「牛丼一筋八十年」だった - Living, Loving, Thinking, Again

1980年に吉野家が倒産。今の明るい雰囲気からは想像も出来ないけど、この頃の吉野家はまずくて、店員も殺伐として陰気なムードだった。中島みゆきの『狼になりたい』の「夜明け間際の吉野家では」って歌詞は、陰気な店のそんな時間にいる人間は相当に訳ありってことでリアリティがあった。
— 懐かしい昭和時代 (@natsukashi__) 2021年3月27日

「味の吉野家／牛丼一筋八十年」という演歌風のCMソングを覚えている人なんてどれほどいるのだろうか。「吉野家」*1が変わったというより、ほかのファスト·フードのブランドの価値が相対的に低下したということもあるんじゃないか？　因みに、中島みゆきの歌では「吉野家」ではなく「吉野屋」になっている*2。
さて、餅乾王先生*3曰く、

当時の吉野家の風景とそこから喚起されるさまざまな気分や想像力の類は、吉野家そのもののあり方もさることながら、まずあの「深夜」「夜明け前」という時間帯の禍々しさがまだ確実にあった時代だということから考慮せにゃならんようになっとると思います、最近のご時世ではなおのこと。
— king-biscuit (@kingbiscuitSIU) 2021年3月27日

「夜明け」に遠い「深夜」ということで先ず思い出したのは、カルメン・マキ＆OZの「午前一時のスケッチ」*4；

雨上がりの街角
しゃがみこんだ女
ネオンサインの反射で
泣いているのがわかる

また、沢田研二（阿久悠）の「勝手にしやがれ」*5で、「寝たふりしてる間に／出ていっ」た女は「夜明け」までの間、何処にいたのだろうか。「吉野屋」に寄ったか？

カルメン・マキ&OZ

アーティスト:カルメン・マキ&OZ
発売日: 1994/11/26
メディア: CD

「「深夜」「夜明け前」という時間帯の禍々しさ」という。「夜明け前」とは正反対の夕方の「禍々しさ」は逢魔が時 *6として既に定着している。東空の白んだ「夜明け前」の「禍々しさ」を表現する言葉って何だろうか。それよりも、「夜明け前」というと、岡林信康とか、「醒めよ我が兄弟／暁は来ぬ」とかが先ず思い浮かぶのは、やはりこちらの左翼的バイアス故だろう。