消えた、但し調査票から

『ハフィントン・ポスト』(『朝日新聞』)の記事;


2019年04月19日 14時56分 JST
平成に消えた職業、知ってる? ワードプロセッサ操作員、タイピスト、注文取り……。
まもなく終わる平成という時代に消えていった職業をたどると、テクノロジーとライフスタイルの変化が大きく進んだ時代背景がみえてきます。


ワープロ操作員・才取人・注文取り…平成に消えた職業は

 「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉がありますが、職業もまた時代とともに移り変わるものです。まもなく終わる平成という時代に消えていった職業をたどると、テクノロジーとライフスタイルの変化が大きく進んだ時代背景がみえてきます。


 この約30年でどんな職業が消えて生まれたのか。5年に1度の国勢調査で使われる職業分類を元に、大正大学地域構想研究所*1の中島ゆき主任研究員が調べた。平成初期の1990(平成2)年と、平成末期の2015(平成27)年をくらべると、職業分類から24職種が削除されていた。

 「ワードプロセッサ操作員」もそのひとつ。50代以上の世代の人ならば、文章や年賀状を作成するのにワープロを使っていた人も多いだろう。

 東芝が初めて630万円もするワープロを売り出したのは1979(昭和54)年。その後家庭にも広がっていったが、90年代になると家庭用パソコンの普及に押され、最後まで専用機をつくっていたシャープが2003(平成15)年、生産を終了した。

 そのワープロの影響で消えたのは、「タイピスト」「タイピスト学校講師」。昭和の時代は、官公庁も企業も文書はタイプライターで打つのが普通だった。


■バブルのニュースでおなじみ

 「場立人」「才取人」という職業もあった。証券取引所の立会場で、手ぶりで株式の銘柄注文を出していたのが「場立人」、その注文を紙の上に書きつけて売買を仲介した業者は「才取人」だ。バブル期の株式市場を振り返るニュース映像などで見た方も多いだろう。

 右手で車のハンドルを回すと「トヨタ自動車」の意味。東京証券取引所ではかつて1千人を超す場立人が詰めかけ、立会場は活気にあふれた。しかし、コンピューターによる株式取引が中心になり、1999(平成11)年4月、東証は立会場の121年の歴史に幕を閉じた。

 「奇術師」「腹話術師」も職業分類から削除された。テレビで見かけることはまだあるが、街頭で職業として芸を披露する光景はほとんど見かけない。

 戸別訪問でお酒などの注文を受ける、御用聞きを意味する「注文取り」も削除された。「ミシン販売員」も、高度成長期にミシンが普及して増えたが、スーパーや家電量販店などの台頭により消えた。

朝日新聞デジタル 2019年04月19日 11時06分)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/heisei-job-kieta_jp_5cb951b7e4b068d795caff38

国勢調査で使われる職業分類」というのがミソだろうね。
あくまでも管見の限りなのだけど、ここで言及されている職業の幾つかは「平成に消えた」というよりは遅くとも昭和の後期には既になくなっていた。例えば、「ミシン販売員」とか「タイピスト」とか。「タイピスト」で思い出したけれど、あの〈グリコ・森永事件〉というのはワード・プロセッサーの勃興によって和文タイプライターがオワコンになる境目に起きた事件だった*2。また、「御用聞き」については、昔の中流以上の家では「御用聞き」が来たので、わざわざ日常の買い物をしに店まで出向く必要はなかったという話を幾度か聞いたことはあるけれど、「御用聞き」が来なくなったのは何時頃なのだろうか。「御用聞き」というと、女中*3というのとセットになっていて、例えば『小さいおうち』*4の時代、すなわち戦前的な存在だと思っていたのだけど、戦争を生き延びて、(岡田克也の父親の米国視察を経て)「スーパー」という店の形態が導入される頃まではいたんじゃなかろうかと、今思いついた。でも、「御用聞き」を専門に「職業」としてやっていた人がいたのだろうかとは思う。
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「奇術師」や「腹話術師」もなくなった。「テレビで見かけることはまだあるが、街頭で職業として芸を披露する光景はほとんど見かけない」。でも、腹話術でいうと、いっこく堂*5がブレイクしたのはまさに平成だった。また、「奇術師」という肩書でやっている人は稀になったのかも知れないけれど、「マジシャン」とか「イリュージョニスト」という肩書で活動している人は少なくないだろう。Mr.マリック*6は平成の始まりとともにブレイクした。また、奇術にしても腹話術にしてもそもそも大道藝というよりは寄席の藝能(色物)だったので、「街頭で職業として芸を披露する光景はほとんど見かけない」といっても、昔からそうだった、寄席に行けよ、ということになる。
昭和の「販売員」といえば、「ミシン」のほかに、コンドームや百科事典が重要だと思うけれど、これらは「職業分類」に入っていたのだろうか。