「かもめ」と「牛」

『読売新聞』の記事;


「心霊スポット」かもめ荘、ようやく解体…日本海見下ろす絶景に40年間放置
11/23(火) 7:01配信


読売新聞オンライン

 島根県出雲市大社町日御碕で、約40年前から使われず、廃虚と化した旧宿泊施設「かもめ荘」の解体が始まった。テレビなどで“心霊スポット”*1と不名誉な紹介をされたために、肝試しの若者やマニアが無断で立ち入るなどした「負の遺産」。ようやくメスが入り、住民らは景観に配慮した跡地活用に期待する。(中村申平)


往時のにぎわい
 稲佐の浜から日御碕灯台に進む県道は、日本海を見下ろす絶景が人気だ。だが突然、視界に入ってくる巨大なコンクリート塊。さびた鉄筋がむき出しになり、壁面は落書きだらけの廃虚が異様な雰囲気を漂わせていた。周辺は「大山隠岐国立公園」の地域内。明らかに景観を損なっていた。

 「週末は貸し布団店から布団を借り、宿泊客は宴会場で雑魚寝してもらうほどにぎわっていた」。かもめ荘で働いていた海産物直売所「海流館」の男性(75)は懐かしむ。

 市や男性らによると、かもめ荘は当初、障害者がリハビリするなどした保養所だった。地上2階、地下1階の3階建てで、延べ床面積は約1680平方メートル。1970年に建ち、翌年に開業した。ただ数年後には民営化され、宿泊施設に。絶景を楽しめ、新鮮な海産物が食べられるとあって、観光バスが何台も訪れる人気ぶりだったという。


不名誉スポットに
 だが、ブームが終わると、従業員が去り、所有者も代わってしまい、70年代の後半には休業。建物も使われなくなった。その後、テレビ番組で霊能力者とされる人物が訪れ、「幽霊が出る」「除霊しきれない」などと紹介。若者を中心に招かれざる客を集めてしまう場所になってしまった。

 近くで「日御碕ドライブイン 民宿西亀荘」を営む女性は「宿泊客の中に肝試しに向かう高校生や女性も昔いた。行くと言って聞かない生徒に仕方なく、ついていった顧問の先生もいた」と話す。心霊スポットの知名度は最近まで健在で、「かもめ荘はどこですか」と尋ねてくる観光客も多かったという。

 そうした様子に気をもんでいた女性は「老朽化して危ないと思っていた。みすぼらしかったし、解体は良かった」と安堵(あんど)する。


来年2月に作業終了

 かもめ荘の土地と建物は現在、雲南市の建設会社が所有。同社によると、91年に不良債権として同社に渡り、売り物件として扱っていたが、買い手が見つからなかったという。しかし、国立公園内で景観を損ねる建物の解体などに国から補助金が出ると知って申請。8月末に採択され、9月にごみの搬出を始め、解体に着手した。作業は来年2月に終わる予定という。

 跡地について、地元住民には「キャンプ場になるのでは」といった見方もあるが、同社は「全くの未定」とする。ただ「場所を貸してほしい」との問い合わせがあることは認め、担当者は「風評などが影響しないよう、静かに見守ってもらいたい」と話した。

 解体を知った元従業員の男性は「かもめ荘にはたくさん良い思い出があるけれど、今までの状態はいけなかった。きれいにしてもらえると聞いて安心した」。出雲市観光課は「荒れ果てて景観を悪くしていたので、解体を歓迎している」とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b4e3f7b68dbb1d2ddd306ada9d12fe5c52562c8c

ORICON NEWS「Koki主演、映画『牛首村』舞台は富山の心霊スポット・坪野鉱泉https://news.yahoo.co.jp/articles/e20f3addf9e21f4757add207fc07b86c71868ee1


清水崇の映画『牛首村』について。


前作『樹海村』の舞台“富士の樹海”は都市伝説がなかったり、シンボル的な心霊スポットがなかったり…といった点を大いに反省し、今回は富山県魚津市に実在する北陸最恐心霊スポット・坪野鉱泉*2が舞台となった。

 坪野鉱泉は1970年頃に「ホテル坪野」として開業されたが、ある事件を機に1982年に廃業し、経営者が失踪、誰も手をつけなくなってしまった…とウワサされているいわくつきの廃ホテル。1993年までに隣接されていた施設が解体され、2021年現在まで残っている一つの建物が「坪野鉱泉」と称され、地元富山を中心に多くの若者が訪れる肝試しスポットと化す。ホテル廃業以降~現在まで、北陸最恐の心霊スポットとして恐ろしい都市伝説が絶えず、今では立ち入り禁止となっているにも関わらず、ヤンキーや暴走族も怖いものみたさで集まるらしい…。

 長年地元ではさまざまな都市伝説・ウワサが出回り、「あそこには行ってはいけない」と子どもの頃に親から行くのを必ず止められてしまうほど超有名な心霊スポットとしてしられる坪野鉱泉。80年代、心霊現象の背景を読み取るなど、その実力から“最強の霊能力者”と言われメディアで活躍した宜保愛子氏が、唯一入ることを拒否し話題に。また失踪事件が起きるなど、心霊スポット化は加速。

 「友人が肝試しに行ったら、二階から飛び降りる人影を見て、急いで車に乗ったら後ろからドン!と押された。その日は何もなかったが後日事故に遭い、車の後ろには手形がついていた…」(地元出身Fさん)、「一番怖いと話題になった地下で肝試し中に、友達がいなくなった」(地元出身Tさん)など、実際に恐怖体験をした人も山ほどいるらしい。

この記事のほかにも、例えば映画.com「「牛首村」の舞台は富山県に実在する“坪野鉱泉”だった! 宜保愛子さんが潜入を拒否した心霊スポット」*3などの『牛首村』記事があるのだけど、どれも同一のプレス・リリースを丸写しで記事が仕立てられていると推定できる。もっと他媒体との差異化に意識的になれ! といいたい。
どちらも共通するのは宜保愛子が関わっているということ。「かもめ荘」を「除霊しきれない」と言った「霊能力者」とは宜保愛子だったのだ*4。ところで、物語なきところには「心霊」は存在しない。「かもめ荘」にしても、元々「人体実験場」だったとか北朝鮮工作員の秘密基地だったとかという都市伝説が語られている。「廃墟」が解体されて更地になったとしても、偽史(都市伝説)に対して正史を説得力ある仕方で提示することができなければ、祟りは続くだろう。物語の除霊が必要だ。