イェールのおかげ？ - Living, Loving, Thinking, Again

作者:千葉雅也
講談社

千葉雅也*1『現代思想入門』を巡る大野左紀子さん*2のツィート；

千葉雅也『現代思想入門』読了。専門書へのジャンピングボードでありつつ”ライフハック”の書。読者を励まそうとして書かれているのが伝わってくる。文章のリズム感、ざっくりと丁寧のバランスなども、筆者から直接講義を受けているような感じ。これからの若い人はここから参入できて幸せだと思う。
— 大野左紀子 (@anatatachi_ohno) 2022年3月20日

人文系でなく導き手もいなかった自分が若い頃に読み出したきっかけはご多分に漏れず浅田彰の『構造と力』からだったが、それも一通りの基礎知識なしには理解しにくく、ただ美術系だったので何とか感覚的に把握しながら雲を掴むような読書をしてきた。読み方のコツがあるのを知ったのはだいぶ後だった。
— 大野左紀子 (@anatatachi_ohno) 2022年3月20日

ところで現代思想の「本場」が戦後、ドイツからフランスに移った理由は、ドイツが敗戦国になったりハイデガーがナチ擁護してると非難されたりした‥‥以外には何があったんだろうか。アジアの思想、日本の思想はなぜ中心化しなかったのか？なども。このあたりは勉強不足だな＞自分
— 大野左紀子 (@anatatachi_ohno) 2022年3月21日

芸術の場合だと、戦場となったヨーロッパから多くの芸術家がアメリカに移ったこと、戦勝国のアメリカが世界の政治と経済の中心となったことが、戦後アメリカの現代美術が伸長した理由とされるが、思想方面ではそういう大きな動きがあったとは聞かない。
— 大野左紀子 (@anatatachi_ohno) 2022年3月21日

いずれにしても、蓄積のある場所は蓄積の重みに囚われ過ぎて新しいものが出にくくなる傾向があり、場所を移動することでその蓄積を使いつつ新たなものが出現するというのは、ジャンルを問わずあることかもしれない。
— 大野左紀子 (@anatatachi_ohno) 2022年3月21日

ここでいう所謂「フランス現代思想」がベースにしているものは、マルクスにせよ、ニーチェにせよ、フロイトにせよ、独逸語圏の思想をベースにしている。デリダの思考も「ナチ擁護してると非難されたりした」ハイデガーと切り離すことができない。「ナチ」云々というハイデガー叩きは実際のところ、デリダ叩きの口実であったことも少なくない。勿論、戦後になって仏蘭西の思想家が前面化したことも事実。これについては、イェール大学があったからだとは言えないだろうか？　アートにせよ、思想にせよ、戦後世界において、米国（北米大陸）が世界最大の消費地であり続けている。ポール・ドゥ・マンのいたイェール大学を中心とした学者たちが仏蘭西現代思想を次々と英語化した影響が強かったのでは？　因みに、ハイデガーの本が英語で読めるようになったのも戦後のこと。