大月隆寛*1「サヨクもウヨクも情けない」http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080522/acd0805220256001-n1.htm
これ自己言及でしょうか。
サヨク嫌い、といわれます。なんの、実はあたしゃ、ウヨクやホシュも大嫌いだったりする。だもんで、あいつはわけわからん、と四方八方から言われるんですが。単純明快、その「嫌い」の根拠は、思想や信条のはるか以前、ものを考えようとする人間としての生身の知的不誠実や怠惰です。世渡り大事で、とりあえずそうしとけ、程度の卑しい保身意識でうごめく物件。特に、「戦後」パラダイムをくぐり抜けてきたご老体はともかく、今のいわゆる「団塊の世代」から下は酌量の余地なし。ごたくはいかに立派でも、知的物件としてはすでにゾンビか、立ち腐れの役立たずが標準設定ですもの。
これは右とか左の問題じゃない。右も左も、おのがことばに生身を寄り添わせる意志もなくしたひと山いくらの俗物は気に入らねえ、というだけのこと。しょせんわれら文弱口舌の徒、世間から軽んじられるのも役回りですが、それにしても、その「軽さ」がここまで生身と乖離(かいり)したまま浮遊し、またその醜態を放置するメディア状況はろくなもんじゃない。この手のゾンビへの嫌悪感は、かつて初期の「おたく」と呼ばれていた輩の一部に感じたものとも、あたしの中じゃどこかで通じてます。
かくて、ゴリッと歯応えある、敵ながら尊敬できる物件に同時代で遭遇できる確率は急降下、ああ、こいつと一度四つに組んで話をしてみてえ、と思わせてくれる同時代の思想的物件には、思えばここ十年ほど、新たにお目にかかったことがありません。情けない話です。