ん、でも、やっぱり

承前*1

「「居丈高な大阪のオッサン」って?」http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150401/1427900164


スージー鈴木「「居丈高な大阪のオッサン」だけに大阪文化を代表させてはいけない。」*2を参照して曰く、


Jr大阪駅の発車ベルが《やっぱ好きやねん》になっているそうだが、この歌を売り出す時から指摘されていたのは、「大阪では『やっぱ』とは言わない」ことだ。「やっぱ」とはどう考えても関東方言であろう。私も子ども時代に「やっぱ」などと言ったことは一度もない。そんな「似非大阪弁」の歌をJR大阪駅の発車ベルに使うのは論外だと私も思う。
Wikipediaの「 やっぱ好きやねん」の項では、

作曲家の鹿紋太郎が初めて手掛けた、やしきたかじんの歌。好きやねんブームの火付け役となり、関西で大ヒットした。

東京都出身の鹿紋が関西の文化に憧れて書いた歌であったため、歌詞は正確な関西弁ではなかった。しかし、たかじん自身は「関西弁の歌が歌いたいのではなく、女性の心を歌いたい」と考え、歌詞変更をせずにレコーディングした。タイトルの「やっぱ好きやねん」の「やっぱ」は関東弁で、関西では「やっぱり」か「やっぱし」と言う。また「好きやねん」は本来大阪では「好っきゃねん」と発音することが多く、たかじんも「好っきゃねん」に近い発音で歌っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%B1%E5%A5%BD%E3%81%8D%E3%82%84%E3%81%AD%E3%82%93

と書かれている。「関東弁」? 「関東」といっても広いし、何処なのよ? 東京ではあまり「やっぱ」と言わないことはたしか。東京でも、「やっぱり」ということが多いのでは?*3 勿論、「やっぱ」というのも聞いたことはあるけど、それが何処の出身の人によって使われたのか、関東だったのか関西だったのかというのは忘れてしまった。でも、『Weblio辞書』が引く『大辞林』は「やっぱ」の用例として『柳多留』*4を挙げているので、そもそも江戸の言葉だったということなのだろうか*5。その一方で、「全国大阪弁普及協会」*6によれば、「中高年は「やっぱし」、若者は「やっぱ」を使う」という。つまり、「大阪弁」として認められているわけだ。「やっぱし」は関西っぽい感じがする。拙blogを検索してみたら、「やっぱし」が出てくるのは1箇所だけで*7車谷長吉の「なんまんだあ絵」という短篇小説からの引用。車谷は兵庫県の人で、この小説も兵庫県が舞台になっている。しかし、『Weblio辞書』を見てみると、『太辞林』は用例として洒落本の『深川手習草紙』を挙げている*8。さらに、甲州でも「やっぱし」という。また、津軽弁では「やっぱす」*9。これは「やっぱし」の変形でしょ。「り」と「し」が入れ替わる例だと、ぴったり→ぴったし、とかがあるか。「やっぱし」より「ぴったし」の方が馴染みがあるのは、久米宏の番組『ぴったし カン・カン』*10のおかげ。
塩壷の匙 (新潮文庫)

塩壷の匙 (新潮文庫)

ところで、「やっぱり」ということで先ず思い浮かんだ歌はカルメン・マキ&OZの「きのう酒場で見た女」;

んーでもやっぱりあんたも女なんだね
夢を捨てたふりをしてるだけ
たくしきれない何かにひかれ まちがえたようだネ
きっとあんたは今夜もブルースを唄う
きっとあんたは今夜も 
ブルースを唄う・・・
ブルースを唄うよ
(加治木剛作詞[cited from http://blog.livedoor.jp/oneness/archives/51835748.html ])
カルメン・マキ&OZ

カルメン・マキ&OZ