「刷新」されるバタイユ?

伊藤直*1『戦後フランス思想』の第5章ではジョルジュ・バタイユ*2が取り上げられている。
曰く、「神秘主義者、反知性主義者(これはサルトルバタイユを評した言葉)、エロスと死の思想家(「エロティシズムは死にいたるまでの生の称揚である」というバタイユの言葉はつとに有名である)といった、従来の一面的なバタイユ像を刷新するかのように、その著作の底流を貫く学術的、哲学的思索に光を当てた研究が、近年、日本で続々と産み出されている」(pp.155-156)。私の「バタイユ」についての認識は、酒井健先生の『バタイユ入門』(1996)辺りで止まっているなと思いつつ、巻末の「ブックガイド」(p.265)を見てみると、酒井本もリストアップされているけれど、それ以外にも以下のような書物が挙げられていた;


石川学『ジョルジュ・バタイユ 行動の論理と文学』東京大学出版会、2018
石川学『理性という狂気 G・バタイユから現代世界の倫理へ』慶應義塾大学教養研究センター、2020
岡崎宏樹『バタイユからの社会学 至高性 交流 剥き出しの生』関西学院大学出版会、2020
佐々木雄大バタイユ エコノミーと贈与』講談社、2021
横田祐美子『脱ぎ去りの思考 バタイユにおける思考のエロティシズム』人文書院、2020
吉田裕『バタイユ 聖なるものから現在へ』名古屋大学出版会、2012