「棄却」など

承前*1

『ハフィントン・ポスト』に転載された『朝日新聞』の記事;


和歌山カレー事件 林真須美死刑囚の再審請求を地裁が棄却
朝日新聞デジタル | 執筆者: 朝日新聞社提供
投稿日: 2017年03月29日 17時34分 JST 更新: 2017年03月29日 17時37分 JST



林死刑囚の再審請求、地裁が棄却 和歌山カレー事件

 和歌山市園部(そのべ)で1998年7月、夏祭りのカレーに猛毒のヒ素が混入され、4人が死亡、63人が中毒になった事件で、和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)は29日、林真須美死刑囚(55)の再審請求を棄却する決定を出した。弁護団が明らかにした。大阪高裁に即時抗告する方針。

 再審請求審で弁護団は、X線分析が専門の河合潤(じゅん)・京都大学大学院工学研究科教授の鑑定をもとに、林死刑囚の自宅などから押収されたヒ素と、事件現場のゴミ袋にあった紙コップ内に付着していたヒ素、カレー内のヒ素は「同一のもの」とは言えず、「当時の鑑定には『同一』と見せるための不正があった」などと主張していた。

 さらに「林死刑囚が見張り中に、(調理中の)カレー鍋のふたを開ける不審な行動をした」という近くの住民の目撃証言も、次女と見誤った可能性があり、信用できないと訴えていた。

 一方、地裁は再審請求審で、弁護団が求めていたヒ素鑑定に関するデータの開示や再鑑定、河合教授の証人尋問などはすべて実施しないとの判断を示していた。



■事件起きた地区、当時の面影なく

 1998年7月に事件が起きた園部地区の夏祭り会場には住宅が建ち、当時の面影はまったくない。

 近くにあった林死刑囚の自宅は2000年、放火で全焼した。土地は競売にかけられ、04年に地元自治会が落札。ベンチや花壇を整備するなど公園として整備された。今でも自治会が年2回草むしりをしているが、訪れる人は少ない。

 かつて近くの公園で行われていた慰霊祭も、09年が最後となった。事件で急性ヒ素中毒になった男性はこう話す。「当時を知らない新しい住民が増えてきている。被害者が事件を忘れることはないが、できればそっとしておいてほしい」

     ◇

 〈和歌山カレー毒物混入事件〉 1998年7月25日、和歌山市園部の民家のガレージで調理されたカレーの鍋に、猛毒のヒ素(亜ヒ酸)が混入された。園部第14自治会の夏祭りに提供され、カレーを食べた自治会長(当時64)、同副会長(同53)の2男性と高校1年の女子生徒(同16)、小学4年の男児(同10)の計4人が死亡。未成年者30人を含む住民ら63人が急性ヒ素中毒になった。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/12/wakayama-hayashi_n_15679860.html

See also


篠田博之*2「和歌山カレー事件・林眞須美死刑囚の再審請求棄却決定に思うこと」https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20170329-00069290/


「カレー事件」の裁判はフォローしていなかったので、裁判において、林眞須美がカレーに砒素を入れたどのような動機が構築されたのかは知らない。ただ、動機論として、林眞須美の犯行ではないんじゃないかとずっと思っていた。それは半分くらいは警察やマスコミによる印象操作の賜物である。1998年の夏から秋にかけて、林眞須美=守銭奴の毒婦という人物像が集中的に構築されたが、そこから、彼女は一文の得にもならないことはしないんじゃないかという印象を持った。この無差別殺人は一文の得にもならない。だから、やってないんじゃないかと思ったのだ。
林邸跡は神社にすべきだと思っていたのだが、〈心霊スポット〉*3になっているのだろうか。
さて、


県庁職員の飲料から界面活性剤 共用冷蔵庫で保管 三重

2017年3月28日13時33分


 三重県庁で1月、事務所内の共用冷蔵庫に保管していた1リットルのペットボトル入りコーヒーを飲んだ企業庁所属の30代男性主任がのどに違和感を持ち、病院で受診したことが分かった。通報を受けた県警が鑑定した結果、洗剤に含まれる界面活性剤が検出された。県警は何者かが混入させた傷害容疑事件として調べている。

 県や津署によると、男性は昨年末、津市栄町1丁目の企業庁内の共用冷蔵庫に飲みかけのコーヒーを保管。今年1月10日に飲んだところ、のどが焼けるような違和感があった。2日間の治療を要したとして、2月27日に県警に被害届を提出した。ペットボトルのふたには男性のものだと分かるように書き込みをしていたという。
http://www.asahi.com/articles/ASK3X35NMK3XOIPE007.html

この記事を読んだとき、「和歌山カレー事件」のことをちょっと思い出した。幸いにして死者は出なかったものの、三重県庁の中の或る部署という小さな社会の複雑な人間関係が浮かび上がってしまうわけだ。