「戦中派」/「戦後派」

那覇*1「戦中派の退場」https://news.yahoo.co.jp/byline/yonahajun/20180406-00038013/


2014年に書かれた文章?
曰く、


右傾化の最大の背景は「戦中派の退場」だと思います。司馬や山本七平(21年生)のような軍隊体験を持つ人々が、国民大の物語の書き手として保守論壇の中心にいた頃は、戦争を日本人自身の「失敗」として捉えるという自意識が強くあった。存命の方だと読売新聞の渡邉恒雄さん(26年生)が、靖国参拝問題に関しては明確に安倍政権に反対しているのも、敗戦直前に徴兵されて、日本軍というものがとても自慢できない組織だと知っているからでしょう。

 これに対し、兵隊に取られるより前に終戦を迎えた結果、少年期に思い描いていた「欧米列強と対等な世界の強国」とは異なる国(=端的には対米従属国)で成長し大人になったことへの、割り切れなさを感じている世代を「戦後派」と呼びます。海軍エリートの家系に生まれた江藤淳(32年生)がその象徴でしたが、岡崎久彦渡部昇一(ともに30年生)・石原慎太郎(32年生)・西尾幹二(35年生)の各氏など、政権ブレーンないし「右傾化」の文脈で名前の挙がる方々がみなこの世代。当初はある種の世代間闘争だったはずのものが、54年生まれの安倍首相を媒介として、隔世遺伝のように繰りかえされているという印象を持ちます。

ここに名が挙がっている人で、渡部昇一は既に2017年にこの世を去っている*2。なるほど! と思う反面、違和感もある。司馬遼太郎*3は日本的な意味での革新とか進歩主義と対立する意味での「保守」ではないだろうし、「論壇」というよりも文壇の人だろう。「世代」ということでいうと、(ここ数年に物故した人だと)、野坂昭如*4大橋巨泉*5永六輔*6といった人々も「政権ブレーンないし「右傾化」の文脈で名前の挙がる方々」が属する「 戦後派」と略同世代である。しかしながら、 石原慎太郎なんかのことを普通「焼跡闇市派」とは言わないよね。「戦中派の退場」ということだと、どうしても水木しげる*7或いはやなせたかしの死*8の印象が強い。

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131120/1384957512 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150314/1426360565

*2:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170418/1492485148

*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060426/1146056553 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061029/1162146551 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070116/1168966875 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070224/1172330232 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070902/1188749358 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071203/1196703664 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080908/1220840742 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080910/1221023275 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090217/1234850240 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090801/1249099215 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090803/1249241190 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090918/1253241518 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091212/1260589802 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100215/1266258738 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100320/1269098073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120429/1335716623 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120503/1336025633 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120625/1340552169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130705/1372984906 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140827/1409108595 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141201/1417404909 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151228/1451281770 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160220/1455936290 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160311/1457662225 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160401/1459523773 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160919/1474248538 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170210/1486695468 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170419/1492580438 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171102/1509555644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180218/1518955983

*4:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151211/1449803224

*5:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160720/1469029004

*6:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160712/1468252761

*7:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151202/1449023902

*8:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131016/1381886490