Chun Doo-hwan

盧泰愚が死んでからひと月足らず。
毎日新聞』の記事;


韓国の全斗煥元大統領が死去 90歳 光州事件などで死刑判決

毎日新聞 2021/11/23 10:10(最終更新 11/23 17:40) 935文字


 韓国で1979年に起きた粛軍クーデターを国軍保安司令官として指揮した全斗煥(チョンドゥファン)元大統領*1が23日午前、自宅で死去した。90歳だった。聯合ニュースが伝えた。持病があったという。

 31年、慶尚南道陜川(キョンサンナムドハプチョン)生まれ。陸軍士官学校卒業。軍事クーデターで権力を握った朴正熙(パクチョンヒ)大統領に登用され、ベトナム派兵部隊の連隊長を務めた。国軍内部を統括する保安司令官だった79年、朴大統領暗殺事件の捜査を指揮。同年末、上官にあたる戒厳司令官を逮捕する「粛軍クーデター」で軍の実権を掌握した。

 80年5月には、金大中(キムデジュン)氏(元大統領、2009年8月死去)ら有力政治家を一斉に逮捕した。これをきっかけに、金大中氏の地盤である光州市で市民らが武装して軍と衝突し、多数の死傷者が出る「光州事件」が発生した。

 80年9月から88年2月まで大統領を務めた。84年には韓国大統領として初めて日本を公式訪問し、天皇と会見した。北朝鮮との関係は険悪で、83年のラングーン(現ヤンゴン)訪問時に北朝鮮工作員による爆弾テロに狙われ、同行の閣僚ら韓国人17人が死亡した。任期終盤の87年には、大韓航空機爆破事件も起きた。

 朴政権の政策を継承し、開発独裁による経済成長を重視したが、国民の民主化要求の高まりで87年、軍時代から盟友として活動した盧泰愚(ノテウ)氏の「民主化宣言」を受け入れる形で大統領直接選挙制への改憲に踏み切った。同年末の大統領選では、盧泰愚氏が当選した。

 退任後は親族の不正蓄財などが明らかになり、江原道の山寺で2年間、隠遁(いんとん)生活を送った。金泳三(キムヨンサム)政権時代には光州事件や不正蓄財を断罪され、裁判の1審では死刑判決を受けた。2審で無期懲役減刑され、さらに97年の大統領選で金大中氏が当選した直後に、特赦で釈放された。

 最近では17年に出版された回顧録で、機銃掃射を目撃したと証言した神父(故人)を「うそつき」などと記述し、死者名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴され1審で有罪判決(懲役8月、執行猶予2年)を受けた。今年8月の控訴審公判では、法廷に姿を見せたが、途中で体調不良を訴え退席していた。【ソウル渋江千春】
https://mainichi.jp/articles/20211123/k00/00m/030/043000c

また、聯合通信曰く、

韓国大統領府 冥福祈るも「謝罪なく遺憾」=全斗煥氏死去
11/23(火) 18:10配信


【ソウル聯合ニュース】韓国青瓦台(大統領府)の朴ギョン美(パク・ギョンミ)報道官は23日の記者会見で、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領がこの日死去したことを受け、「冥福を祈り、遺族に慰労の気持ちを伝える」と述べた。

 一方で「最後まで歴史の真実を明らかにしなかった」とし、「誠意ある謝罪がなかった事に対し、遺憾の意を表明する」と述べた。1980年の「5・18民主化運動(光州事件)」での市民虐殺などを巡り、全氏が責任を認めず謝罪しなかったことを批判したものとみられる。

 朴報道官は「青瓦台からの弔花や弔問の計画はない」と明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4e5829774e4ecc0a49358539e73626bc8211a62

See also


Reuters “Former South Korean dictator Chun Doo-hwan dies aged 90” https://www.theguardian.com/world/2021/nov/23/former-south-korean-dictator-chun-doo-hwan-dies-aged-90
Anna Fifield “Chun Doo-hwan, brutal South Korean dictator, dies at 90” https://www.washingtonpost.com/obituaries/2021/11/23/chun-doo-hwan-korea-dead/


今気づいたのだけど、日本のメディアは(英語の記事でも)「大統領」という言葉をタイトルに使っているのに対して、大方の英語圏のメディアは”dictator”(独裁者)という言葉を使っている。

そういえば、1980年代に(良くも悪くも)活躍した政治家は殆どこの世にいないことになるね。ロナルド・レーガン中曾根康弘マーガレット・サッチャーフランソワ・ミッテランサダム・フセインカダフィも。生き残っているのはゴルバチョフくらい?