テクストに紛れ込めたら

5月の『100分de名著』は平野啓一郎*1による三島由紀夫の『金閣寺*2だった。さて、番組を視ながら、下らないことを考えていた。もし、三島のテクストに入り込めたとしたら、主人公の「溝口」にどんな言葉をかけるか? 「溝口」に会ったら、「金閣寺」ってかなり成金趣味が入っているし、「金閣寺」が美しいなんて大っぴらに言ったら、あいつどんくさいぞ、とか、文化資本低いっぽいと思われるよ。金閣金閣って言うなとまでは言わないけど、せめて銀閣のには及ばないけどというエクスキューズを付けた方がいいよ。或いは、黙って、戦前に出た岩波新書ブルーノ・タウト『日本美の再発見』*3を手渡すとか。そうしたら、「金閣寺」は焼けないで済んだだろうか?

ところで、ブルーノ・タウトは独逸においては労働者階級向けの集合住宅の設計を多く手掛けており、日本滞在中も神戸のスラム街の調査を行っていた*4