04/05/140910
*6:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070809/1186627583