OSかアプリか - Living, Loving, Thinking, Again

Libraという方のツィート；

日蓮の宗教というのは、鎌倉時代のOS用に開発されたアプリケーションだと考えてみればわかりやすい。それを現在のOSにそのまま乗っけたとしても動くわけはないし、万一動いたとしてもとんでもない挙動をするだけ。現在のOSでまともに動作するようにバージョンアップしないと。あたりまえの話ですよね。
— Libra (@Libra_Critical) 2020年3月31日

宗教って「アプリケーション」なのか。橋爪大三郎氏*1はたしか、宗教というのは社会にとってのOSのようなものだと何処かで書いていたように思う。また、パーソンズ流の構造機能主義でいえば、宗教というのはAGILのL=latent pattern maintenanceに位置づけられ、当該の社会の秩序を根柢的に維持する機能が振り当てられていた筈。勿論、多様な価値観やライフ・スタイルが併存する複雑な現代社会をAGILで理解できるのかどうかというのは別問題だ。しかし、ここで言われている日蓮の教えであれ、親鸞の教えであれ、はたまたルターの教えであれ、政治、ビジネス、軍事、科学研究、医療といった現実的なタスクを動かすことができるかどうかと問えば、その答えは否であろう。勿論、近代において、日蓮の影響を受けた政治思想や政治的実践は存在する。例えば日蓮宗の高僧でもあった石橋湛山 *2。或いは石原莞爾 *3。石橋にせよ石原にせよ、日蓮の教えというのは政治アプリケーションではなく、自由主義（石橋の場合）とかファシズム（石原の場合）といった政治アプリケーションがその上で動作するオペレーティング・システムとして理解できるかもしれない。しかし、ＯＳ／アプリケーションというのが比喩としても適切ではないともいえる。政治にせよビジネスにせよ科学研究にせよ、現実的なタスクが順調に処理されている局面ではなく、アプリケーションが限界にぶち当たって、挫折を経験し、反省というモードに入ったときに介入するのが宗教であるのかも知れない。

*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050601 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050705 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090826/1251225298 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20091127/1259318413 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20130315/1363313710 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20130326/1364302603 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170519/1495204456 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180123/1516677139

*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050705 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20060226/1140927585 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100114/1263466353 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100601/1275358854