気になる小林

最近小林秀雄*1がちょっと気になっている。昨年は小林の『学生との対話』を読んだ。まあ、若い頃に小林秀雄との対決をちゃんと済ませておかないと、その知的なツケは中高年になって回ってくる。先日、高橋昌一郎*2小林秀雄の哲学』を図書館で借りて一気読みした。軽く吃驚したのは、著者と主題の組み合わせで、何故ゲーデルの高橋さんが小林秀雄? と、一瞬は思った。タイトルに「哲学」とありながら、けっこうかっちりとした小林秀雄の伝記になっている。「哲学」ということに関して言えば、小林秀雄批判を名目にした、(バートランド・ラッセル的な立場からの)アンリ・ベルクソン批判という趣になっている。特に、その『哲学入門』。訳者の河野与一はその序文において、ベルクソンのことを「危険な思想家」と呼んでいる(p.197ff.)。だとしても、ベルクソンや小林の哲学的欲望*3が解明されなければならないだろう。そして、この欲望自体も「危険」で批判されるべきなのかどうかも。或いは、小林やベルクソンとは違った如何なる仕方でこの欲望を満たすべきなのかも。

学生との対話 (新潮文庫)

学生との対話 (新潮文庫)

  • 作者:小林 秀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/01/28
  • メディア: 文庫
改訂版 小林秀雄の哲学 (朝日新書)

改訂版 小林秀雄の哲学 (朝日新書)