堤/辻井

スポーツニッポン』に掲載された共同通信の記事;


堤清二さん死去 元セゾングループ代表


 流通や外食、金融にまたがる企業集団「セゾングループ」を築き上げ、作家としても活躍したセゾン文化財団理事長の堤清二(つつみ・せいじ)氏が25日午前2時5分、肝不全のため東京都内の病院で死去したことが28日わかった。86歳。東京都出身。葬儀・告別式はすでに済ませた。喪主は妻麻子(あさこ)さん。お別れの会を後日開く。日取り、場所は未定。

 西武百貨店を基盤にしてスーパーの西友信販会社クレディセゾンなど多くの企業を育てた。「辻井喬」のペンネームで詩人、小説家としても知られた。

 父は西武グループの創業者で元衆院議長の故堤康次郎氏。異母弟は西武鉄道やコクドの会長を務めた堤義明氏。作家としての代表作に谷崎潤一郎賞を受賞した「虹の岬」や室生犀星詩人賞受賞の「異邦人」などがある。2004年には康次郎氏を描いた「父の肖像」が野間文芸賞を受賞した。日本芸術院会員で、12年に文化功労者に選ばれた。

 清二氏は東大在学中、学生運動に傾倒。康次郎氏からは後継者として認められず、傍流の百貨店部門を継承した。康次郎氏の秘書を務めた後、1954年に西武百貨店に入社。取締役店長を経て66年、社長に就任した。

 新規事業を次々開拓し、西友を創業したほか、専門店のパルコなどからなるセゾングループ代表となる。企業再建も手掛け、倒産した吉野家などを再生した。

 88年には世界有数のホテルチェーン、インターコンチネンタルホテルを約2800億円で買収するなど事業を拡大したが、バブル崩壊後は西武百貨店などの経営が悪化し、91年にセゾングループ代表を辞任。経営の第一線から退いていた。

 2005年には、清二氏と確執があったとされる義明氏が、西武鉄道株をめぐる証券取引法違反(虚偽記載、インサイダー取引)の罪で起訴され、銀行主導でグループ再編が進められた。(共同)

 [2013年11月28日13時25分]
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20131128-1224240.html

また『毎日』の記事;

堤清二さん死去:類例のない「マルチ文化人」

毎日新聞 2013年11月28日 13時07分(最終更新 11月28日 13時28分)


 86歳で25日に死去したセゾングループ元代表堤清二さんは、類例のない「マルチ文化人」だった。

 20代で西武百貨店を率い、「二流」といわれた百貨店を日本有数の流通グループに押し上げた。時代を先取りする経営手腕は海外でも評価され、88年には米経済誌の選ぶ「最も魅力的な世界の企業人25人」に名を連ねた。

 若者向けの商品を扱い、映画や音楽などの情報発信も手掛ける百貨店「パルコ」や、関連企業で展開した「無印良品」ブランドの生活用品、雑貨店「ロフト」などは、人々の暮らしに根付いた。75年には百貨店内に美術館(後のセゾン美術館)を開館。劇場を東京・銀座に設けるなど、美術や音楽、演劇の先端的な作品を積極的に紹介した。

 田中一光糸井重里さんら若手美術家やコピーライターを登用し、店舗を都会的で洗練された消費の発信地とするイメージ戦略を展開。高度成長後の成熟した時代の感性を先取りし、「おいしい生活」(糸井さん)などのコピーは流行語にもなった。

 一方で、西武鉄道を引き継いだ異母弟・義明氏(元コクド会長)との確執が、しばしば報じられた。90年代に入ると、西武百貨店の経営不振でセゾングループ代表を辞任。バブル期の過剰な借り入れがたたり、00年にグループは解体された。

 経営者としての最後は恵まれなかったが、企業による文化貢献、情報発信を先駆的に推し進めた。背景には、政財界、文化界にわたる幅広い人脈に加え、文学で培った独自の感覚と歴史観があった。

 もともと隠喩を駆使した前衛的な詩を書いたが、経営の一線を退いた90年代以降、詩集「群青、わが黙示」をはじめとする3部作で昭和の戦争を掘り下げた。自伝的作品の多い小説では、戦後史の中で企業人と文化人という自身の二面性を見詰める作風を築いた。

 セゾン美術館などメセナ(企業の社会貢献)活動も先駆的に手掛けた。日本文芸家協会日本ペンクラブの役員を歴任し、99年から毎日出版文化賞選考委員。フランス、中国など国際交流にも熱心で、日中文化交流協会会長を務めた。【大井浩一】
http://mainichi.jp/select/news/20131128k0000e040223000c.html

昨年日本に帰ったときに、宮崎学との対談本『世界を語る言葉を求めて』を本屋で見かけて、(買わなかったものの)1時間近くも立ち読みしてしまったことを思い出した。なお、共産党時代の堤さんについては、同志であった安東仁兵衛『戦後日本共産党私記』*1とか。
世界を語る言葉を求めて

世界を語る言葉を求めて

戦後日本共産党私記 (文春文庫)

戦後日本共産党私記 (文春文庫)

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090216/1234809963 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100226/1267115264