西田/ブーバー/廣松

佐藤優*1「『西田幾多郎 生成する論理 生死をめぐる哲学』氣多雅子著」『毎日新聞』2020年8月22日


曰く、


氣多雅子氏(京都大学名誉教授)が命懸けで西田幾多郎のテキストと取り組んでいることが伝わってくる。弁証法的思考を実地で示す優れた作品だ。氣多氏は「哲学する姿勢」を読者に伝えようとしている。

ユダヤ思想家のマルティン・ブーバーが説く「我と汝」「我とそれ」というような根元語*2とは、西田の思考の構えが全く異なることをわかりやすく読み解いていく。この作品を基礎にして、マルクス主義哲学者の廣松渉氏が説いた事的世界観の弁証法を解剖してみると面白いと思った。