その頃Googleはまだなかった

「96年当時の「Yahoo!JAPAN」トップページ再現 「COOLサイト」も」http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/27/news080.html


「96年4月1日の「Yahoo!JAPAN」公開から20周年を迎えたことを記念し、当時のページを可能な限り再現した」;


ヤフーは4月26日、「Yahoo!JAPAN」がスタートした1996年当時のトップページを再現したページを公開した*1。「Yahoo!JAPAN」のロゴの下に検索窓と14のカテゴリが並ぶシンプルなサイトだ。
Googleが登場するのは次の1997年。因みに、1996年4月のPVは32万だったという。1日当たり1万ちょっと。
さて、Yahoo! JAPANに先立って、昨年8月に日本最初のニュース・サイトたるasahi.com(現在の『朝日新聞デジタル』)が20周年を迎えていたのだった;


「「asahi.com」95年当時のトップページを再現 Netscape 1.x推奨、HTML 3.0ベース」http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1508/10/news132.html


曰く、


朝日新聞社は、同社のニュースサイトが8月10日に20周年を迎えたことを記念し、オープンした1995年当時の「asahi.com」(アサヒ・コム)のページデザインを再現したサイトを公開した*2。当時のコードを基にHTML 3.0ベースでデザインしており、往年のWebブラウザNetscape 1.x」の使用を推奨している。
1995年8月というと、Windows 95リリース以前*3。20周年記念の「朝日新聞デジタルクロニクル」というページも充分に面白いが*4、そこには大森望氏が「1995年、最強個人メディアの誕生」を寄稿して、1995年のインターネット事情を回想している。曰く、

モデムを9600bpsに買い替えて、ウェブの海に乗り出し、3行だけのホームページを開設したのが1995年3月末。記念すべき最初の文字列は、たしか、「大森望のホームページによく来たね」だったはず。犬のアイコンのFTPソフト、Fetchを使ってファイル転送に成功し、とうとうページが画面に表示されたときはえらく感動したのを覚えている。日本最初のホームページ「KEK Entry Point」*5の開設から2年半後の出来事。はるかあとになって知ったのだが、このKEK高エネルギー加速器研究機構)ページをつくった森田洋平博士は、大森の中学高校の同級生だった。世間は狭い。

 それはともかく、HTMLをにわか勉強してホームページを毎日工事するかたわら、4月6日からウェブ日記を書きはじめ、そこから先は、Hyperdiaryにどっぷりハマることになる。

 このころ、個人でダイヤルアップIP接続しているインターネットユーザーがまだ2万人とか3万人のレベルで、個人ホームページが200個くらいしかなく、読もうと思えばぜんぶ読めた。ネットサーフィンの手引きは、川崎和哉氏が中心になってまとめた『ネット・トラヴェラーズ '95』(翔泳社)だった。

 出版社の公式ページもほとんどなくて、SFマガジン編集長が個人サイトで最新号の目次を公開したり、東京創元社の新刊案内が社員編集者の奧さんの個人ページに載ってたり。当時、僕はその状況を指して、


 個人サイトに間借りする企業ページってのは従来の常識でいうと情けないけど、エスタブリッシュされた情報流通ルートを無化するウェブの特性を考えると、じつはこの方向のほうが代理店まかせの広告ページより思想的にははるかに正しいのではないか。
 と書いたんですが、今だって、Twitterの個人アカウントで記者や編集者が自社の情報流したりしてるから、あんまり事情は変わらない。
Yahoo!JAPANに話を戻すと、その頃のYahoo!にはロボットによる全文検索のサーチ・エンジンはなかった。それが一般化するのはやはり1997年のGoogle以降ということになるのだろう。大森氏は世界初の全文検索のサーチ・エンジンであるAlta Vistaに言及している。勿論私も昔はかなりお世話になったのだけれど、2013年に終了していたんだって! また話を戻せば、20年前のYahoo!というのは、要するにリンク集だったわけだ。リンク集としてのサイト、自分でコレクションした情報をカテゴリー化してほかの人とシェアしようという趣旨のサイトにもかなりお世話になった。今でも存続しているものとしては、英語のものだと、例えばカリフォルニア大学(サンタ・バーバラ)のAlan Liu氏によるVoice of the Shuttle*6、日本語のものだと、二木麻里さん*7による『アリアドネ*8などがある。『アリアドネ』からは、紙の書籍として、 『調査のためのインターネット』と『思考のためのインターネット』が出ている。というか、『調査のためのインターネット』という本で、『アリアドネ』というサイト、さらには二木さんを知ったのだと思う。それから、立花隆が『インターネット探検』という本を出したのも20年前。
インターネット探検

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