冬眠中の蝮は人間を咬まない

承前*1

「川崎の事件で監視強化を叫んでいる人は、『世界』6月号を読んでみてください。」https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2019/05/30/192113


川崎の小学生襲撃事件を巡って。


事件関連の報道が続いていますが、犯人はいわゆるひきこもりで、部屋にはテレビとゲーム器があり、パソコンも携帯も持っていなかったそうで、そういう人もいるんだな、いてもいいよな、と、ふと思いました。それと、ひきこもりがいけないんだ、みたいに言われだしていますし、まあほめるようなことではないんだろうけど、犯人の男がずーっとひきこもっていれば今回のような事件は起きず、人も死んでないんだよな、というのもあってね。

なにがきっかけで表に出てきたのか、もう犯人が死んでしまったので不可知となりました。ひきこもっていたので監視の網につかまらずに済んだまま逝ってしまった感がある。

この事件のひとつの効果としては、「ひきこもり」というカテゴリー或いは問題が前面化したということがいえるだろう。それに輪をかけたのは、川崎に続いて起こった、「元農水事務次官」という「上級国民」(笑)が息子を殺した事件*2。ついこないだまでプリウスの暴走事件に絡んで「上級国民」バッシングの大合唱に加わっていたけれど*3 、その舌の根も乾かないうちに今度は「上級国民」の息子殺しよ擁護し始めたという人も少なくないだろう。「上級国民」父子については別に語るつもりだけれど、「ひきこもり」が社会的に危険ではないというのは理の当然であろう。冬眠中の熊は人間を襲わないし、冬眠中の蝮は人間を咬まないのだ。問題は妙な仕方で目覚めてしまったということにある。
斎藤環*4曰く、

斎藤環@pentaxxx

定義に合致する意味でのひきこもりが通り魔をした事件はいまだかつて存在しません。ひきこもりの犯罪率は著しく低いです。家庭内暴力と通り魔は攻撃性のベクトルが逆なのでほぼ両立しません。今後懸念すべきリスクは、将来を悲観した当事者の自殺と無理心中(未遂)、疲弊した親による「子殺し」。


12:10 – 2019年6月4日
https://twitter.com/pentaxxx/status/1135760739531051008