Kate Aerial、浅き感想


 一時帰国の目的の1つは、ケイト・ブッシュのAerialを買うことだった。コピー・コントロールの問題もあり、できればアメリカ盤が欲しかったのだが、店にはアメリカ盤はなく、EU盤を買う。ジャケット・デザインがこれまでのケイトのディスクとは全く雰囲気が違う。ジャケットの模様はオシロスコープの波形、すなわち音声であるということなのだが、一瞬、黄色い背景とも相俟って、夕陽に照らされた多島海かなとも思った。中身は勿論お楽しみなのだが、まだ開封していない。お楽しみは上海に帰ってからにとっておこう。幾つか音楽雑誌を立ち読みする。『ロッキング・オン』では松村雄策と小田島久恵がケイトについての記事を書いている。松村さんの文章というのは、その文を藝として娯しむべきものなのだから、まあどうでもいいとして、小田島さんの文章では、ケイトは上流階級の出身で、同時代のパンクとは対極にあった云々。ケイトが語られるときに、〈上流階級〉とか〈お嬢様〉というのは既にクリシェに属しており、まあどうでもいいのだが、短い文章とはいえ、少し安易なんじゃないか。『ミュージック・マガジン』では、筆者が誰なのかは忘れたが、「狂気」がなくなったので物足りないといったような批評が。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20051213

 Aerialの感想を少し書いてみる。勿論、歌詞も未だ精読しておらず、諸々のレヴューもbrowsing以上には読んではいないので、〈まあちょっと聴いてみました〉以上のものではない。
 Kick Inside.の頃が静動未分化のケイトだとすると、その後、Dreamingなどではの側面が前面化してきたといえる。Aerialで前面化しているのはのケイト。私見(私聴?)によれば、これはThe Sensual Worldで顕在化したもの。だから、The Sensual Worldを初めて聴いたときには、〈何か違う!〉って戸惑いを感じもした。こののケイトだが、最近私の音楽的趣味がアンビエント系にシフトしているので、私の耳には心地よい。
 何気なく聴いていると、何曲目かで、何処かで聴いたような感じ。ケイトではなく、そう、トーリ・エイモストーリ・エイモスはケイトから見れば、あくまでもフォロワーの筈なのに、ケイトがトーリ・エイモス化しているとはこれ如何に?
 Aerialとは漁船の名前でもあったのだな。空と海。


 ところで、engranadaさん曰く、


そういえば…思い出したので、ケアンズに滞在中にTVでケイト・ブッシュの「The King Of Mountain」のPV(プロモーションビデオ)を見たのだけれど、かなりふっくらしていてびっくりした。しかもこの「King」ってエルヴィスのことだったらしく、往年のエルヴィスのような衣装を着て歌うケイト。かなりのインパクトだった。確か彼女、エルヴィスに影響を受けたって昔のインタビューで言ってたような…。12年の間に母となった訳だから、デビュー当時(確か19才)のような神秘的な美しさを期待してはいけなかったんだろうけど、見てはいけないものを見てしまったようで軽くショック。だってね、ふっくらしたおばさんがエルヴィスの衣装を着て雪山バックに歌っている。そんなビデオに仕上がっていたんだもん。たぶん、日本ではかからないだろうなぁ。多くの男性ファンをがっかりさせてしまいそうだ。声はまったく変わっていないんだけどね。
http://d.hatena.ne.jp/engranada/20060103

 まだPVは観ていません。