HSU、そして「エル・カンターレ像」など

藤倉善郎*1「審議会に諮問された「幸福の科学大学」の「教育」と、その問題点」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191118-00206563-hbolz-soci


2014年に大学設立認可申請が却下された「幸福の科学大学」*2こと「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」について。「幸福の科学大学」は5年ぶりに設立認可を申請している。
興味深い話が満載。主要な論旨から外れているかも知れないが、少し切り取ってみることにする。


かねてより産経新聞夕刊フジ、その他スポーツ紙が、幸福の科学の広告を大々的に載せ、ヨイショ記事や関係者の連載記事を載せ、夕刊フジに至っては霊言本の内容をさも通常のニュース記事であるかのように偽って掲載したことまである。

 大学ができれば、教団はメディアを通じて幸福の科学関係者を「大学教授」などとして露出させ、自らの主義主張をアピールできる。宗教分野に限らない。政治、外交、社会問題や時事的なニュースなど、これまでも教団は様々な分野において教祖の持論をアピールする活動を行ってきた。そこに「大学」や「大学教授」という権威をまとった手法が加わることになる。

 こうした活動に加担する外部の知識人にとっても、「宗教ではない。大学から報酬を得ているだけだ」という形式論的な自己正当化をしやすくなるだろう。

 そうなる前から、渡部昇一*3など保守系言論人が幸福の科学の宣伝に加担してきた。ジャーナリストの佐々木俊尚*4にいたっては、『公開霊言 スティーブ・ジョブズ 衝撃の復活』出版記念イベントで関係者と対談し、Twitter上で幸福の科学を「カルトではない」と断言している。幸福の科学が「大学」という権威をまとうことで、こうした行為のハードルはいままで以上に低くなる。

次のは凄い! 「幸福の科学」という名に恥じない(笑)。

HSU生が外部の学会で学生が研究発表を行うことがある。2016年に札幌で開かれた「第17会計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会」では、1人の学生が佐鳥新・HSUプロフェッサーと共同で行った「脳波測定におけるθ波独立成分分析」という研究を発表した。

 脳波や脈拍などの測定方法に関する内容だ。それ自体は専門的なもののようで、私には何が何だかわからない。気になったのは、発表資料の冒頭に掲載されていた研究目的。

〈たとえば、心理学者ユング集合的無意識という概念を唱えた。これは、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域として定義される。ここにおいて特徴的な現象として、「シンクロニシティ共時性」がある。かけようと思っていたら相手から電話がなる、離れた場所でほぼ似た出来事が示し合わせたように同時刻に起きる、など単なる偶然と考えるにはあまりにも確率が低い現象がしばしば起こることを指す。もし集合的無意識が実在し、この共時性というものを昨今の生体測定方法により定量的に扱えるようになれば、新しい通信方法として使える可能性がある。〉(研究発表資料より)

〈本研究の目的は、統合的生体センサシステムの構築および生体と精神の相関の定量化の新たな指標の探求である。そして、「睡眠麻痺」状態を足がかりとして、人間と集合的無意識の存在の検証およびその通信のメカニズムを解明していきたいと考えている。〉(同)

 平たい言葉で要約すれば、テレパシーを新たな通信技術として使えるようにするための研究ですよ、というのだ。

 共同研究者である佐鳥氏は、北海道衛星株式会社の代表取締役としてHSU開設前から人工衛星関連事業を手掛けてきた幸福の科学信者でもある。教団公式サイトに掲載されたインタビューでは、大川総裁が呼び出した宇宙人の霊言を研究の参考にしていると語っている。

〈宇宙人リーディングは、さまざまな星から来た宇宙人によって、母星の様子や彼らの持つ科学技術など、他では知り得ない情報が数多く語られているので、非常に知的好奇心が刺激されます。

 特に、宇宙人たちが「ワームホールを使った長距離移動」や「タイムスリップ」などについて語っているところは、地球においても「未来科学」を実現していくヒントが多数含まれており、研究する上で非常に参考になっています。〉(同インタビューより)

 大学院時代に幸福の科学の書籍を知人から渡され教義を学ぶようになって以降について、こうも語っている。

〈学びを深めるうち、時折、幽体離脱して宇宙を見たり、霊界に行って霊人と対話したりと、神秘的な体験をするようになったんです。そうしたなかで、次第に霊的世界への確信が深まっていきました。〉(同)

凄い! というか、幸福の科学に入ると、「幽体離脱」できるようになるんだ! 
また、無知を開き直るようで申し訳ないのだが、HSUの「ピラミッド型礼拝堂」の「エル・カンターレ像開眼の儀」というのに吃驚した。「エル・カンターレ」って「像」にできるの? 耶蘇が「父」と呼んだ存在、つまり〈アブラハム系宗教〉*5における唯一神と同じわけだ。その「像」というのは前代未聞というか、宗教史的な大事件の筈。まあ、吃驚しているのは無知な私くらいなのだろうか。

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20130818/1376754867

*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20120427/1335522040 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20141022/1413911431 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20141029/1414579989

*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060206/1139193655 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060825/1156475048 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070328/1175061196 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080826/1219767200 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081011/1223657602 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081120/1227194306 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090314/1236958598 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090616/1245157140 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100628/1277652782 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101013/1286918062 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110310/1299692398 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131122/1385081575 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160521/1463855170 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170418/1492485148 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180215/1518707268 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180501/1525182676 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/11/102258 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/12/023356

*4:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050816 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080125/1201289239 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080831/1220151826 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140826/1409031583 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180928/1538106709

*5:ロビン・ゴメス「アブラハム系宗教、命の終末をめぐり共同声明」https://www.vaticannews.va/ja/church/news/2019-11/abrahamic-religions-no-to-euthanasia.html Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/11/07/022322