唯名論

山内志朗『中世哲学入門』*1から;


(前略)唯名論についての概略的なイメージは存在論、認識論、倫理学、神学の場面で、直接性を重視する傾向であり、直接的でないものとは、途中にくる媒介やメディアや組織を仲介することでしか物事は成立しないとする立場に対抗するものである。固体化においては個体化の原理という媒介の働きを持つ普遍の一種を否定し、認識論においては媒介的な役割を果たす可知的形象を否定し、神学においては、神と信者の間に位置する教会制度を否定するものである。普遍を名のみのものとして否定するというよりは、媒介性を脱却して、直接的に語ろうとするものだ。媒介には細かく分析していけばさらに媒介を設定できるから、そういう傾向に対抗することは「オッカムの剃刀」という節約の原理とも重なってくる。(略)
(略)唯名論を語る人々は倫理的側面に注目し、神の絶対的能力の協調を特徴として挙げる。義認に必要なものは人間の義しい行為でも功績でも恩寵でもなく、神の絶対的能力があれば、何もなくとも義とされうるということである。この意味は一般庶民の宗教生活を考える上では決定的に重要である。(p.84)
山内氏はこの後で、「唯名論」の3つの特徴として、


「神の絶対的能力」
「抽象的認識、直観的認識」
「普遍の問題」


を述べている(p.85ff.)。