最近読了した本。
蓮實重彦『見るレッスン 映画史特別講義』(光文社新書、2020)*1。
取り敢えず目次を写しておく;
この本は蓮實先生が書いた本ではなく、朝日新聞の石飛徳樹記者*2のインタヴューに答えて語られたもの(「あとがき」、p.203)。
はじめに 安心と驚き
第一講 現代ハリウッドの希望
第二講 日本映画 第三の黄金期
第三講 映画の誕生
第四講 映画はドキュメンタリーから始まった
第五講 ヌーベル・バーグとは何だったか?
第六講 映画の裏方たち
第七講 映画とは何か
あとがき
「あとがき」から、さりげなく丸山眞男*3をdisっている箇所を引用しておく;
また、蓮實氏にとって、「映画」とは第一義的に「作家」のものである。
これという確かな理由もないまま、わたくしは、「新書」というものだけは書くまいと、長らく思っておりました。それにふさわしい現行の文字数というものが、なぜかあまり好きになれなかったからです。あるいは、ことによると、大学院時代にふと買ってしまった丸山真男の『日本の思想』(岩波新書、1961)という短い書物のあまりの趣味の悪さに嫌気がさしたことが、トラウマになっていたのかもしれません。この書物については、その後、あれこれ悪口を書き綴った記憶もありますが、詳しいことは覚えておりません。いずれにせよ、この出版形態は、どこかしら自分の発想にふさわしくないと、長らく思っておりました。(p.202)
castよりもstaff。「映画の裏方たち」では「キャメラマン」と「美術監督」と「プロデューサー」が語られている。音響監督について、また映画音楽についても語られていないのだけど、そもそも映画への音の付加である「トーキー」というのは蓮實氏にとって、進歩である以前に喪失なのだった(See 「映画の誕生」、p.88ff.)。
わたくしは、括弧つきの「作家主義」とは違いますが、やはり映画作家にしか興味がありません。もちろん優れた俳優たちのことは愛していますが、俳優はわたくしにとっては二の次です。優れた俳優が出てくるのはうれしいけれども、やはり作家の演出というものがどれほど見る者を興奮させてくれるかということに強く興味を惹かれます。(第1講、pp.27-28)
*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/07/18/162654 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/07/20/105956 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/07/23/165142
*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180720/1532109705
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050602 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070126/1169783285 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070411/1176262833 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070508/1178597841 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070510/1178781848 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070523/1179897577 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070620/1182316186 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070826/1188154111 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080216/1203142535 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081113/1226554790 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081207/1228577503 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091120/1258696685 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100223/1266898770 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110709/1310185825 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120316/1331898804 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130226/1361894685 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130227/1361925784 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130621/1371749803 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141024/1414174357 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150313/1426261606 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150512/1431444219 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150515/1431617201 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150724/1437712146 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160725/1469418870 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170417/1492400766 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170519/1495204456 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180127/1516979477 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/11/24/094831 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/01/29/131606 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/20/200017 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/27/152800 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/09/16/084132 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/09/28/093143 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/06/03/130535