使役動詞


「なんかさ、五輪の公式のボランティアが、あまりにも不人気なんで、結構、やばいのよ」

「なにが?」

「勝手にさ、私たちのボランティア組織が、そっちに組み入れられるかもしれないって」

「なんだよ、その無茶苦茶な展開」

「もうね、なりふり構わず、人集めするしかないらしいよ! 最後は、いろんなところからとにかくボランティアさせるらしいw」

こんなんで、ホントに、大丈夫なのか?
http://d.hatena.ne.jp/kaerudayo/20180902#p1

「ボランティアさせる」を英訳しようとすれば、その異常さは少しは理解が容易になるだろう。そういえば、10年前に、大月隆寛氏が「ボランティア」は「義勇兵」だと叫んでいたのだが*1、その10年後の日本語では、義勇兵(志願兵)制度と徴兵制度の区別が何だか怪しくなってきているのだった。
NHK曰く、

東京五輪パラ ボランティア 大学の半数が単位認定を検討
2018年9月6日 17時44分


東京オリンピックパラリンピックの開催に向けて、組織委員会などが運営などに関わるボランティアとして、期待しているのが学生です。これについて、都内130余りの大学にNHKが取材したところ、回答した半数近くがボランティアに参加すれば、単位認定する方向で検討していることがわかりました。専門家は「ボランティアは本来、自発的に参加すべきものであり、単位で誘導するようなやり方は好ましくない」と指摘しています。

東京オリンピックパラリンピックの運営にあたり、東京都と組織委員会は、11万人のボランティアを集めることにしていますが、その中心を担う存在として、期待されているのが学生です。

文部科学省もことし7月、全国の大学に学生のボランティアの参加を促す通知を出しています。

この学生のボランティアについてNHKは、都内の国公私立138の大学にアンケートを実施し、86%に当たる119校から回答を得ました。

このうち、学生のボランティア参加について大学の考え方を尋ねたところ「学生の自主性に任せる」が50校、「積極的に参加してほしい」は48校で、自主的な参加を求める大学が僅かに上回りました。

一方、ボランティアに参加できるよう大会期間中の授業や試験日をずらすことを検討しているか聞いたところ「その予定がある」などと答えた大学は79校で、全体の66%に上りました。

さらにボランティアへの参加を単位として認めるかどうか聞いたところ「認定する予定がある」と答えたのが亜細亜大学日本体育大学など4校、「検討している」が55校で、全体のほぼ半数の49%の大学が単位認定することを検討していました。

大学教育に詳しい東京大学小林雅之教授は「ボランティアは本来、自発的に参加すべきものであり、災害などのボランティアとオリンピックとではそもそも性質が異なる。大学が学生に対し、単位で誘導するようなやり方はのぞましくない」と指摘しています。


対応分かれる大学
東京大会のボランティアは学生の自主性に任せるべきか、それとも、大学として積極的な参加を望むべきか、大学の間で対応は分かれました。

「学生の主体性に任せる」と回答した49の大学のうち、武蔵野美術大学は「人員確保のためには、大学の協力が不可欠である点は理解するが学生が参加するかどうかについては、自主的判断に委ねるべき」としています。

桐朋学園大学は「文部科学省の指導で、授業日数をこなすため、大学は祝日にも授業して何とかやりくりしているのが実情だ」として、授業の変更やボランティアの単位認定は行わない方針です。

一方で「学生に積極的に参加してほしい」と回答した47の大学のうち、早稲田大学は「世界のトップアスリートに触れることや、各国の人との異文化交流は、授業や留学では得られない貴重な経験となる」としています。

また、杏林大学は「ボランティア精神を育成し、責任感や対応力をかんようする、またとない機会になる」としています。

すでに授業や試験の日程を変更することを決めた国士舘大学は「より実践的でグローバルな体験と知見に触れる絶好の機会にしてほしい」としています。
学生の積極的な参加を望む大学は
アンケートで「積極的に参加してほしい」と回答した大学の1つ、東京・武蔵野市の「亜細亜大学」です。

亜細亜大学は「自助協力」という建学の精神を踏まえて、ことし1月に学内にボランティア養成を進めるプロジェクトチームを立ち上げました。

ボランティアの情報を発信するためのブースを設けて「アジ・ボラタイムズ」という専用の学内誌の発行も始めています。

大学はオリンピック期間中は授業や試験を行わないことをすでに決定しているほか、全学部共通の科目として、ボランティアへの参加を単位認定することも決めています。

亜細亜大学の栗田充治学長は「学生の間からは参加したいが心配の声も上がっていて、彼らを後押しする意味でも授業日の変更などを決めた。人生の中でも価値のある学びの場にしてほしい」と話していました。

ボランティアサークルに所属する学生の1人は「生きているうちに参加できる機会はないだろうし、さまざまな国の人たちと関われるよい機会なので、ぜひボランティアに参加したいです」と話していました。


戸惑う学生 ネットで風刺
一方で、国によるボランティア参加の呼びかけに戸惑う“学生”もいます。
東京五輪組織委員会の皆さんは私たち学生に、やりがいあふれるボランティアの機会を与えて下さろうとしている」。

風刺をきかせた書き込みがネット上で話題となっている早稲田大学2年の松本海月さんです。

松本さんは、3年前の東京マラソンにボランティアとして参加するなど当初は東京大会を楽しみにしていました。

しかし、競技場の建設などをめぐる問題や猛暑の中で行われる大会運営を考えると、参加に違和感をもつようになったといいます。

「いまどき、『貴重な経験ができる』とか『やりがいがある』とか、きれいな言葉だけを言われてもぐっとこない。精神的な価値だけじゃなく、現実的な価値がないと学生は集まらないと思う」。


社会人学生は
こうした声はこんな学生の人たちからも。

今回のアンケートに学生のボランティア参加を「慎重に検討したい」と記した「社会情報大学院大学」です。

81人いる学生の9割以上が社会人や主婦です。

29歳の男性は「仕事と学業の両立でも大変なのに、さらにボランティアとなると難しいです」と話していました。

川山竜二学長補佐は「教育の質を確保しながらボランティアに参加するという両立を考えないと社会人学生の参加は難しい」と話しています。


外国人の学生は
さらに今や学生全体の1割近い外国人の学生からも懸念の声は聞かれました。

インドネシアからの留学生は「大きなイベントなので通訳のボランティアとして参加したいと考えています。ただ真面目に働く日本人のように1日8時間もずっと働けるか心配です」と話していました。

また、韓国からの留学生は「ピョンチャンオリンピックでは寒さや待遇の面でボランティアがボイコットして大変な問題になりました。私もボランティアとして参加してみたいですが、日本でも同じような問題が起きないか心配です」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180906/k10011614251000.html