浅田彰『構造と力』*1が文庫化されるという。
『構造と力』を巡って、斉藤淳なる元政治学者/元政治家が変な囀りをしている;
『構造と力』が文庫化される様だが、複雑な気持ちだ。
— 斉藤 淳 『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』 (SB新書) 発売中💙💛 (@junsaito0529) 2023年10月26日
高校生の頃読んだが、全く意味が分からなかった。
イェールで博士号を取得してから読んだが、ようするにソーカルもどきだと思った。
言葉遊びには騙されない方が良い。上野千鶴子、柄谷行人などを読んでいた高校生の自分に警告したい気持ちだ。
これに対する大野裕之氏*2などの突っ込み;
「ソーカルもどき」と言っておけば良いと思っている言葉遊び。周回遅れにも程があって恥ずかしい。 https://t.co/eNQpVcbnu0
— 大野裕之 ono hiroyuki (@ono_hiroyuki) 2023年10月27日
しかもソーカルは所謂ソーカル事件を仕組んだ批判側の人間なのにね
— levi2.jp (@levi_20202) 2023年10月27日
“ソーカルもどき”とか実に雑な言い回し
にしかなってない辺りこの人自身よく考えてないのがよくわかりますな
そもそもソーカル事件関連での対浅田批判はとうの昔に決着ついてますしね
結局この斎藤さんって方はソーカルも知らんのでしょう。それっぽい固有名を投げつけて断定しておけばインテリに見えた「ポストモダン時代の言葉遊び」をみずから実践しているわけです。 https://t.co/rrSGSnqb2f
— 大野裕之 ono hiroyuki (@ono_hiroyuki) 2023年10月27日
まあそうなんだろうと思う。でも、浅田彰、柄谷行人、上野千鶴子を一括りにすることに対して、何と言えばいいのだろうか。中沢新一を仲間外れにするな! と言うべき?
さて、『構造と力』文庫化に関してのコメントを幾つか拾っておく。
宮﨑裕助氏*3;
『構造と力』の文庫化は朗報ですね。フランス現代思想、少なくとも日本語の環境で現代思想とは何かを考えるうえで、本書は不可逆かつ決定的な役割を果たした。入門書の体裁ではないので、新しい世代の読者を獲得し損ねているように感じていたが、文庫化して受容のあり方が変わればいいと思う。
— yusuke miyazaki (@parages) 2023年10月26日
Χαιατο Ιοσιντα氏;
『構造と力』文庫化のニュースで往年のスキズキッズたちが沸いている。僕も上京(2008年)して初めて買った本が、高田馬場駅BIGBOXの古本市で800円で出ていた『構造と力』だった。学部一年の秋ぐらいまでには読み終えたはず。よくわからんところもなくはなかったが見通しの効いたありがたい本だった。
— Χαιατο Ιοσιντα (@hashida_toyoya) 2023年10月27日
GrimoireBook氏;
『構造と力』は学習参考書のようにチャート式に仏語圏の思想の動きを出来るだけわかりやすく見取り図にするという〈広告〉でそもそも同時代は売られてたんですよ。後の時代の印象だけで読まない人がサゲ発言をしていたけど、そういう人は大体思想書を通読せず、解説書さえ読まず伝聞だけで話せる超人。
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
『アンチ・オイディプス』の第三章の見事な要約になっていてドゥルーズの思想圏全体を解説したものでないことは著者が自ら書いてるしマスコミのスローガンに踊らされた人こそが本書の真価を読まずに声だけでかくなるので飽き飽きしてました。あれはリオタールの『リビドー経済学』が根元にある本です。
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
というのも〈欲望〉を経済の原動力であると明示したときに、それをシステム的に〈構造〉として分析するツールをラカンから抽出した後に、〈構造〉を組み換えて動かし〈漏れていく=構造から逃げていく力〉のダイナミズムに目配せし、その時にドゥルーズ=ガタリの社会体の変遷の図式を使うわけです。
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
つまり〈構造〉と〈力〉のカップリングで欲望をデッサンしてみようという本です。その道具箱として仏語圏の思想家を実に巧みに配置して構造主義から現代につながる見取り図を具体化したんですね。この仕掛けに裏書きされてるのが『リビドー経済学』でした。今は誰も読まないし新訳が望まれますが…
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
時代が変わるといろんなことを言う人がいますが、当時を骨身に染みるほど知る私にはあの本をもう少し真面目に読んでいる人達もいました。ベストセラー文脈だの文芸的論壇とは別の人達です。そう言う人達が文化的表象を創造していきました。つまりもっと豊かにした人達です。
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
この時代に文庫本になるなら、何事もつまらなくする勢力に抗して、少しでもなんとか生き抜く道具箱の一つとして若い人たちにまた読まれるといいと思います。
— GrimoireBook (@GrimoireBook) 2023年10月27日
*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070205/1170643322 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080130/1201705768 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080131/1201781124 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080402/1207104053 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080809/1218252114 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20110829/1314543718 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20111024/1319430943 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140106/1388966577 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170908/1504843640 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180725/1532473014 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180930/1538274681 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/04/07/161413
*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/07/07/055449 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/01/06/151031 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/04/30/031736 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/11/080458 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/17/012419 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/09/16/143135 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/17/141323 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/08/03/154235 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/08/29/103741 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/09/08/133726 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/10/25/154317 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/01/18/102819 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/03/28/094158
*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/12/093314