「腹上死」ではなく - Living, Loving, Thinking, Again

川本直氏*1曰く、

酒見賢一さん、現代小説を読み始めた時に島田雅彦さん、佐藤亜紀さんと並んで強く影響を受けた。『後宮小説』から『泣き虫弱虫諸葛孔明』まで全著作を愛読していた。『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』に『後宮小説』が与えた影響は計り知ない。勿論献本もお送りしたのだが。ご冥福をお祈りします。
— 川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』『吉田健一に就て』 (@KawamotoNao11) 2023年11月15日

大森望氏*2；

酒見さんの訃報。まだ若いのに。応募原稿の封筒から『後宮小説』をとりだし、「腹上死であった、と記載されている」という冒頭を読んだときの衝撃は忘れられない。
得がたい才能だった。

作家の酒見賢一さん死去　「後宮小説」でファンタジー大賞 | 2023/11/15 - 共同通信 https://t.co/OrCdSHf9eI
— 大森望 (@nzm) 2023年11月15日

若いうちから戦前の文士みたいな人だった。一度だけお邪魔した豊橋のご自宅は本だらけで、学生の下宿みたいだった（たしか、学生の頃から住んでいたアパートの部屋をもうひとつ借りていた）。『陋巷に在り』も『泣き虫弱虫諸葛孔明』も傑作で、大作家として遇されていてもおかしくなかった。惜しい。
— 大森望 (@nzm) 2023年11月15日

『後宮小説』が日本ファンタジーノベル大賞の第1回受賞作となったことが同賞の初期の性格を決定づけた。おかげで、他に似たもののないユニークな賞になったと思っている。賞の名前と賞の性格が合致しているかどうかはともかくとして。しかし酒見さん、59歳だったのか。もっと年下みたいな気がしてた。
— 大森望 (@nzm) 2023年11月15日

千葉ともこさん；

酒見賢一先生の「後宮小説」から中華の世界へ入り、中国物の小説家になりました。ご冥福をお祈りいたします。数々の素晴らしい作品をありがとうございました。 https://t.co/kmAcSDdPea pic.twitter.com/ijtYrtBo1e
— 千葉ともこ『戴天(たいてん)』 (@chiba_tomo) 2023年11月15日

いしいしんじ氏*3；

酒見賢一さんはびっくりしているだろう。それ以上にぼくたちは酒見さんの小説にびっくりさせられた。そのことはまだ続いていく。まだ読んだことのない方は酒見さんの小説をまず読んでみてください。死ぬほどびっくりします。酒見さんはそれでうんとうなずく。永遠に。本があるかぎり。
— いしいしんじ (@umiusi141) 2023年11月15日

共同通信の記事；

作家の酒見賢一さん死去　「後宮小説」でファンタジー大賞
11/15(水) 18:49配信

共同通信
　中国の歴史を題材にしたファンタジー「後宮小説」などで知られる作家の酒見賢一（さけみ・けんいち）さん*4が7日午前4時45分、呼吸不全のため死去した。59歳。福岡県出身。葬儀は近親者で行った。
　愛知大卒。1989年第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した「後宮小説」でデビュー。同作はテレビアニメ化もされた。
　史実を踏まえつつ、豊かな想像力を発揮した小説に定評があり、中国・戦国時代を舞台にした「墨攻」は漫画化され、日中韓合作で映画化もされた*5。
　ほかの著作に新田次郎文学賞を受賞した「周公旦」や、「陋巷に在り」「泣き虫弱虫諸葛孔明」などがある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6dcb1519f2873a713846b96d6952ccaca6883f1

1963年生まれの61歳。私とは略同年代と言ってよいので、それだけでショックだ。そういえば、『後宮小説』を偶々読んだことで、歴史ファンタジーというジャンルに興味を寄せるようになったのだった。酒見氏の作品としては、ほかには〈歴史〉以前を小説化した『童貞』、〈中国〉というトポスから離れた『語り手の事情』をマークしておく。