「つくる」「うむ」「なる」

古事記神話入門 (文春文庫)

古事記神話入門 (文春文庫)

三浦佑之*1古事記神話入門』から。


思想史家の丸山眞男は、世界の創成神話には、「つくる」「うむ」「なる」の三つの語り方があると指摘しています(「歴史意識の『古層』」)*2。高天の原に最初に現れた三神*3や泥のなかから現れたウマシアシカビヒコヂ*4は、「なる(成る)」神の典型で、丸山は、それこそが日本神話の古層だと考えました。一方、イザナキとイザナミとによる島や大地や神々の誕生は、まさに「うむ(産む)」神話になっています。男女の交わりをそのまま神の世界に移したもので、即物的な発想です。それに対して、『旧約聖書』創世記にあるような、「つくる(造る)」という発想は日本神話には見当たりません。絶対紳という観念が存在しないことにかかわるのでしょう*5。(p.29)
旧約聖書 創世記 (岩波文庫)

旧約聖書 創世記 (岩波文庫)

ところで、新天皇浩宮)に会ったら先ず訊いてみたいことは、何故ナルヒトなのか? ということ。

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160821/1471803952 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180510/1525912389 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/15/004848

*2:丸山の「古層」論にはhttps://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070411/1176262833 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20110715/1310699482で言及している。

*3:アメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カムムスヒ。 See p.15、26

*4:「宇摩志阿斯訶備比古遅」。See pp.27-28

*5:「神」が世界(宇宙)に内在しているのか、それとも超越しているのかということ。