復活しているの?

承前*1

週刊朝日取材班「悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査  内部事情に詳しい者の犯行か?」https://dot.asahi.com/wa/2019042700025.html


曰く、


4月26日、秋篠宮家の長男・悠仁さまの通う中学校で、悠仁さまの机などに包丁が置かれていたことがわかり、警視庁捜査一課が建造物侵入容疑などで捜査に乗り出した。

 捜査関係者によると、防犯カメラに不審な男が出入りしているのが確認され、警視庁が行方を追っている。

 犯人のねらいは何なのか。警視庁捜査関係者が言う。

「平成から令和へ、改元直前の犯行ということで、ほぼ間違いなく、思想犯。包丁を置くという行為が、秋篠宮殿下に対する脅しのメッセージだろう」

 捜査のカギになるのは、防犯ビデオの解析だという。

「思想犯でも右か左か、絞り込めていない。防犯カメラの映像と似た風貌の過去の思想犯をデータベースからリストアップしている。学校内には防犯カメラがたくさん設置されており、作業着姿の男の映像はバッチリ写っているようだ。ただ男はヘルメットをかぶっており、顔がわかりにくい。街宣活動などで上京した思想犯などが関わっていないか、宿泊施設も捜査している。また、この日は併設の小学校で保護者会があり、それが終了して、校門に人が多い時を見計らって、問題の不審者が入り込んでいるようだ。内部事情をあらかじめ知っていた人物の犯行ではないか?」(同前)

「思想犯」! この言葉に吃驚。治安維持法*2とか特高とかが既に復活しているのだろうか。また、「思想検事」という奴らがいたということも思い出してしまった(Cf. 荻野富士夫『思想検事』)。伝統的な警察用語に「過激派」というのがあるけれど、こちらの方は「思想」というよりも爆発物や飛び道具を使うという振る舞いに焦点が当たっているわけだ。「思想犯」という言葉から感じ取られるのは、天皇主義なのか反天皇主義なのか知らないけれど、特定の「思想」を持っていることが(少なくとも潜在的には)犯罪を構成するものと見做され、警察の監視対象となっているという事態だ。
思想検事 (岩波新書)

思想検事 (岩波新書)


さらに問題なのは、「思想犯」という言葉について、週刊朝日の記者が何の疑問も持っていないようだということだ。